Q |
(以下、A=マイケル・アプテッド、R=デニス・リチャーズ、M=ソフィー・マルソー)
マルソーさんの演じた役は、時には冷酷で、時にはとてもチャーミングという具合に
かなり難しい役柄だったと思いますが、何か役作りはしましたか?
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M |
ソフィー・マルソー(以下M) 私の演じた役はシナリオの中で緻密に計算されて、
作られたものだと思うわ。彼女は子供時代に経験した不幸な出来事のために、悪魔的
な部分を持ってしまったの。他人に対しても、どう愛情表現をしていいかが分からな
い。 私は気の狂ったような人物を演じたくなかった。むしろ、外面
的には美しいと 同時に、情熱的な部分を秘めている、そういう女性を演じようと思ったの。現実の世
界でもこういう女性はいるでしょ。 外見は普通の人でも、世間を驚かせる事件を起
こしてしまうような人は結構いると思うわ。 |
Q |
共演したピアース・ブロスナンとロバート・カーライルの印象は? |
M
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ピアースに関しては、どうしても過去のボンドと比較されてしまうから、とても
プレッシャーだったでしょうね。でも、彼は肉体的にも精神面でも、自分なりの世界
を作ってボンドを演じていたと思うわ。カーライルは国際的にも最近、有名になって
きたし、それは本人も意識しているでしょう。彼はとてもプロフェッショナルな方で
、チャレンジ精神にあふれているの。演技をするのが、とても好きな人なの。 |
Q |
フランス映画とアメリカ映画の根本的な違いは? |
M |
アメリカ映画というと、どうしてもプロデューサーの映画という感じが強いわ。
もちろん才能あふれる監督は多いけど、作品で一番中心になる立場の人がいるとすれ
ば、やはりプロデューサーの方でしょうね。予算やヒット性に関して監督と対立する
ことがあっても、プロデューサーは自分の意見を通すでしょう。その一方で監督に十
分な製作費を与える権限も持っているの。それに比べて、ヨーロッパの映画は、監督
が絶対的な権限を持ち、彼の映画という気がする。作品ははじめから監督の価値観で
、でき上がっていったものだと言えるわね。 |
Q |
リチャーズさんの演じる役は、物理学者なのにタンクトップを着ている。この役柄を
あなたはどう考えましたか?
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R |
デニス・リチャーズ(以下R) 衣裳に関して言えば、世の中の物理学者もあんな格
好をしたらいいのにって思ったくらい。新しいトレンドを作りたいという意味もある
の。この映画での彼女の役割はボンドを助けること。彼女がスクリーンに登場すると
、とても明るくなるでしょ。ファンキーで楽しい役だと思うわ。ボンドは彼女を必要
としているし、とても重要な役だった。 |
Q |
狭い所、高い所、水の中など、恐怖を感じるシーンがたくさんありましたが、いかが
でした? |
R |
オーディションを受けた時に、まず「君は泳げるか?」と聞かれたの。その時に
「泳げる」と答えたけど、あんなに水中シーンや潜水艦の中で潜るシーンがあるとは
想像してなかった。でも、体を動かすことが好きなので、とても楽しんでできたけど
。ピアース・ブロスナンがいろいろ助けてくれたし、彼はいろんなアクション映画に
出ているから、たくさんのアドヴァイスも受けたわ。 |
Q |
『オースティン・パワーズ』は007をパロディにしていますが、監督もその作品を意
識されたことはありますか? |
A |
マイケル・アプテッド監督(以下A) この映画でコミカルな要素を出すことに、と
ても慎重になるね。マイク・マイヤーズのイメージが湧いてきて、「ああ、いけない
、いけない」なんて考えるんだ。ユーモアが物語から自然に発生するものでなくては
ならないよ。ボンドが急にカメラに向かって、ウインクしたらダメなんだ。 |
Q |
今回でQは引退しますが、監督は最初からそのつもりだったのですか? |
A |
映画の中で引退がほのめかされていたけど、今回が最後というつもりはまったく
なかったよ。今後のシリーズでQとRのコンビをもっと見せていくつもりだったんだ。
この2人の関係をもっと追求していきたいという気持ちはみんなにもあったはずだ。
残念なことにデズモンド・リューウェン氏が交通事故で亡くなったので、それもかな
わなくなってしまった。 |
Q |
007シリーズをはじめて演出する意気込みは相当あったと思いますが、具体的に出し
たアイディアは? |
A |
アクションだけでなく、古き良き時代のボンドに戻って、ドラマ性を追求したか
ったよ。それから女性をもっと、中心的な人物としてとらえていきたかった。単なる
飾りとしてではなく、ボンドと共に行動したり、物語の中心的な役割を果
たす風にね 。女性をもっと活躍させたい。私自身もそう思ったし、今の世の中を見てると、作品
を女性にアピールするには、もっと女性を活躍させなければね。 |