リヴ・タイラー独占インタビュー
エルフ族の姫アルウェンを演じるタイラー。主人公のフロドの命を救うために、傷ついた彼を馬に乗せ、森を駆け抜ける。登場シーンは短いながらも印象を残している。少女の頃は妖精の世界を夢見るより、母親の服を着てロックスターの気分を味わうのが好きだった彼女だけに、乗馬もなんなくこなしていた。 |
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おとぎ話よりもロックに興味があったかな |
――あなたの役柄については、原作とかけ離れすぎているという批判がありますが……。
リヴ・タイラー(以下T) ええ、でもほとんど噂をもとにした批判なのよ。私の役が、映画では戦士になっているって怒ってる人たちがいたんだけど、戦士じゃないんだもの。ただ、馬に乗る場面があって、そこは原作ではグロールフィンデルっていうほかのエルフになってるの。でもそれは、ピーターがそうしようと思ったことだし、私はそれを信じて演じるしかないでしょ?
――乗馬は得意なんですか?
T 前にも習ったことがあったの。『プランケット&マクレーン』などで馬に乗るシーンがあったから。でもそんなに得意じゃないわ。かなり練習はしてるはずなんだけど(笑)。
――子供の頃は、どんな本が好きでしたか?
T おとぎ話。でも、おてんばだったから、おとぎ話よりもロックに興味があったかな。妖精の世界を夢見るより、母親の服を着てロックスターの気分を味わうのが好きだった(笑)。想像力は豊かな方だったと思う。人形遊びをしながら、いつも頭のなかにいろんな世界を思い描いていたわ。
ボートを漕いだりしていたわ |
――映画のエルフと原作のエルフの共通点は、どんなところですか?
T 優れた力を持っているところ。エルフはミドルアースに最初に生まれた種族で、優れた力と豊富な知識を持っているの。
――予習をしても、この役を演じるのはやはり大変でしたか?
T 役作りはみっちりやったわ。全員、撮影の2ヵ月も前に召集されて、いろんなトレーニングを受けたの。するとある時期から、それがすべて身についていると感じられるようになるの。失敗するときもあるけど、そういうことは早く忘れるようにする。次はうまく演じられるよう、役になりきることができるように。そういう風にすべてが調和しないと、役作りってうまくいかないの。それから、みんなで一緒に過ごすことも大切。ホビット役の俳優も別にトレーニングを受けていたんだけど、団結力を高めるために、ボートを漕いだりしていたわ。
4つの班が同時に撮影を行なうこともあったくらい |
――ニュージーランドには何年いたんですか?
T 2年。
――どんなところですか?
T とってもきれいなところ。みんな親切で、現場もとてもいい雰囲気だった。でも、プレッシャーもかなりあったから、毎日くたくたになったわ。だって1作を撮影するのでも大変なのに、3作同時に撮影したんだもの。だから、本当だったらスタッフ全員が注目しているべきところで、ちゃんと演技を見ていてもらえないこともあったりした。でもピーターは、私たちにあらかじめトレーニングをみっちり受けさせて、撮影を始める頃には役作りは完璧にできているだろうって、私たちを信頼してくれていたのよね。だって彼はとてつもない量の仕事をこなさなきゃならなかったんだから。4つの班が同時に撮影を行なうこともあったくらいで、ピーターは4つのモニターの前に陣取ってすべての班に的確な指示を出していたわ。
――ほかにどんなことが役立ちましたか?
T 初めてニュージーランドに行ったとき、リチャード・テイラーをはじめとするWETAワークショップ社のデザイナーたちに会ったの。みんな子どもの頃から原作を読んでいるような人たちで、そのなかの1人が、私とケイト・ブランシェットのために、エルフ語みたいな美しい文字で、エルフのことをノートにまとめてくれたの。原作と解説本と脚本のほかに、私はこのノートをいつも持ち歩いて、系図を見たり、エルフにまつわる議論を読んだりしていたわ。それにピーターもとても詳しかった。
想像力を要求される場面がとても多くて、すごく難しかったわ |
――撮影がすべて終了しているということは、安心につながりますか?
T 今のところは、とりあえず第1作が公開にこぎつけたことで、ほっとしてる。とても忙しい2年間だったから。試写を観て本当に感動したの。これほど美しい映画に出るのは初めてだし、大傑作だと思う。この映画に出られたことを名誉に感じてるわ。今はやっと一息つけたというところね。私たちはもう知ってるから、観客の反応を1作ずつ楽しめるし(笑)。
――イライジャ・ウッドの命を救う場面ですが、試写を観てどうでしたか?
T 初めてだったから、手に汗にぎって観たわ。私の顔のアップを撮影したときは、イライジャもいなければ、川も砦もなくて、目の前にはカメラが2台あるだけだったの。後ろでピーターが「挑むような表情で」とか「ここで敵が出てきて消える」とか言ってるんだけど、笑いをこらえるのに必死だった。そういう想像力を要求される場面がとても多くて、すごく難しかったわ。実際には見ていないものを想像しながら、説得力のある演技をしなければならないわけだから。この映画では、そういう特殊効果がとても上手に使われていると思う。すごく迫力があるのに、特撮だとは思わせないほど自然なの。
(ロビン・リンチ/訳 遠藤由香里)