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本物のレーサーになりたいかって?それは妻が絶対に許してくれないよ。(シルベスター・スタローン) |
S |
シルヴェスター・スタローン(以下S):みなさん、こんにちは。久しぶりの日本ですが、今回は本当に皆さんに楽しんでもらえる作品を持ってくることができて嬉しく思っているよ。日本はレーシングカー・ファンが多いと聞いているので、そういう意味でもこの映画をとても楽しんでもらえると思う。そしてハリウッドを代表して、日本のみなさんがいつもハリウッド映画をサポートしてくれているということにお礼を言いたい。どうもありがとう。
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K |
キップ・パルデュー(以下K):日本に初めて来ることができてとても嬉しいよ。日本はすばらしい文化を持っているし、とても楽しんでいる。スタローンが言ったようにハリウッド映画をとても愛してくれている人々の国に来ることができて、本当に良かったと思っている。 |
T |
ティル・シュワイガー(以下T):こんにちは。僕もキップ同様初来日なんだけど、日本に来ることができてとても嬉しく思っている。僕の妻は昔2年ほど東京に住んでいたことがあるから、いろいろと話しは聞いていたんだ。本当に、とてもドキドキわくわくしているよ。みなさんがこの映画を楽しんでくれることを願っている。 |
Q |
スタローンさんは脚本を手掛けていますが、今回同様にこれまでにも心に傷を負った男を主人公に描くことが多かったですよね。どうしてそういう人間に惹かれるのでしょうか? |
S |
人間とはそもそも、ある特定の年齢に達すると過去を振り返って「あの時こうすればよかった、ああすればよかった」と後悔することがとても多いと思う。言い換えれば、人生における“セカンド・チャンス”を求めるんだ。この題材に僕は昔からすごく心惹かれるところがあって、何度も繰り返し描いてきた。やはりこの気持ちというのは、どの国の人も同じで普遍的なものだと思う。だから描き続けているんだ。 |
Q |
男性は大体車が好きでスピードに興味を持つものですが、それはどうしてなんでしょう? |
S |
男だけじゃなく、女性も同じようにスピード、より速く動くということに対してはとても興味を持っていると思うよ。それは人間のとても原始的な部分なんだ。ただ、特に男性は機械が持つパワーに惹かれるもので、そういったところに魅力を感じているんじゃないかな。僕自身は長い間、スピードが大好きだよ。 |
Q |
カー・レーサーに実際になってみたいと思いますか? |
S |
それは妻が絶対に許してくれないよ(笑)。無理だね。『ロッキー』と同じでボクサーを演じたからってボクサーになったわけじゃないから、今回もただ単にレーサーを演じただけでなりたいとは思わないよ。 |
K |
僕の中で、どこかレーサーになりたいという気持ちがないわけじゃない。だけど今回の撮影で、レーサーというのは体中にアドレナリンがどんどん流れて、それと同時にすごく冷静でなきゃいけないということがわかった。実際のレーサーたちは、そういったことが可能な信じられないほどの才能の持ち主なんだよ。残念ながら、僕にはそれだけの才能も運動神経もないのできっとなれないだろうな。 |
T |
僕はドイツ出身で、ドイツというのはアウトバーンに制限速度がないんだ。だからそこでは結構スピードを出したりしたこともあるけど、父親になってからは自重するようにしているよ。キップも言ったように、レーシング・カーの世界というのは本当に別
世界なんだ。大変危険も伴うし、僕は絶対にやりたくないね。往々にして、役者はなれるんじゃないかとか頭の中で考えがちなんだけど。 |
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脚本は4,000ページ書いて最終的に採用したのは100ページさ。(シルベスター・スタローン) |
Q |
脚本はどのぐらいの期間をかけましたか? 何度も書き直したそうですが、どの辺かを教えてください。
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S |
ドライバーの心理をすごくリアルに描いていると思いました。
たとえば、ヘルメットをしていると自分の心臓の音しか聞こえなくなるとこなど、よく表現できてるんじゃないかしら。
今ちょっとレースをお休みしていたけど、今日の映画を観てまた、すごくレースがしたくなりました。
今回はスタローンが脇役っぽかったけど、存在が光ってたと思います。
サマーシーズンの映画の中でこの映画が一番おもしろかったと思います。
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Q |
撮影中に一番怖い思いをしたシーンを教えてください。 |
K |
全般的に安全対策は万全だったので、それほど危険だと思うことはなかった。唯一、シカゴで普通
の道路をレーシング・カーで走るシーンだけは怖かったな。普通
の自動車と一緒に走って初めて、いかにレーシング・カーがパワフルであるかというその差が鮮明にわかったんだよ。レーシング・カーを通
常の道路で走らせるというのは前代未聞の試みだったし、一歩間違ったらどんなに危険なことが起こるかというのが身にしみてわかって、本当にゾッとしたね。
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Q |
『ノッキン・オン・へブンズ・ドア』という大変素晴らしい作品を監督&主演なさっていますが、今回役者として演じたキャラクターにティルさんの意見は反映されているのでしょうか? また、撮影中に何か提案したことなどありますか? |
T |
