浅野忠信インタビュー
「監督から真面目にやってほしいって言われて、シリアスにやったんです。 でも完成した映画を見た時、なんか場違いなヤツだったかなって心配したんです」 | |||||||||||||||
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「石井の前作『鮫肌男と桃尻女』に出演後、脚本を見せて下さいって頼んだんです。それに勝手に意見したりしながら(笑)、オキタが面白いですね」と話したことから出演が決まった。4年前、『Focus』で盗聴マニアを演じた彼が、今回はノゾキ常習犯のオキタ役を自ら望んだ 「自然とそういうものを求めたっていうか、そういう人たちに共感を持ってるのかな」と言う。 「僕にはオタク要素はないんですけどね。何かを集めたりとか、1つのことをやり続けたりとか。あ、でも変態ではあるかもしれない(笑)」 とあるホテルの一室で繰り広げられる大騒動を、改造された隣室のノゾキ部屋から見続けるという設定だ。 「だから、ホテルの部屋に入ると気になる時もあります。(室内を見回して)ああいうところに鏡があると、ちょっと不自然じゃない? と思ったり」 監督の細部へのこだわりは前作同様徹底している。 「僕はアイディアを出したわけじゃないけど、髪型は、僕が去年絵の展覧会をやった時、ああいう頭をしてたんです。ボサーっと前にたらしているだけの。それを見て、“あ、結構気持ち悪い”と思ったらしくて(笑)、本当は七・三ぽいのを考えていたのが、こっちの方がいいって言ってくれました」 「撮影所で知り合いに会えないですよ、あんな格好で」と本人は苦笑する。 「原田さんと最初に共演したのは18か19歳の時、テレビドラマでした。これで3本目の共演ですけど、やっぱり緊張します。ただ、ああいう設定(ノゾキ部屋で2人きり)で緊張してるのもヘンだし、複雑ですね。大杉さんは、またさらに溯って、10年前に『パンツの穴~きらきら星みつけた』でご一緒しています。僕の友だちのお父さん役だったんです。今回お会いして、『久しぶり』と言って下さったんですけど、そういうことがあると、うれしくなりますね。“ああ、よかったかもしれない、今までやってきて”って」 脚本の扉に“コントの台本のように見えますがしばい的には、ドキュメンタリー的と言うか、リアリティーのある会話をよろしくお願いします”とあった。
今年も1月から『PARTY7』、春には相米慎二監督の『風花』、続いて是枝裕和監督の『distance』に出演、と活動はスローダウンすることがない。年に数本、しかも主演という状態を何年も続けているが、「そんなに大変ではないです」と、あっさり答える。 「月曜から土曜、朝から晩まで働いてる人がほとんどですよね。そう考えたら、僕もあんまり変わらないです。僕は僕の得意としている仕事をやってるから、全然苦ではないですね。逆にサラリーマンの人たちはいろいろ大変だと思います」。 次の撮影に入るまで1週間も休めば大丈夫、と頼もしい。才能の出し惜しみとは全く無縁の活躍に、今後も期待したい。 |