お気に入りチームのグランドの芝生を盗むファーストシーン。「試合の一部になれないから、一部をいただ く」。いくら試合を観ることができないからといって、なんていじらしいピュアな理屈だろう。来シーズン
こそスタジアム観戦するんだと誓うふたり。「シーズンチケットと一緒に今まで無縁のものが手に入る。そ れは誇りさ」。彼らがサッカーに夢中なるのは、競技や選手への魅力以上に家族の絆やコミュニティの連帯
から生まれる喜びに包まれるから。みんなに尊敬されたい。父と心を通わせたい。彼らの夢は、とっても素 朴な願い。何度も出てくる「サッカー場で父と飲んだ世界一の紅茶」のエピソードからは、親の存在の大切
さが伝わり、切なくなる。やっぱりイギリス映画は、ハリウッド映画にはない、身の丈の希望にあふれてい る。
(大野あや)
舞台はイングランド北部。郊外の貧困街を描く数々のイギリス映画の子供たち同様、本作のふたりも家庭問
題は深刻で、街に出ると貧富の差にぶちあたり、学校は疎外感を募らせる場所になる。そんな彼らが、唯一 夢中になることができるサッカーの、スタジアム観戦年間パスポートを手に入れようと四苦八苦するのだ
が、もちろん高価なものを求めるほど現実に直面する。それでも彼らには自分を頼ってくる家族がいて、同 じ境遇の友人への思いやりがあった。環境に苦しめらながらも、そこで生き方を学び、自我をつくっていく
若者たち。そして二人の場合、目的に向かう純粋な「情熱」こそ、自分たちを見失わないための糧だったの だ。
|
|
「シーズンチケットは少年にとって拠りどころなんだ」
●マーク・ハーマン監督 interview |
私は原作を読んで、この少年二人を心底気に入ってしまった。サッカーが物語の軸ではあるけれど、むし
ろ、そこを起点にして、少年達の夢を綴っている。彼らはシーズンチケットを“拠りどころ”のように捉え ていて、それを入手することは、チームに関わることや、尊厳のようなものを与えられることを意味するん
だ。原作にみなぎるスピリットをいかに大画面上に表現するか、そこがポイントだった。そして、強烈な印 象を放つ悪ガキたちの魅力を損なわないようにすることも重要だった。彼らを愛すべき存在にするために、
コメディ的要素を肉付けしていった。なんの理由もなく車を盗んだり、空き巣に入るような奴らじゃない。 物語のスタートから観客を奴らの味方につけて、シンパシーを感じてもらう、しかもそれが同情になっては
いけない。それがこの映画の要だった。
|
|
イングランド北部の街。15歳のジェリーは、学校にも行かず、今日も2歳年上の親友スーエルと一緒だ。2
人の夢は地元チーム、ニューカッスル・ユナイテッドの試合をスタジアムで観ること。彼らは2人分で1,000 ポンドもするシーズンチケットを買うため、来シーズンまでに金を稼ぐことを決意した。
|
|
Applause『シーズンチケット』 DVD&VIDEOプレゼント
★クイズに答えてアプローズ最新作『星降る夜のリストランテ』のDVD&VIDEO(それぞ
れ税抜¥4,700/¥16,000)をもらおう。
このプレゼント企画は、アプローズレーベル(アミューズソフト)の協力により
FLiX編集部が編集する4つのメディア
(雑誌、サイト、iモード、フリーペーパ ー)で連動展開しています。
月刊映画雑誌 FLiX webシネマガジン
FLiX MOVIE SITE
i-modeシネマガジン i-FLiX
月刊フリーペーパー Dramatic! |
|
|
関連作品を配信サイトで視聴
※VODサービスへのリンクにはアフィリエイトタグが含まれており、リンク先での会員登録や購入などでの収益化を行う場合があります。