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A24新作、なぜセットに「ししおどし」?『異端者の家』異様な家に仕込まれたトリック

不穏な家の奥には何がある? 『異端者の家』の舞台となる家
不穏な家の奥には何がある? 『異端者の家』の舞台となる家 - (C) 2024 BLUEBERRY PIE LLC. All Rights Reserved.

 ヒュー・グラントが主演を務めるA24製作のサイコスリラー『異端者の家』(4月25日公開)は、ヒュー演じる謎の男“ミスター・リード”が、自宅に監禁した2人の女性宣教師を翻弄するサイコスリラー。そんな物語のメイン舞台となるリードの家について、プロダクションデザインを担当したフィリップ・メッシーナが明かした。

不気味な家の仕掛けとは?『異端者の家』フォトギャラリー

 シスター・パクストン(クロエ・イースト)とシスター・バーンズ(ソフィー・サッチャー)は、布教のため、森に囲まれた一軒家を訪れる。リードの気さくな物腰と、妻が在宅中という話に安心した2人は、家の中で布教をしようとするが、リードは「どの宗教も真実とは思えない」と持論を展開し始める。不穏な空気を感じた2人は密かに帰ろうとするが、玄関の鍵は閉ざされており、携帯の電波もつながらない。何とか帰ろうと、教会から呼び戻されたと嘘をつく2人にリードは、帰るには家の奥にある2つの扉のどちらかから出るしかないと告げる。

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予告編にも登場するししおどし(C) 2024 BLUEBERRY PIE LLC. All Rights Reserved.

 ある目的のために訪問者を誘い込むリードの自宅は、一見温かみがあるが、訪問者を閉じ込める仕掛けが施されている。家のバランスからすると異様に小さい窓や、通常よりも少ないドアの数。『ハンガー・ゲーム』シリーズや『マザー!』(2017)、『オーシャンズ13』(2007)などの話題作を手掛けてきたフィリップは、「“窓から逃げたらいいのに”とか“あれでミスター・リードを襲えばいいのに”とか思われたらダメなんだ」と語り「セットには武器として使えるものは、何一つとしてない」と断言する。

 「たとえば、ミスター・リードには奥さんがいるという印象を与えるために、部屋の中に編み物用のバスケットに針を入れて置いていたけど、針は武器になり得るから、取り出すように監督から指示された。“針で刺せばよかったのに!”と観客は言いかねないからね」

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 そんな家のなかでも目を引くのが、予告編にも登場する「ししおどし」の存在。本来は日本の庭園でよく見かける装飾品だが、フィリップは「ビジュアル(視覚)ではなく、サウンド(聴覚)のためのものなんだ」と明かし「しずくが上から垂れてきて、竹が音をたてる。メトロノームをイメージした」とシスターたちを音で翻弄するアイテムなのだと語る。

「セットには武器として使えるものは、何一つとしてない」(C) 2024 BLUEBERRY PIE LLC. All Rights Reserved.

 「ししおどし」を採用した理由のもうひとつには、過去に担当した仕事の影響もあったようだ。フィリップは「『オーシャンズ13』のカジノのセットも覚えている。あのカジノは、それまでのハリウッド映画で最も大きなセットの一つだった。ワーナー・ブラザースの一番大きなスタジオに作ったんだ。日本のものも多く取り入れたね。ホテルロビーをデザインした時、壁に日本庭園を造った。あれは珍しかったと思う。さらに円形のロビーには、鯉が泳ぐ池を作り、和柄の模様を3Dで描いたんだ。あの作品では、日本文化を結構掘り下げたよ。安藤忠雄も大好きな建築家の一人だ」と日本デザインへの愛着を明かしている。

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 「本作は、同じ密室空間で長時間過ごすことになるから、観客の目に映る電気やレコードプレーヤーやキャンドルなどあらゆる小道具が、何らかの変化をもたらす。それが最大のチャレンジだった。予算が少ない中、観客を引きつけるビジュアルを作らなければいけなかったんだ」と振り返るフィリップ。“ロマンティック・コメディの帝王”と称されたヒューの怪演が話題の本作だが、映画のもうひとつの主役といえる“家”にも注目の一本となりそうだ。(編集部・入倉功一)

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