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ニコラス・ケイジが衝撃ビジュアルに変貌…不気味すぎる殺人鬼ロングレッグス誕生秘話

少女が遭遇する存在とは……?
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 ニコラス・ケイジがキャリア史上、初めて連続殺人鬼を演じた映画『ロングレッグス』(全国公開中)。観る者の脳裏に焼きつくような強烈なビジュアルと狂気の演技によって誕生したホラーアイコンについて、本作の監督オズグッド・パーキンスが誕生秘話を明かした。(ネタバレ注意。以下、映画の内容に一部触れています)

【画像】『ロングレッグス』フォトギャラリー

 1990年代半ばのオレゴン州で起きる連続一家殺人事件の謎を追う本作。FBIの新人捜査官リー・ハーカーは、30年間で10回発生した一家惨殺事件の捜査を任される。それは、突如として妻子を殺害した父親が、自ら命を絶つという不可解な事件だった。家族以外に侵入者の痕跡はなかったが、現場には“ロングレッグス”という署名付きの暗号文が残されていた。ハーカーは少ない手がかりを頼りに真相を追うが、やがて事件は恐るべき方向へと進んでいく。

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 数々の強烈なキャラクターを演じてきたケイジだが、連続殺人鬼“ロングレッグス”のインパクトは群を抜いていると言えるだろう。前半は姿なき殺人鬼としてハーカーを心理的に追い詰めていき、ついに姿を見せたその風貌に、ケイジの面影は全くない。

 不自然にふくれあがった顔面にくすんだ灰色の長髪、それにロックスターのような青白いメイクや服装のアンバランスさが、見ている者の不安を掻き立てる。そのビジュアルは、パーキンス監督が「私にとって究極の存在」というボブ・ディランから来ているという。

 「1975年の“ローリング・サンダー・レヴュー”時代のボブ・ディランがビジュアルの出発点でした。ルー・リードやデヴィッド・ボウイの要素も少し入っていますけどね。脚本の段階から明確なイメージがあって、(当時のボブのように)青白い顔のメイクをしていると最初から書いているんです」

 そして、もうひとつの要素が整形手術。かつて劣悪な手術を重ねたという設定の彼の顔は、ほほや鼻が不自然に盛り上がり、肌もぼろぼろだ。「顔に“恥”が刻まれている人物を表現したかったんです。彼は、かつて別の人生を生きていたが、ある日“何か”に取り憑かれてしまった。その“何か”を悪魔と呼ぶのか、不運と呼ぶのか、負のエネルギーと呼ぶのか、それは人によって違うでしょう。 とにかく、確実に何かに取り憑かれてこうなってしまった。そして、彼自身もそのことに嫌悪感を抱いている。それを表現するために、手術を受けた自分の見た目に後悔しているように見える、歪んだ顔が必要だったのです」

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その全貌は…ニコラス・ケイジが演じるロングレッグス(C) MMXXIII C2 Motion Picture Group, LLC. All Rights Reserved.

 ロングレッグスのキャラクター自体は、パーキンス監督が別の作品にのために考案したキャラクター。「はるか以前から、物語を書いたり、コンセプトやアイデアに取り組むたびに、“ロングレッグス”のような存在が自分の周りをうろついているような感覚がありました。その発想の原点には、私が3人の子供の父親であることと関係しています」

 「親になると、子供の“誕生日パーティー”の世界に足を踏み入れることになります。自分の子供のためだけはなく、その友達のパーティーにも招かれる。そのうちに、パーティーにやってくるパフォーマーの存在が気になるようになりました。ピエロ、手品師、バットマンや『アナと雪の女王』のエルサの衣装を着た人なんかを親が雇うわけです。私は物事を少し違った視点で見るタイプで、ある時から、こうしたパフォーマーたちが気になるようになってきた。特に印象的だったのは、息子の誕生日パーティーに来たあるピエロの女性でした。とても良いパフォーマーでしたが、パーティーの後、荷物を車まで運ぶのを手伝ったときに、彼女がほぼ車上生活をしていることに気づきました。衣装は汚れていて、何とも言えない感情が湧き上がったのを覚えています。理由はわからないけれど、それはとても人間的な光景だったのです」

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 「そこから、誕生日パーティーのパフォーマーのような人物。しかし、どこかズレていて、不穏な雰囲気を漂わせている……こうしたイメージが生まれ、やがてロングレッグスにつながる要素が生まれていきました」。本作では、ロングレッグスが子供に話しかける印象的な場面から幕を開けるが、「彼は子供の母親と話すことに興味があるわけではない。ただその女の子に話しかけ、写真を撮り、彼女のためにパフォーマンスをする。それが彼の目的なんです」

 「そうしてアイデアの種が芽吹いてからが、作家としての本番です。あとは、そのキャラクターが本来持つものを削り出し、形にしていく作業になります。ミケランジェロが言ったように、石の塊の内部に彫像を発見したら、あとはそれを削り出すだけ。監督や作家の仕事は、作品が成長する過程でそれを適切に形作ることだと思います。 彫刻のように、余計な部分を削り、より完成度の高いものへと導いていく。ロングレッグスの特殊メイクも、最初のテスト段階では『過剰すぎる』と感じたので、不要な部分を削ぎ落とし、より洗練された形になっていった。そうしたプロセスを経て、ロングレッグスのビジュアルが誕生したのです」(編集部・入倉功一)

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