伊藤詩織さん、自身の性的暴行被害の調査を自ら記録した『Black Box Diaries』は受賞ならず
第97回アカデミー賞

第97回アカデミー賞授賞式が現地時間2日、ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、長編ドキュメンタリー賞にノミネートされていた伊藤詩織さんの『Black Box Diaries』は受賞を逃した。
『Black Box Diaries』は、ジャーナリストの伊藤さんが自身の性的暴行被害への調査に乗り出していく姿を自ら記録したドキュメンタリー映画。2017年、伊藤さんが元テレビ局員の記者からの暴行被害を訴えた記者会見の直後から6年にわたって制作された。『新聞記者』や『月』を手掛けたスターサンズ、そしてイギリス、アメリカの国際共同製作となっている。
同作に関しては、伊藤さんの元代理人弁護士らが映像や音声が許諾なく使われている点を問題視していることも話題に。伊藤さんは先月、許諾を取らなかったことを文章で謝罪。個人が特定できないように変更するほか、今後の海外上映でも差し替えなどできる限り対応すると表明していた。
今年1月の米サンダンス映画祭を皮切りに、現在までに50以上の映画祭で上映され、20個以上の賞を受賞している『Black Box Diaries』。世界30か所以上の国と地域での配給も決定しているが、日本公開は決まっていない。日本人監督の映画がアカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされるのは、史上初となる快挙だった。(編集部・市川遥)