「べらぼう」寛一郎の馬面太夫が男前すぎた!たちまち視聴者をわしづかみに

横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜NHK総合よる8時~ほかで放送中)の16日放送・第11回では寛一郎演じる「馬面太夫」の異名をとる富本節の人気太夫・富本豊志太夫(午之助)が初登場。彼が女郎たちに見せた男気が視聴者の心をわしづかみにし、富本節を披露する場面では涙を誘う演出が「鳥肌モノ」と注目を浴びた(※ネタバレあり。第11回の詳細に触れています)。
第11回「富本、仁義の馬面」では、蔦重が女郎の絵本「青楼美人合姿鏡」を大々的に売り出すも売れ行きが厳しく、一方で大文字屋(伊藤淳史)は日光社参の行列から俄祭の開催をひらめき、祭の目玉として馬面太夫を招くことを蔦重に提案する。エピソードを通して、当時の役者への差別が浮かび上がった。
りつ(安達祐実)いわく、馬面太夫と歌舞伎役者の門之助(濱尾ノリタカ)は江戸の女性たちに大人気。りつに連れられ芝居小屋に赴いた蔦重は、たちまち馬面太夫の美声に心を奪われる。馬面太夫役の寛一郎が舞台に登場すると、「鎌倉殿の13人」(2022)以来の大河出演とあって「寛一郎キター!」「公卿じゃん」と約3年ぶりの登場に歓喜の声が続々。早速、馬面太夫に祭への参加を懇願する蔦重だが、「わりぃが、俺は吉原は好かねえんだ」とけんもほろろ。りつが言うには、かつてまだ売れなかったころの馬面太夫と門之助が役者の出入りが禁じられた吉原に素性を偽って赴いたところ、若木屋(本宮泰風)にバレて追い出されたことがあるという。
しかし、そこであきらめないのが蔦重。だましうちの形で馬面太夫と門之助をお座敷に招き、りつらと共に誠心誠意、過去の非礼を詫びたうえで二人に会いたがっている者たちがいると(稲垣来泉)ら女郎たちと引き合わせた。ふすまの奥にいたのは、詫びも含めてもてなしたいと大門の外に出た女郎たち。注目を浴びたのは、そののち“籠の鳥”の女郎たちのため「ほんの少しでいいので富本をお聞かせいただけませんか」という蔦重の計らいによって披露された富本節。
りつと大文字屋の三味線に合わせて馬面太夫が語り、門之助が舞い、その優美な画に吉原で働く“籠の鳥”の女郎たちの哀しい姿が重なる。心打たれ涙を流す女郎たちに二人は「こんな座興で……」と驚き、蔦重はその涙のワケを「慣れてねえんですよ。女郎は芝居を観に行けねえもんで」「座敷芸で芝居や浄瑠璃に親しむものの幼いころより廓で育ち、まことの芝居を観たことのないものがほとんど。この江戸にいながら一度も芝居を観ずこの世に別れをつげる者もおります」と語る。しんみりした場にSNSでは「これは泣いちゃうよね…」「外に出られないものね」「耳なし芳一みたい」「良かったね…」と女郎たちの心中を慮る声が相次いだ。
さらには、蔦重が「吉原には太夫のお声を聴きたい女郎が千も二千もおります。救われる女がおります。どうか女郎たちのためにも祭りでその声を響かせてはくださいませんか」と再び祭への参加を交渉。「やろうじゃねえか」と即答し、「こんな涙見せられて断れる男がどこにおる」と女郎たちの想いを受け止めた馬面太夫に視聴者は「その場で即決とはカッコいい!」「男だねえ」「粋だねえ」「二つ返事」「気風のいい男だ」「役者の心意気」「熱いな」とテンション爆上がり。
蔦重の野望はこれにとどまらず、前の場面で蔦重が浄瑠璃の元締めでもある鳥山検校(市原隼人)に馬面太夫の豊前太夫襲名を願い出る場面があったが、絶好のタイミングで襲名認めの手紙が届き、蔦重はここぞとばかりに太夫の直伝がほしいと訴える。同じ企画を狙っていた鱗形屋(片岡愛之助)は慌てて馬面太夫に「あやつにまかせれば市中に売り広めができなくなります!」と説得を試みるも、「らしいね。だったらなおさらあいつを助けてやりたいね」「それが男ってもんだろ?」と一蹴する馬面太夫に「どこまでもかっこいい!」「さすが太夫」「粋すぎる」「よ!馬面太夫」と沸いた。(石川友里恵)