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この映画の中のスタントは、すべて俳優たちがほとんど自分たちでやろうということ
でやってきたんだけど、ケガはなかったよ |
Q |
まずは挨拶からお願いします。 |
P |
ウルフガング・ペーターゼン監督(以下P) 今回また日本に来れて、非常に興奮し
ている。特にこれほどの数のカメラマンに撮影されるのは、本当に久しぶりだからね
。もう一つのドキドキすることがあったんだ。
たぶん皆さんもご存じと思うけど、ジ ョージ・クルーニーがなかなか空港から到着しなかったんだ。30分遅れの到着だった
んだけど、それで裏のほうでずいぶん興奮していたよ。 2時間半かけて成田からこ
こに来たんだ。
今回の作品が皆さんにとって、またとないスリルを味わうことになる
と思う。それには二つ理由がある。この映画がアメリカにおいても非常に大きな成功
を収めてたのは、観客の皆さんが、ローラーコースターに乗っている以上の大変なスリルを味わえたからなんだ。特にサンフランシスコにあるILMの協力を得られたこと
で、史上最大の視覚効果を生み出し、“完璧な嵐”を再現できたというのが、一つの
理由。
もう一つの理由は、非常に感情的なインパクトというか、特にマーク・ウォル
バークとダイアン・レインの2人を描いた人間ドラマ、人間の愛の物語というのがこ
の作品の中心なんだ。嵐と人間ドラマによって、非常にうまく相乗効果
が出せたので 、画期的な作品に仕上がったと、 私は思う。
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W |
マーク・ウォルバーグ(以下W) 今回、日本に来て『パーフェクト ストーム』の
話をするということは、おそらく大半がジョージ・クルーニーの話をすることだと思
うよ。とてもエキサイティングなことだね。 |
C |
ジョージ・クルーニー(以下C)最初に日本に来たのはたぶん2、3年前だと思う。
監督が今、スピーチしたけど、2つ言い忘れたことがあるんだ。
1つは映画の中でマー クがシャツを脱いで、素晴らしい裸体を見せたということ。
それから、2つ目は、監 督がこの映画を観るお客様すべてに車をただ
で差し上げると言うことなんだ(笑)。
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Q |
この映画は見ている方も大変で
、ずっと船酔い状態だったんですけど、撮影の 最中に実際2人が船に酔ったこととか、ケガをしたことがあったかを教えて下さい。 |
C |
ケガということは幸いなかった。これは監督がつねに安全対策に気をつかってい
たからなんだ。
監督の意思もあって、この映画の中のスタントは、すべて俳優たちが
ほとんど自分たちでやろうということでやってきたんだけど、ケガはなかったよ。
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P |
出演者やスタッフの安全はつねに考えていたつもりなんだ。 |
W |
今振り返ってみると、数回、怖い思いをしたよ。危険なことをしたなと思うシー
ンが、数回あったね。 |
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演技というよりもどの人物が一番魚臭いかなという感覚で選んだつもりなんだ
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Q |
マークとジョージの素晴らしいコンビネーションがスクリーンから伝わり、ただ
の災害パニック映画ではない感動を覚えました。ハラハラするシーンがたくさんあり
ましたが、2人が死を感じる程の恐怖を味わった撮影シーンはどんなところですか? |
C |
ラストで2人が絡むシーンだけど、船がひっくりかえってしまって、操舵室がク
レーンで吊り下げられて逆になっているんだ。
監督はそれをぼちゃっと水の中に落と した。そこから脱出できないという危険性もあって、救急班が酸素マスクを持って待
機していていたよ。水中シーンのなかでは、かなり精神的に大変なシーンだった。
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Q |
これだけ水に濡れる俳優は久々に観たなと思いましたが、実際、水の中で撮影さ
れていて、台詞が言えなくなったこととかがありますか? ちなみにマークは中耳炎
になったと聞いていますが……。 |
C |
確かに普通の状況とは全く違うので、台詞を言うのは大変難しかったね。
台詞を しゃべっているうちに、どっちの方向から水がかかってくるかわからなくなるんだ。
それもすごい勢いで水がくるわけ。
それをよく知らない状態で、台詞をちゃんとしゃ
べっているのは大変むずかしくいよ。確かに機械はゴォーと鳴っていて、あっ、
向 こう側から来るな、と思っていると、その向こう側から監督の声が聞こえてきて、
水がバーンと来るという様な状況だった。非常に難しかったよ。
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P |
監督としてひと言付け加えたいのは、これだけの危険な要素がたくさんある映画
の中で、この2人の役者が映画を作るという意識をつねに失わずに、非常にうまいコ
