Q |
迫力のある映像だったが危険もともなったのではないか。
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J |
(ジョナサン・モストゥ監督:以下J)実際、大変な撮影だった。肉体的にもかなりきつかった。最初の撮影を終えて何人かもうやめる、と言い出す人が出るのではないかと思っていたよ。
だけど、役者さん達がこの仕事はいままでの中で一番楽しいよ、と言ってくれた。きつければ、きついほど、楽しいと言っていたのでクレイジーなヤツらだ!と思ったよ。(笑)
5ヵ月間の撮影だったが、もし、濡れたくないとか寒いのがいやだなどと言う人はこの映画には絶対出れないよ。それは覚悟はしていたけど、毎日が挑戦、忍耐の連続だった。映画作りのコツは非常に危険に見えることも実は安全にはとても気をつけているということなんだ。
実際は海に出たりボートに乗ったり危険をともなうことが多かったんだ。爆薬もかなり使った。だけどこの撮影中にだれも大きな怪我をしたということは一切なかった。それは誇れることだと思う。 |
Q |
極限状態の中にいるという設定だが、その状態をどのようにしてキープしたか? |
K |
(マシュー・マコノヒー:以下
M)いい質問だね。緊張感を高めるというのは非常に今回大切だったんだ。
肉体的にも精神的にもそうなっていなければならなかった。僕らはスピードを上げておく、という表現を使ったんだけど撮影が始まる前にランニングするんだ。それでかなり汗をかいておく、何人かのシーンの場合はレスリングをしてから撮影に入るんだ。
息を上げて汗をびっしょりかいてテンションを高めたまま撮影するんだ。同じシーンを次の日も一週間あとも撮るわけだけど、前に撮ったシーンを同じ状態を作りあげなければならない。だからこれは毎日のルーーティン・ワークだったね。
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Q |
あまりCGがないように思えたが…
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J |
CGの技術が水に関しては完璧といえない状態だった。特に水はだれでも馴染みのあるものだから作り物っぽいとすぐばれてしまう。そういう意味でちょっと使いたくなかった。
だから古風の方式だけど、実際600トンある実物大の潜水艦を作ったんだ。いままでのハリウッド史上で一番大きな雨、嵐を作ったと思うよ。子供の頃蒸気機関車のおもちゃで遊ぶのが大好きだったけど、大人になってユニバーサル・スタジオにこんな大きなおもちゃを与えてもらったといった感じだね。だから出来るだけCGを使わないでリアルなものを作るようこころがけたよ。
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Q |
ハーベイ・カイテルについてどう思ったか |
M |
大変演技にこだわりを持っている人だね。ちょっとかわってもいるけど。(笑)
彼の根底にあるのは彼の演じている役柄の真実を見つけだすということなんだ。常にそれを追求してるんだ。お客さんが見ていて全然きにならないような細かいこともすごく気にするんだ。たとえば、自分の帽子が濡れているべきか。乾いているべきかそういったことをすごく気にするんだ。
それが紺色だったりするとほとんどはた目にはわからないんだけどね。…だけど彼にとってそれは大変重要なことなんだよ。たとえ観客が気がつかなくても役者としての自分が納得するのが重要なんだ。演技はどこかを強調するとかではなくとてもシンプルだよ。 |
Q |
リーダーの条件とは何だと思うか? |
J |
色々な意味でリーダーというのはあるが、私にとっては監督というのがリーダーにあたると思う。
今回のような撮影は350人のスタッフがいる。そういう人達に、自分が何をしたいか分かっていて指揮を撮らなければならない。だけど、多くの場合私が何も解っていない状況があるんだ。
でもそれを皆に悟られてはいけないと思っている。映画の中でもハーベイ・カイテルとマシュー・マコノヒーのやりとりの中でこういうシーンがあるんだ。自分に自信があって、どういう方向に行くのかしっかりしたビジョンをもっている、そういうものがリーダーの条件だと思う。
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M |
まず、第一に自分のビジョンを明確に持っていることが大事だと思う。幅広く物事が見渡せる目。そして先見の目を持っていることが非常に重要だと思う。
