まほの[子連れ]ハリウッドへの道26
ストリートミュージシャンとしての第一歩?!(大根エキストラまほ番外編!の巻) |
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あの、悪夢のような撮影が始まる前のこと…。私はまだ、のんきに友達とお喋りしながら楽しく出番を待っていました。 一人で、エキストラをしに現場にいるのってかなり退屈なんだけど、友達と来ると数倍楽しい。ながーーい待ち時間もヘッチャラなのさー。そう、エキストラに必要なのは、まさしく“待ち”を我慢する忍耐力。ひどい時は8時間とか待たされちゃうからね。 1日100ドルとかのギャラは、ほとんどその拘束時間に払われているようなものなのです。 でも、このエキストラ待ちを経験したお陰で日本に帰ってからというもの、でっかい病院でどんなに待たされても平気になったさ。何ごとも、やっとくものだなあ。 まあその話は置いといて、私と同じくずたぼろパンクの格好をした友達と、道ばたに座ってコーラを飲みつつ、撮影の様子を眺めておりました。 「はー。一体いつまで待たせんだろーね」 なんて、ぼーっとしてると、いきなりスタッフのおにーちゃんがこっちにやってきた。 おっ、そろそろ出番かしら。ちょっと期待してみていると、 「ほらホラー。撮影してるから、ダメだよ-。あっち行けーしっしっ」 あろうことか、やじ馬と間違えやがった!!! 信じられん! 「あのー。エキストラなんですけどー」 「んー? だったらチャンと控え室にいなさい」 しかも怒られた。くそー。 まあ、よっぽどリアルな地元のパンクキッズに見えたんでしょう。ちょっとかちんとはきたけどまあいいわ。それにしても、私らエキストラはせまーい控え室に3時間くらいぼけ-っと待たされてんだぞ!ちょっと外に出て気分転換ぐらい必要じゃい! っつー訳で、私らつっぱり(?)エキストラは、スタッフのいうことを聞くどころか、「けっ」てなもんで道ばたにうんこ座りでたむろを続けた。 スタッフをやってる時は、何かといちゃもんをつけてきたりするエキストラになかなかいらつかせていただいたりしちゃったのだけど、実際エキストラをやってみるとそのひまぶりったら! 分かるよ分かるよ。そりゃスタッフにちょっかい出したくもなるわ。ていうか、むしろなんでもやるから働かせてくれー。頼む-!!って状態になってくるのだ。 でもだからといってそこでイライラしちゃいけないのがエキストラのお仕事。どーしよっかーなんて言ってるうちに、待ち時間に退屈したほかのエキストラのコたちも集まってきた。 するとその中の一人の、モヒカン頭のに-ちゃんが突然私に話しかけてきた。 「ねーちゃん、日本人だろー?俺、去年日本に行ったんだぜー。原宿のキデイランドってトコに行ったぜー」 パンクな割には、ピカチュウファンのそのおにーちゃんはどうやら日本の音楽にも興味ありらしくて、自分が日本でかってきたCDの話をしてくれた。たぶん、HMVの店員さんにでも教えてもらったのかいっちょ前にブルーハーツの歌とか歌ってんの。 でも、やつが歌えたところは 「リンダー、リンダー」 の部分だけ。後は、ずっとその繰り返し。 「リンダ、リンダー」 おいおい。 実は、ブルハが大好きな私はたまらず歌い出しちまった。この歌、泣けんのよ-。ホントは-。 「どーぶーねーずみーみたいにいいいい。うーつーくーしーくなりーたいー」 サンハイ。 「リンダリンダー!!」 どうやらこのリンダリンだ-っていうフレーズはアメリカ人のつぼらしくて、知らないやつまで飛び跳ね出す。キャーたのしー。 すると…。ちゃりん。 ん? なんだ、この音は。 そのおとは、ズバリ私の空いたコーラの缶に投げ入れられた5セントの音。私達、パンクダークダックスの歌声に感動したおじさんが寄付してくれたのよっ。ほほほ。 なんて、実際はホンマもんのストリートキッズに間違えられただけっす。 でもおかげで、いざとなったら‘かむい’をリンダリンダで育てていけることを悟りました。 来週に続く… |