ンビネーションを出し、しかも危険な要素の中で相乗効果を出しながら、よくここま
でやってくれたと褒めたい。 |
Q |
今日いらしている2人をはじめ、出演者の皆さんは俳優ではなく、漁港の人々に
なりきっていらして、画面から魚の臭いがしてきそうなくらいだったのですが、演出
のポイントとして、いかがでしたか? |
W |
今回の映画に関して、おっしゃる通りで、演技というよりもどの人物が一番魚臭
いかなという感覚で選んだつもりなんだ。いまここに一番魚臭い2人が来ているわけ
なんだ(笑)。
とりあえず、魚臭さの冗談はさておいて、自分の演出というか、いわ
ゆる監督としての今回の映画作りは、全く今のコメント通りにできれば、いい作品が
作れると思った。つまりこれは本当にマサチューセッツ州のグロースターにいる漁師
たちの暮らし、その人たちの妻やガールフレンドや親戚など、グロースターというコ
ミュニティーをそのまま現実に再現するということができれば、それ以上素晴らしい
作品はないんじゃないかと思っている。
自分としては、今回、特にマークとジョージ が単に素晴らしい演技をするとかではなく、本当にグロースターの漁師に成りきると
いう意味においても、彼らと同じように生活をともにして、そこから、いま言われて
いるように思っていただけたなら、私は今回本当に満足する作品ができたと思ってい
る。ありがとう。
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亡くなった人々を一番正直に描かなくてはならないという責任も感じていた |
Q |
これは実話を基にしていて、もちろん犠牲者の方がいらっしゃるわけでして
、 その方々の家族ともお会いしたわけですよね。そう言った実話を基にして娯楽映画を
作るということで、亡くなった方やご家族への責任というものをお感じになったでし
ょうか? |
C |
それはここにいる3人、そしてまた映画に関わった全ての者がそのことを重く受
け止めてきた。
またこのベストセラーの原作を書いたセバスチャン・ユンガーに対す
る責任というか、彼のこの素晴らしい本をだいなしにしてはならないという責任も感
じていた。私は、私が演じたビルという人の家族、そしてマークはマークなりに彼が
演じたキャラクターの家族と接触をして、彼らの気持ちを聞いて、彼らを傷つけまい
とする演技をしてきたんだ。
これは本当に最近、起こった事故で、18歳や19歳という
、漁船に乗った若者たちの命が奪われるというもので、1991年に起こったんだ。この
話は決してタイタニックの話でもないし、そういう昔の話でもないし、80年前に起こ
ったことでもない。 最近、起こった悲劇なんだ。だからこそフェアな作り方をしな
ければならないし、 亡くなった人々を一番正直に描かなくてはならないという責任
も感じていた。それから町に対する責任も感じている。
監督はこの映画の企画の段階 から、この話から嘘をつくってしまうことは絶対に避けようということをいつも我々
にも徹底して話していた。そして嘘をつくということは実在の方を傷つけることなの
で、絶対にやらない。みんながその責任を感じて作り上げたのがこの映画なんだ。
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Q |
ジョージ・クルーニーさんに伺いますが、最近のアメリカ版のプレイボーイのイ
ンタビューで初めての俳優としての仕事が、日本のパナソニックのコマーシャルだっ
たと言っていたの読みましたが、それはいつのことで、どういったコマーシャルだっ
たんでしょうか? その時ギャラはいくらで、今だったら、同じコマーシャルに出た
ら、どの位ギャラをもらいたいですか? |
C |
電通を通して来た、パイオニアのCMだったよ。1984年で22歳の時だった。もちろ
ん今だったら、ギャラはもっともらうよ。
CMは日本に来て撮影したんだ。正確なギャ ラの額は覚えていないが、その時は食べていかなければならないということで、クリ
スマス・イヴに東京に来て撮影したんだ。
それからシャレードという車のCMもやった よ。
たくさんやってたんだね。
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Q |
なぜ、2人はそんなに惹かれあっているんですか? 気持ちが通
い会う理由はな んでしょうか? |
W |
最初の出会いは『スリー・キングス』なんだ。
ジョージが非常に親切でね。
今回 、この映画で監督に僕を推薦してくれたんだ。それから僕は彼にくっついて離れない
。この後、彼がプロでュースした映画にも出るし、といった感じでたくさん予定があ
るよ。
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C |
マークと一緒でラッキーだね。マークはムービースターの座は約束されているし
、また、素晴らしい俳優だし、いい奴なんだ。そういう人と一緒に仕事ができるとい
うのは幸せだよ。
私にとってこの『パーフェクト ストーム』はとても大好きな映画
で、監督ともまた仕事ができた。私が持っているすべてを引き出してくれる人、そう
いう監督はあまりいないんだ。また一緒にできるなら大歓迎だよ。
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