第二にチャンスというのはほんのわずかな瞬間しかないのだと思う。そこを逃さないこと。決断をせまられた時、素早く機会を逃さずにチャンスをものに出来るかどうかなんだ。
第三にリーダーであっても全てを知っているということはありえないということなんだ。リーダーは他の人の意見にも耳を貸して、そして素晴らしい意見が出た場合それを採択するそういう力を持っていなければならない。
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Q |
本物の潜水艦に乗ったか? |
J |
サンディエゴに行って、Uボートではないけど現代の潜水艦に乗ったよ。映画が始まる前に潜水艦の艦長に講議を開いてもらって操縦法などを学んだんだ。
第二時世界対戦中に使用された潜水艦は今世界中に12隻あるんだけど、その全てを出かけて行って見たんだ。映画が公開されたあと海軍が招待してくれて、彼等に今迄の潜水艦映画の中で一番忠実に潜水艦が描かれていたと言われそのとても嬉しくなったんだ。
その時に実際の潜水艦に載せて貰い操縦をさせてもらった。潜水艦の講習を受けていたからちゃんと操縦できたんだ。ちゃんと証拠のビデオもあるよ。
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ここでジョン・ボン・ジョビ登場 |
B |
(ジョン・ボン・ジョビ:以下B)俳優として仕事を始めるに際してミュージシャンとしてのイメージが強いので、キャスティングする側にもロック・スターを採用するのはどうなのかという躊躇が強かったと思う。
だけど、ぼくは俳優として自分のキャリアを作りあげて行きたいんだ。
だから映画の選択にも注意を払ってきたんだ。今回のU-571は監督がぼくに決めてくれた時に絶対に映画の中にミュージシャンのジョン・ボンジョビが出てきたなんて思われないようにしようと思った。ヘアー、スタイル身なりには気をつかった多くの文献も呼んで潜水艦の学校にも行ったし、色々役づくりの為に勉強したよ。 |
Q |
潜水艦を乗り移るシーンはとてもハードに見えるがどうだったか? |
B |
あのシーンはとても濡れて、気持ちのいい撮影ではなかったんだよ。ボートをまだ若い無名の俳優と一緒に漕いでいる時に「俺はミュージシャンとして成功してるのに、なぜ今こんなことをやってるんだ?」なんて冗談言ったりしたけどね。(笑)でもとっても楽しい撮影だったよ。
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Q |
既にロック・スターとして活躍している中で、俳優業との両立は難しくないのか。
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B |
期間の長いツアーに行くのはむずかしくなってきたね。
もっと映画に出たいから。レコードを出してこれをプロモーションする為のツアーはやるけど少し短くして映画もやって行きたいと思ってるんだ。
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Q |
潜水艦が3基あるそうだが、撮影後はどこに行ったのか? |
J |
この潜水艦をどかに売り付けてしまうとロジャー・コウマンのように低予算映画で来年あたりテレビで出るのは見たくないので、これがどこにあるのかはかくしているんだ。どっかにあるんだけどね。
…言えないよ。(笑) |
Q |
U-ボートのデザイン、コンセプトは参考にしたか。
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J |
U-ボートはドキュメンタリーの要素を持つ第二次世界大戦時のことを描いた映画だと思うのでこの「U-571」とは違うと思う。この映画は基本的にはハリウッドの娯楽映画だ。かなり現実的に描いているし、史実には基づいているが、娯楽性の高い作品だと思う。
脚本を書いたのは8年前に書いたが、非常に予算のかかる映画だと思ったのでずっとしまっておいたんだ。その後『クリムゾンタイド』などが公開されたけど、この映画は娯楽作品として非常におもしろかった。いままで潜水艦を描いた映画は赤字になったことがないという伝統があるんだ。
「U-571」もありがたいことにこの伝統にのっとることが出来た。長年この作品を映画化するチャンスを待っていてやっと巡って来たって感じだね。あとU-ボートの中にも『クリムゾンタイド』の中にもこんな男前の乗務員はいなかっただろう?
(ジョン・ボン・ジョビとマシュー・マコノヒーを指して)これはとってもポイント高いよ。
(ジョン・ボン・ジョビここで監督に5千円札を手渡す) |