増田
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増田久雄(以下増田):『風を見た少年』はC.W.ニコルさんの原作で、ぼくが6.7年前日本初の世界に向けてのアニメーションの素材としてとても素晴らしいものとずっと思っていました。ここ2年の間にC.W.ニコルさんと交流する中でそれが実現していき、日本映画初のクリエイターズ・エージェンシーの第1回目の作品として相応しい作品だと確信するようになり、監督さんや脚本やみなさんの力が全て結集してこの作品が完成しつつあります。また、声優さん方も本編が1本撮れるほどの素晴らしい方々が集まりました。
配給のブエナ・ビスタさんはいままで日本映画を配給したことがなかったのですが1年がかりでお願いをし、これを承諾して下さいました。日本の映画界も興行や配給のシステムがどんどんかわろうとしていますし、我々も常になにか新しいことをやろうとしていますので作品もそうですけど、この挑戦も応援して下ると嬉しいです。 |
ニコル |
C.W.ニコル:僕が今日朝9時に黒姫の自宅を出た時は吹雪きでした。でも2時間で桜の花の世界に来ることが出来る日本は凄いですね。この『風を見た少年』は一晩の夢でした。僕はそのころ宮沢賢治や古事記などの日本語と戦っている時期で、夢を見てさめた時にさっと書こうとしたら、英語は出てこなかった。だから初めて日本語で小説を書いたの。非常に単純な日本語でぼくは当時38歳だったけど、日本語の年令としては8歳だったと思う。…なんか照れちゃうな…(笑)。 |
大森
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大森一樹:増田さんから最初X話をいただいた時、アニメの監督なんてやったことないし無理なんじゃないですか、って言ったんですよ。そうしましたらちゃんとアニメの監督もいるということで、じゃあ名前だけなんだなと、軽く引き受けたんですが、やっているうちに呼び出しがだんだん多くなって来まして、脚本の打ち合わせから音楽、セリフ等アニメというのはこんなに沢山のパートで仕事があるものなんだなぁ、と感じております。日本映画を20年撮っていてあまりに日本映画の変わりなさにちょっとつまらないと感じていたところで、ちょっと変わったことがやりたいと思ったら、自分から色々と手を出してみないとおもしろいことはないんだと思いました。この映画の仕上げをやりながら楽しませてもらっています。 |
安達 |
安達祐実(以下安達): アニメの声優をやらせていただくのはこれで3回目。でも、自分の中ではすごく苦手なものと思っているの。自分でないものに声だけで演技をするのはもの凄く難しいと思う。でも精一杯頑張ってアモンなりきるわ。 |
前田 |
前田亜季: 今回初めて声優さんをやらせていただくことになって、初めてのお仕事がこんなに大きなお仕事でとても嬉しい気持ちと私にちゃんとできるのかなぁ、っていう不安な気持ちもあるけど、スタッフの方や出演者のみなさんに色々教えてもらって頑張ろうと思ってるの。 |
内藤 |
内藤剛志: 昔一度、医者の役で声優さんとして声がかかったことがあるのですが、本番3日前に体調を崩しまして自分が医者にかかって入院してしまい、それはできなかったんですよね。それ以来声優に対してはやりきれないものがありまして、いつかやってやろうとそう思っていたんですがね、今回このお話をいただいて喜んで引き受けました。ただ、初体験です。何をどうやっていいのかわかりませんが、俳優の仕事で自分の体に何か吹き込むように絵の中に自分の気持ちを入れれば出来るのかなぁと思っております。 |
あおい |
あおい輝彦: 劇場用のアニメーションの声優を演じるのは『あしたのジョー』以来だね。また増田さんとはジャニーズ時代からの友達、ニコルさんもお家に遊びにいったこともあるし、彼の生き物や自然のものに対する知識や感じ方には深く感銘を受けて尊敬しているファンでもある。だから、今回は本当に大ヒットする素晴らしい作品になればと思う。 |
原 |
原日出子: 私もアニメーションの仕事は初めてだけど、すごく憧れていたので頑張って次の仕事につながればいいわ。1回限りにならないように頑張ります(笑)。声にどれだけ人柄が出せるのかドキドキするけど、この厳しい時代に生きた優しく強い母親が表現できたらと思う。 |
夏木 |
夏木まり: 本がとてもいいと思うわ。久しぶりに私の乱れた心が洗われたと思った(笑)。 |
原田 |
原田大二郎: 僕はアニメは2本目なんだけど、子供達に夢があたえられればいいな。 |
つのだ |
つのだ☆ひろ: みなさんはお芝居をやっておられますが私は未経験もいいところ。ただ、音楽をやっているので喜怒哀楽を表現するのは得意でそういうところが生かせればいいな。歌う場面
もあるので音楽家や歌い手として頑張ってみようかなって思うよ。 |
Q |
安達祐実さんと前田亜季さんを声優としてキャスティングした理由は? |
増田 |
主役のアモンとマリアの声優は原作を読んでいる時から早く決めたかったのですが、絵が出来上がって作品のカラーが出来るまで決めかねていました。基本的に少年の声は女性にやってもらうことが多くって、ぼくは6年前に『ヒーロー・インタビュー』という映画で安達祐実ちゃんと仕事をして、中学生なのにこんなに芝居が上手な子がいるのかと感心していました。あの時に真田広之さんが男の子と間違える女の子の役で、そのイメージがぽっとうかんできてこれはもう祐実ちゃんしかいないと思いました。マリア役の亜季ちゃんはデビューした時から知っていましたし、祐実とならんだ時、アモン、マリアのイメージがぴったり来ると思いました。 |
Q |
脚本を読んでどんな感動や感銘を受けたか? |
安達 |
愛情、友情、助け合う気持ちとかそういうものってすごく素敵だなっていう印象をうけて、人間の感情には野望とかそういった感情があるけど、それに立ち向かっていく勇気の大切さや、信じる力や夢を見る力、そういうものをいつまでももち続けていたいなと感じたの。 |
前田 |
いままで全然みたことのない新しいもので、助けあったりお互いの思いやりの気持ちなどに凄く感動したわ。 |
Q |
日本から世界への具体的な計画は? |
増田 |
アメリカマーケットに関する具体的なツメはしていませんがブエナさんのルートを使わせていただいてアメリカのマーケットに出していきたいと思っています。ぼくは、『トイ・ストーリー2』などのフルCGアニメを見てとても日本映画には勝ち目はないと思っていました。しかし、アメリカのブエナのエグゼクティブの方達が僕らのパイロットを見てアニメーションではなく、「おお!ジャパニメーション!」と言って拍手が起こったんですね。僕らのジャンルはジャパニメーションだと思ってやっていけば、そこに切り口があるんじゃないかと思ってます。 |