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浅野忠信インタビュー

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「監督から真面目にやってほしいって言われて、シリアスにやったんです。 でも完成した映画を見た時、なんか場違いなヤツだったかなって心配したんです」
 

浅野忠信

 新人から巨匠まで、彼を起用したいという監督はあとを絶たない。その要望に応え、様々なジャンルの作品に挑戦し続ける浅野忠信は、海外の映画祭でも特集上映が組まれる、文字通 り日本を代表する若手俳優だ。といっても、目の前に現れた本人には無駄 な気負いはまるでない。『PARTY7』の石井克人監督のキャスティングのポイントは「話してみて“いい人”」だそうだが、おだやかな物腰で、ひとつひとつ丁寧に答える姿はまさしくその通 りの好青年だ。

『PARTY7』
製作年: 2000年
製作国: 日本
公開: 12月16日   (シネセゾン渋谷)
上映時間: 1時間44分

配給: 株式会社東北新社

 


撮影:平野太呂
(冨永由紀)


 「石井の前作『鮫肌男と桃尻女』に出演後、脚本を見せて下さいって頼んだんです。それに勝手に意見したりしながら(笑)、オキタが面白いですね」と話したことから出演が決まった。4年前、『Focus』で盗聴マニアを演じた彼が、今回はノゾキ常習犯のオキタ役を自ら望んだ 「自然とそういうものを求めたっていうか、そういう人たちに共感を持ってるのかな」と言う。

「僕にはオタク要素はないんですけどね。何かを集めたりとか、1つのことをやり続けたりとか。あ、でも変態ではあるかもしれない(笑)」  

とあるホテルの一室で繰り広げられる大騒動を、改造された隣室のノゾキ部屋から見続けるという設定だ。 「だから、ホテルの部屋に入ると気になる時もあります。(室内を見回して)ああいうところに鏡があると、ちょっと不自然じゃない? と思ったり」  

監督の細部へのこだわりは前作同様徹底している。

「僕はアイディアを出したわけじゃないけど、髪型は、僕が去年絵の展覧会をやった時、ああいう頭をしてたんです。ボサーっと前にたらしているだけの。それを見て、“あ、結構気持ち悪い”と思ったらしくて(笑)、本当は七・三ぽいのを考えていたのが、こっちの方がいいって言ってくれました」
小学生のまま大人になったような服装もかなり強烈だ。

「撮影所で知り合いに会えないですよ、あんな格好で」と本人は苦笑する。
「着たかったんです。面白い! と思って。普段着られないし。でも、いざとなると、やっぱりちょっと抵抗があって、現場でも?どうやったって恥ずかしいよな?って、落ち着かない時がありました」
今回はほとんどのシーンが、原田芳雄と大杉漣のどちらかと一対一のやりとりになっている。

「原田さんと最初に共演したのは18か19歳の時、テレビドラマでした。これで3本目の共演ですけど、やっぱり緊張します。ただ、ああいう設定(ノゾキ部屋で2人きり)で緊張してるのもヘンだし、複雑ですね。大杉さんは、またさらに溯って、10年前に『パンツの穴~きらきら星みつけた』でご一緒しています。僕の友だちのお父さん役だったんです。今回お会いして、『久しぶり』と言って下さったんですけど、そういうことがあると、うれしくなりますね。“ああ、よかったかもしれない、今までやってきて”って」

脚本の扉に“コントの台本のように見えますがしばい的には、ドキュメンタリー的と言うか、リアリティーのある会話をよろしくお願いします”とあった。
「監督からも真面目にやってほしいって言われて、僕らもそれを真に受けて、シリアスにやってたんです。でもなあ……。完成した映画を見た時、永瀬(正敏)さんたちのシーンを見たら、もうホント面白いから、?俺なんか、あんなに真面目にやっちゃって場違いなヤツだったかな?って、心配したんですけど」
と言うが、真剣に悩む姿がまた笑わせるオキタの情けないアンチ・ヒーローぶりには、 やはり心をくすぐられるのだ。  

今年も1月から『PARTY7』、春には相米慎二監督の『風花』、続いて是枝裕和監督の『distance』に出演、と活動はスローダウンすることがない。年に数本、しかも主演という状態を何年も続けているが、「そんなに大変ではないです」と、あっさり答える。

「月曜から土曜、朝から晩まで働いてる人がほとんどですよね。そう考えたら、僕もあんまり変わらないです。僕は僕の得意としている仕事をやってるから、全然苦ではないですね。逆にサラリーマンの人たちはいろいろ大変だと思います」。 次の撮影に入るまで1週間も休めば大丈夫、と頼もしい。才能の出し惜しみとは全く無縁の活躍に、今後も期待したい。

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