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ゾーイ・サルダナ、弁護士役で歌って踊る 助演女優賞受賞『エミリア・ペレス』に込めた情熱

『エミリア・ペレス』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したゾーイ・サルダナと主演のガスコン
『エミリア・ペレス』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したゾーイ・サルダナと主演のガスコン - (C) 2024 PAGE 114 - WHY NOT PRODUCTIONS - PATHE FILMS - FRANCE 2 CINEMA COPYRIGHT PHOTO : (C) Shanna Besson

 第97回アカデミー賞で最多12部門13ノミネートされ、ゾーイ・サルダナが助演女優賞を受賞したジャック・オーディアール監督のミュージカルスリラー『エミリア・ペレス』が日本公開を迎えた。全米公開前にロサンゼルスで行われた記者会見で、犯罪ドラマとミュージカルが混在したような独創性あふれる今作について、サルダナ、カーラ・ソフィア・ガスコンらが思いを語った。

【画像】ドレスが美しすぎたアカデミー賞レッドカーペットのゾーイ・サルダナ

 メキシコ・シティで働く優秀な弁護士リタ(サルダナ)は、犯罪を犯した裕福な顧客が、刑務所入りを逃れる手助けをしていた。ある日、悪名高い麻薬カルテルのボス、マニタス(ガスコン)の依頼を受け、彼の妻ジェシー(セレーナ・ゴメス)にも隠して、性別適合手術をできる世界最高の医者を探すことになる。そしてマニタスは、エミリア・ペレスという女性として新たな人生を送り始めるのだが、子供たちに会わずにはいられなくなってしまい……。

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 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『アバター』など、SF大作シリーズで知られるサルダナだが、本作ではドラマもミュージカルシーンも見事にこなし、あらためて実力派としての才能を強く印象づけ、初のオスカーに輝いた。

 「『エミリア・ペレス』は、私がずっと持っていたアーティストとしての部分と、再びつながる機会を与えてくれました」と言うサルダナ。「リタという女性は、他の人の代弁者になれても、自分自身の擁護者となって発言する勇気や強さを持っていません。私にとってとても身近な女性で、変化を求め、認められようと必死になっているんです」とキャラクターについて説明するサルダナ。

 さらに「映画の中の歌と踊りで、彼女たちが本当はどう感じていて、何を考えているのかを見ることができます。そのように現実と非現実(の間を)ジャンプするところが、この映画をとても特別なものにしていると思いました。そして、自分の多くの部分を加えることができたんです」と語ったが、「私は生粋のニューヨーカーで、永遠のダンサー」と言うサルダナにとっても、ミュージカルシーンの準備は大変だったという。

 「5週間から7週間リハーサルの連続で、撮影中もずっと続けていました。ダンススタジオに入るのは20年ぶりだったんです。本当に緊張しました。自分の脳を、筋肉に情報を送り込むように適応させないといけないんですが、とても技術的なんです。準備万端で臨みたかったですが、また同時に(撮影中、刺激を与えてくれるような)驚きを見つけないといけませんでした。それはアーティストとして最もエキサイティングなことなんです」と振り返る。

 エミリア役を演じるスペイン人女優のガスコンは、自身がトランスジェンダー俳優であるということで、今作に特に深い思いを抱いていたが、残念ながら、彼女が昔SNSに書き込んだ差別発言が物議を醸してからは、賞レースから遠ざかった。とはいえ、彼女の入魂の演技は素晴らしい。「キャラクター作りのプロセスですが、マニタスとエミリアの両方を作り上げるために多くの議論を重ねました。私にとって監督との最も重要な話し合いは、『エミリアがこのような変身を望んだ理由は何だったんですか? それは彼女が正義から逃げたかったから? それとも、それが彼女の真実だったから?』ということでした。それは映画の意味を大きく変えてしまうからです。単なる表面的なコメディになってしまいますから。最終的には最良の決断がなされたと思います」と語る。

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 ミュージカルシーンでも楽しませてくれるゴメスも、エミリアの恋人エピファニア役のメキシコ人女優アドリアナ・パスも、ストーリーの中でそれぞれが重要な役割を背負っており、後半にさしかかるにつれて、予想がつかない展開になっていく本作。トランスジェンダーや家庭内暴力を受けている女性たちの苦悩も描かれるが、ミュージカルとしても楽しめる痛快な娯楽作になっている。(吉川優子 / Yuko Yoshikawa)

映画『エミリア・ペレス』は全国公開中

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