映画を撮り始める前に、役者が全員揃って読み合わせをするという場があるんだ。その時にいろいろと話し合ったんだけど、脚本家であるスタローンがとにかく真剣にみんなの意見をノートにメモを取っていた。そして次の日の朝には、一から書き直した脚本を不眠不休で書いて持ってきたもんだからびっくりしたよ! そんなの見たこともなかったからね。彼は僕に「君は君だからこの役に雇ったんだから、君の持ち味を十二分に出してくれ」と言ってくれた。僕はそれが本当に嬉しかった。ただ一つだけ採用されなかったアイディアは、最後のレースで僕を勝たせてくれって言ったんだけど、残念ながらそれはダメだったね(笑)。 |
Q |
撮影では実際にレーシング・カーを運転したのですか? |
S |
ラスベガスに行って、実際のプロのレーサーについて運転法を習った。映画の中でも実際に僕が運転しているシーンがあるよ。待ち時間の間にレーシング・カーに乗って運転したりもしたんだけど、キップはぶつかってばっかりいたな。 |
K |
そんな…。すごく心が傷ついたよ(笑)。 |
S |
それは努力したことだから、ぶつけたっていいんだよ(笑)。僕はすごくスピンをするのが好きなんだ。それからこの映画に出演している二人の女優も、ヘルメットをかぶって運転したんだよ。特にジーナ・ガーションはすごく上手くて、実際僕より上手かったぐらいさ。それを観た時には、僕のエゴがすごく傷ついたね。 |
K |
そんなこと言って、さらに僕のエゴが傷ついたよ……。ぶつけてばかりいたってことを暴露されて、本当に僕は悲しいよ。 |
Q |
レニー・ハーリン監督とは今回が2作目になりますが、なぜまた彼と組んだのですか? またご自分で監督をする予定はありますか? |
S |
僕自身は、ぜひまた監督したいと思っている。僕の歳になると、才能のある若い俳優たちがたくさん後輩に出てくるから、彼らをサポートして映画を作っていきたいなという気持ちになるんだ。50歳にもなると主役の重荷というのは相当なもので、その重荷をまた他の人にも担ってもらいたいと思っているよ。
ハーリン雇ったのは、彼が職がなかったからさ。なんて冗談だよ(笑)。彼自身、とてもレーシング・カーが好きだったので依頼したんだ。 |
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実際には僕はとてもつまらない平凡なドライバーだよ(笑)。(キップ・パルデュー) |
Q |
一般道でメーターを振り切ったことがありますか? |
S |
毎朝子どもを学校に送っていくときにメーターを振り切ってるよ(笑)。今回撮影に使った車は時速240マイルまでなんだけど、そこまでは速く走ったことはないな。でも約束するよ。続編では、あなたのために命を捧げてメーターを振り切るようにするよ(笑)。
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K |
僕はとてもつまらない平凡なドライバーだよ(笑)。ステーション・ワゴンを運転してるんだけど…… |
S |
ステーション・ワゴンを運転するぐらいならバスに乗れよ! |
K |
この映画に出るまではスピードには全然興味がなかったんだけど、この映画のおかげで僕はアドレナリン・ジャンキーになっちゃったんだ。だから、ステーション・ワゴンは中古やに売って、そろそろポルシェに買い換えようかなって思ってるぐらい(笑)。みなさんもこの映画を観た後に車を運転する時には、本当に気をつけてよ。スピードを出したくなっちゃう映画だからね。 |
T |
僕もメーターを振り切ったことはないよ。一番小さいフィアットに乗ってるんだけど、それは時速260マイルまで出る。だけど、僕が出したのはせいぜい90ぐらいまでかな。ドイツではみんなすごくスピードを出してるんだけど、ほとんどの車は250マイルを超えると自動的にエンジンが止まるようになってるんだ。だけど、僕はそんなに速くは走らないよ。 |
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僕はレーサーと結婚する女性の気持ちもわからないよ!(キップ・パルデュー) |
Q |
レースに対する思い入れを聞かせてください。 |
S |
やっぱり、ドライバーというのはすごくスペシャルな人たちだと思う。そして生まれながらの才能を持っている。内面
的に強く、言い換えれば恐怖心と仲良くなれる人。特別な能力を持っている人たちなんだ。すごい事故を乗り越えてカムバックする人もいるよね。そういうことを考えると、すごく面
白い世界だなと思った。 僕は個人的にアイルトン・セナやシューマッハ、ハイネッケンたちと親しくさせてもらっているんだが、彼らはすごく特別
な人物だっていつも思うよ。この映画の登場人物にも、彼らのいろいろな部分が反映されている。
映画の中でも描いたように、雨の日のレースは世界で一番危険なものだ。それができるのは世界で10人ぐらいしかいないと思う。何しろ、10メートル先しか見えなくて、横を見ながら走らなきゃならないんだからね。そういう一種クレイジーな部分が、また心惹かれるところでもあるんだ。レーシング・カーの映画が100本あったら、僕は100通
りの違った映画ができるだろうと思うよ。 |
K |
この映画に出演するにあたって、スタローンから最初にもらったのはセナの本だった。その内容には、すごくインスパイアされるものがあったよ。これはスタローンに代わって言うんだけど、僕の演じたキャラクターには、セナのクラスのアスリートの要素がたくさんあると思う。 |
T |
全くスタローンの言う通りで、僕も本当にクレイジーだと思うよ。彼らには生まれ持った才能がある。だけど、あんなに危険なものなのになぜもっと人が死なないのか、ということに僕はよく驚くよ。この前もシューマッハが時速300キロで走行中に事故を起こしたけれど、大したケガもなく生き延びている。全くクレイジーだね。それに僕はレーサーと結婚する女性の気持ちもわからないよ! |