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ウィリアム・フリードキン監督インタビュー
『エクソシスト ディレクターズ・カット 版 』11/23
渋谷東急ほか全国松竹・東急系で絶賛上映中!
配給:ワーナー・ブラザース映画
27年後によみがえった伝説のホラー映画『エクソシスト』。なぜ今、ディレクターズ・カット版が公
開されることになったかを監督が説明する。
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今は、今回のものが最終版だと思っているよ。シーンを加えたことで、より精神的
な面が反映されたと思っている |
Q |
ウイリアム・フリードキン(以下F)
なぜ、27年もたった今、ディレクターズ・カット版を製作することになったのですか? なにか具体的なきっかけがあったのでしょうか? |
F |
73年に全米で公開されたこの作品は、世界中で成功を収めた。でも、原作者のブラッティ
は私がカットした、約11分間について、ずっと言い続けていたんだよ。「あのシー
ンは大事なんだ!」とね。
彼と私は友人同士だが、これに関しては、ずっと意見が
合 わなかった。でも、彼は25年の間、ずーっと、「とにかく、一緒にカットしていな
いフィルムを見てくれ」と言い続けていたんだ。あんまりうるさいものだから、ついに、去年一緒に見ることに同意したんだよ。きっと、「ほら、やっぱりカットして良かっただろ?」と、言うことになると思っていた。でも、ワーナー・ブラザースで
一緒に見た後、
「僕が間違っていた」と、ブラッティに言ったんだ(笑)。 今回
加えたシーンは、はじめから入れておくべきシーンだった。私たちと一緒にワーナー
の人々も見ていたが、彼らは、もしシーンを加えるなら、再公開したいと言った。そ
れ で、私は、まったく新しいプリントにすることと、6トラックのデジタル・サウンド
にすることをリクエストしたんだ。
オリジナルは、モノラルだったので。今は、今回のものが最終版だと思っているよ。シーンを加えたことで、より精神的な面
が反映されたと思っている。
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Q |
なぜ、日本での公開2日前に延期をしたのですか? 日本では、最後の第7巻目のリールに問題があると発表されていましたが、具体的には、どの部分がどんな状態だったのでしょうか? |
F |
全部だよ! とにかく、全体が暗すぎた。まるで、どこかの電源を切ってしまったようだったよ。
あの、エクソシスト(悪魔払い)の儀式のすべてのシーンが暗いん
だ。でも、アメリカでは、今、そのフィルムで公開されているが、誰も文句を言って
いないのも事実だ。だけど、私にはわかるからね。本当に、どうしてこうなってしまったのか……。
まったく不運だったと思うよ。ただ、今回に限らずだけど、ラボではいろいろと問題が起こる。たとえば、プリントをしているときでも、電圧が上
がったり、下がったりすることもあるし。現像液にしても、昨日と今日と違って
し まったり、そういうほんの些細なことが原因になったりするんだ。だけど、大量
生産する場合は仕方ない部分もある。
日本の人たちには、私なりに謝ったが、でも、 自分 で良くないとわかっていて、そのまま公開することだけはどうしてもできなかっ
た。
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『エクソシスト』は昔の古い映画ではなく、新しく生まれ変わったんだ |
Q |
伝説のスパイダー・ウォークのシーンは、73年のオリジナル版ではカットされていたのに今回復
活させていますが、これは何故でしょうか?
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F |
なぜ、ブリッジのシーンをカットしていたのに、今回付け加えたのかというと、当時、SFXは機械的にやる物で、オプティカル処理ではなかった。もちろん、今のよ
うにCGではできなかったんだよ。
それで、あのブリッジで歩くシーンはうまくいか
なかった。仕掛けが、観る人にわかってしまうんだ。でも、今はCGが使える。
それで、やろうということになったんだ。
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Q |
当時の撮影現場では、ショットガンや拳銃を俳優の近くで発射して驚かせたと
ころを撮影したという話を聞いたことがありますが、これは事実ですか? |
F |
事実だよ。ポンと来ていきなり悪魔の顔はできないだろう? だから、小道具の人に来てもらって、空砲を撃ってもらったんだ。 |
Q |
また、どうしてそんなことを思いついたのですか? |
F |
これは、私が始めたことだって言いたいところだけれど、実はずっと前から使
われているんだよ。アメリカの偉大な監督、ジョージ・スティーブンスが始めたんだよ。
『アンネの日記』の撮影時に使っていた。ナチスの占領下、ユダヤ人家族が常に聞こえているナチスの警報などに反応して、ビクッとするシーンがある。実際にはそこはただの撮影現場で、本物のナチスがいるわけでも
なく、隠れて生活しているわけでもない。そこで、ナチスのサイレンの代わりにスティーブンス監督は空砲を撃った。
瞬間的な驚きの表情はそうやって撮影されたんだ。 映画の中で、ジェーソン・ミラー(カラス神父)が、電話の音にんビクッとするシーン
があっただろう? あそこも、実際は電話に驚いたのではない。突然の“バン!” と いう空砲の音にビックリしているんだよ。
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Q |
もっとも苦労された点は何だったのでしょうか? |
F |
サウンドトラック作りが一番大変だった。音響と効果の全部を変えたから。背景の 音をすべて足して、新しい音楽も加えた。
ミックスの作業だけで2ヵ月、もっとも時間がかかったよ。
でも、一番楽しい作業でもあった。今回、観客も、音に囲まれて、
自分が真中にいる感覚を味わうことができるだろう。『エクソシスト』は昔の古い
映画ではなく、新しく生まれ変わったんだ。現代の映画と同じように楽しめるんだよ。
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