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オルフェはリオで生まれ育った若き天才ミュージシャン。その美しい詩と曲には
誰もが魅了された。そんな彼は、カーニバルのチーム・リーダーとして今年も優
勝を目指し、練習に励む。ある日、叔母を訪ねてきた少女ユリディスと出会い、
たちまち恋に落ちるオルフェ。彼は、彼女のために麻薬王ルシニョールと対決するのだが……。
『オルフェ』
[2/23発売 ] |
監督=カルロス・ヂエギス/出演=トニ・ガヒード、パトリシア・フランサ/99
年・ブラジル/アプローズ/2月23日発売/16,000円 |
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ギリシャ神話のオルフェとユリディスの伝説は、引き裂かれた2人の愛と情熱
の悲劇。最愛の女性ユリディスの死を嘆くあまり、死者の国ハデスの入り口へと
たどり着いたオルフェは、その美しい音色でハデスの王の心を動かし「現世の光
を目にするまでは決して彼女を振り返らない」という条件でユリディスを連れ帰
ることを許される。地上まであと一歩。そのときオルフェは、ユリディスを一目
見たいという気持ちを抑えきれず後ろを振り向いてしまう。愛する者は失われた
……。死を超えてもなお愛し抜こうとした永遠の伝説がブラジルに伝えられ、ラ
テンの血と風土は、引き裂かれる運命をより悲愴なものにした。そして伝説は、
さらに深く刻まれたのだ。 |
深く愛し合う二人の前に立ちはだかる障害は、そう簡単に乗り越えられるもの
じゃなく、結ばれないもどかしさはますます想いを募らせて、愛をホンモノに熟
させる。まやかしの恋を繰り返していたオルフェは「僕の中に君がいるから。も
う人生をムダにしない」と、ストレートな愛の歌を奏でられる運命の相手と出会
う。でも真実の愛を貫くには、この世はあまりに醜すぎる。ピュアな二人の周囲
には悪意が渦巻き、それはこんな社会の縮図に思える。愛や情熱のためにリスク
を冒そうなんて生き様がめずらしくなったいま、伝説のラテン愛の物語は、打算
的な恋愛や、せせこましい生き方への警鐘なんだ。あなたは、その相手を名誉や
仕事やお金やモノ以上に愛しているか。いま愛し合わないで、いつ愛し合うん
だ!? (保本雄造)
interview
カルロス・ヂエギス監督
インタビュー=渡部賀子/構成=編集部
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「もしも人がみな 君のようだったら この世はなんて素晴らしいんだろう」
名作『黒いオルフェ』の否定
この映画が生まれるまでには、実はブラジル人の愛と憎しみが入り交じった長
い歴史がある。ギリシャの愛の伝説をブラジルの詩人が戯曲に書き下ろし、舞台劇としてブラジル人を魅了したのが50年代半ばのこと。そしてフランスのマルセル・カミュ監督が『黒いオルフェ』(59)として映画化し、語り継がれることになった。けれど、ほとんどのブラジル人はあの名作に失望していた。思春期に舞台版に感動した『オルフェ』(99)のカルロス・ヂエギス監督もその一人。「カミュは外国人としてリオに魅せられたようだが、あれは甘い恋愛ものでしかない。ブラジルの真実ともかけ離れていた」。つまり『オルフェ』は、<真実のブラジル>を知らせようと、待ち望まれてつくられたのだ。「リオのスラム街にはすべてが混在している。貧しく不正義に満ちていながら、美しい音楽も生まれる。その日常を表現したかった」と、監督。
interview
オルフェを演じたカリスマ的レゲエ・ミュージシャン トニ・ガヒード
インタビュー=渡部賀子/構成=編集部
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この映画はブラジルそのものだ
僕はミュージシャンなので、演技力に関して周囲は不安だったろうし、期待が大きくて、責任感がのしかかってきたのは事実さ。この映画がブラジルで記録的な大ヒットをしたのは、ブラジルの現状が文化的、社会的、経済的に、とても忠実に表わされているからだろう。ブラジル人の究極のナショナリスティックな感覚を表現している。ブラジル人がこの映画を好きなのは、つくりものっぽくないし、強い生き生きした色を持っているからだよ。大げさだと思うかもしれないけど、これは厳しく生々しい現実であり、でも愛すべき現実も混じっている。詩的で、希望もある。そういうものが入り交じったブラジルというものを表現している映画だと思う。
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ボサノヴァ+サンバ+ラップ
ブラジルを描く上で欠かせないのが音楽。舞台版はボサノヴァの世界的ブーム
のきっかけともなった。ブラジルのクラシックへ敬意を払い、スラム街が生んだ
伝統音楽を忠実に伝え、いまの音楽=ラップも融合させて盛り込む。伝統にオマ
ージュを捧げるばかりではなく現在と未来を踏まえ「ブラジル」を世界へ発信し
ようとするパワーが、ここにはみなぎっている。 |
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フェ』のVIDEO&DVD(2月23日発売/それぞれ税抜\16,000、\4,800/提供・アミ
ューズソフト販売)をもらおう。 |
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