本作はクローン技術をテーマにした映画だ。舞台となる近未来ではクローン技
術が発達し、絶滅した動植物の再生はもちろん、ペットのクローン化もビジネス
として行われている。ただし、人権保護の意味から、人間のクローンだけは「6d
法」という法律で禁じられていた。自らプロデューサーとしても名を連ねるシュ
ワルツェネッガーは、製作の理由を「テーマが実にタイムリーで、完璧なシナリ
オだと思ったからだ」と語る。
「脚本が書かれた頃は、ちょうどあらゆるメディアでクローン問題が取り上げら
れていた。脚本は30年くらい先の未来を想定して書かれたものだが、撮影中に予
想以上に技術が発達し、あと15年もしたら、人間のクローン化が可能になるんじ
ゃないかと言われている。だから(テーマが古くならないうちに)急いで製作を進
めたんだ」
今回シュワちゃんが戦うのは、非合法に人間のクローン化を行う悪の組織。彼
らは一部の権力者の延命のためにクローン化を行っているが、手違いから、シュ
ワちゃん扮するアダムのクローンを作ってしまう。そして、本物のアダムは組織
から命を狙われることになるのだ。もし、自分のクローンが目の前に現れたら?という質問に、シュワちゃんはこう答えた。
「この映画のように、ある日突然 現れたら、ショックだろうな。でも、もし可能なら、僕は喜んでもう一人の自分
を作るだろうね。そうしたら、クローンにここに座ってもらって、自分は東京見
物に行くことにするよ(笑)」
当初、アダムはペットのクローン化にすら批判的である。しかし、彼は自分の
クローンと出会い、彼自身もハートを持った尊い人間であることを認め、協力し
て組織に立ち向かっていく。クローン技術への賛否、倫理観について監督は、
「僕はこの映画はクローン技術を肯定していると考えている」と語る。
「今後もこの問題は人類の大きな課題として取り上げられるだろう。臓器ならい
いのか、 人間全体をクローン化してもいいのか。これは複雑で難しい問題だよ。だが、私
はクローン化をいいことだと考えたい」
その意見にシュワちゃんがこう続ける。 「クローンも同じ人間である、という点は、作品の中でクリアに描かれていると
思う。 最新技術はうまく使えば、人類に多大な利益をもたらすが、悪用すれば大変なこ
とにな る。そのためには、ルールを確立して、間違いがないようにすべきだ。映画には
そういうメッセージが込められているんだ」
シュワちゃんの日本滞在はたったの2日間。新作をメキシコで撮影中のため、
短期滞在となったが、それでも「子供と妻へのおみやげは必ず買って帰る」らし
く、マイホーム・パパぶりが伺える。
彼は知的障害者を対象としたスポーツの祭 典「スペシャルオリンピック」のインターナショナル・コーチを20年間務めるな
ど、俳優業以外にも幅広く活動しており、人間的にも魅力あふれる人物だ。シュ
ワちゃん人気は、まだまだ続きそう。
『シックス・デイ』は12月16日より日比谷スカラ座ほか全国東宝洋画系にて超拡
大ロードショー!!
公式サイト:http://www.eigafan.com/
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