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ラッセル・クロウ記者会見

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チャウ・シンチー(周星馳)
 ラッセル・クロウ来日記者会見
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ビューティフル・マインド
5月公開
配給:UIP
「ゲーム理論」の土台を完成させた、ノーベル賞学者ジョン・フォーブス・ナッシュ・ジュニアの波乱の人生を描いたサスペンス・タッチの人間ドラマ。第74回アカデミー賞作品、監督、脚色、主演女優賞の4冠に輝く。

実在の天才的数学者の半生を描いた『ビューティフル・マインド』は、第74回アカデ ミー賞で主要8部門にノミネートされ、作品賞を始めとする主要4部門に輝いた感動 ドラマだ。昨年の『グラディエーター』に続く2年連続の主演男優賞は逃したが、見 事な演技を披露したラッセル・クロウが去る3月 日に来日した。ひっきりなしに煙 草を吸いながら、時に熱く、時にユーモラスに作品と演技について語ってくれた。

都内・パークハイアットホテル

ラッセル・クロウ(以下R):やあ、みんな調子はどうだい? 実は東京は初めてじゃなくて三度目なんだ。それにしてもこのホテルはすごく大きいね。こんな高い所から東京を見るのは初めてだよ。美しい街だな。


Q:『グラディエーター』と今作では全く違った印象です。毎回違った役柄を演じようと心がけているのですか?


R:シナリオを選ぶ基準を、僕は“鳥肌現象”って名付けてるんだ。いい脚本を読むと肉体的な反応が起こるんだよ。僕は知性よりも感情に訴えて来るモノを選ぶようにしている。僕の方から「こういうモノがやりたい」って主張する事はないな。だから僕は、いい脚本と出会うのを待ってるだけなんだ。僕の仕事は、完璧に役に成り切って演技することなんだ。有名人だったり、スターだったりするっていうのは僕の仕事じゃない。全身全霊を込めて演技をして、世界中のボーイズ&ガールズを泣かせる事が僕の仕事なんだ(笑)。


Q:あなたが演じたモデルとなった数学者のナッシュ氏にはお会いになりましたか?


R:撮影が始まって3日目に会った。リハーサルの段階で会いたいと思ったんだが、スケジュールがすごくタイトでね。会えなかった。だが、突然彼は撮影現場にやって来たんだ。誰も約束していないのにね。その時は色々と面白い話ができた。その時のエピソードをそのまま映画に使ったりしてるよ。具体的にいうと、僕が彼に「コーヒーにしますか? それとも紅茶?」って尋ねるとするだろう? そしたら彼はどちらにするかを分析するために、15分間も考え込んでしまうんだ。その間に、僕は運ばれてきた紅茶を飲み終わってしまったよ(笑)。


Q:あなたの考える天才ってどんな人でしょうか?


R:天才っていうのは、知的なレベルのモノではないと思ってる。感情のレベルで定義されるモノだ。自身の芸術的なセンスの中に埋没して、人を感動させる人だよ。それは歌でもいいし、ダンスでも芝居でもバレエでもいい。天才は自分の仕事に全身全霊を込めることで、観客を劇場の椅子に座っている事を忘れさせて、どこかに旅立っているような気分にさせる事のできる人だと思う。


Q:もう一度演じてみたい役柄はありますか?


R:たくさんあるよ。私は役にのめり込んで演じる事が多いからね。『L.A.コンフィデンシャル2』もやりたいし『グラディエーター2』もやりたいけど、これは主役が死んじゃってるから無理だな(笑)。でも、どの役も一生懸命演じた役だから愛着があるね。英国出身の俳優に多いんだけど、演じる役柄を愛せないと演じられないって言うんだ。でも私はそうじゃない。その人物が好きか嫌いかは関係ないんだ。その人物がネガティブだろうとポジティブなヒーロータイプだろうと、僕には関係ないんだ。僕はその人物に成りきるのが好きなんだ。その人物を作り上げていく過程を愛してるんだよ。


Q:精神分裂病の人物を演じていますが、役にのめり込み過ぎて辛くなるという事はなかったでしょうか?


R:最初は怖かったよ。この精神分裂という病気は、ほとんどの人が誤解していると思う。人格が二つに分裂してしまっているとか……。ジム・キャリーが『ふたりの男とひとりの女』で演じたようにね。あれは彼がとても上手に演じていたけど、ああいう典型的なケースばかりじゃないんだ。色々なレベルの症状があるんだよ。かつては医師でさえ訳が分からない病気だと思っていたんだけど、患者は彼らなりにしっかりした理論や理屈を持っている。その先に病気の症状があるんだ。今回リサーチして、そういう事を学んだよ。でも段々怖くなったんだ。自分が当たり前だと思っている人生が、本当に実在しているのかって思ったりしてね。自分の手をつねってみたり、考えて眠れなくなったりもした。恐怖を感じたよ。ところで皆さんの人生は本物かな?(笑)


Q:ロン・ハワード監督の印象は?


R:ロンとの仕事は大変面白かったよ。ロンは子役出身でね。アメリカ中の人々が観ていた人気テレビ番組に出演していたんだ。だから、大衆は彼の事をとても単純な人だって考えているようなんだ。だけど彼は複雑で知的で素晴らしいフィルムメーカーなんだ。彼は6歳の頃から映画に出演していたから、映画の全てについて知りつくしてる。だから、彼は自分が映画に何を求めているか知っていて無駄がないんだよ。僕は労働者階級の出身なので、時間の無駄とお金の無駄が大嫌いでね。その点でもロンと無駄のない仕事ができて、とても素晴らしい経験だったよ。ところでワールド・カップ・サッカーはどこが勝つと思う? オーストラリアは出られないんだけどね。優勝はイタリアかな? ああ、ごめん。ここは日本だったな(笑)。


Q:共演のジェニファー・コネリーさんもアカデミー賞の助演女優賞にノミネートされてますが、彼女の印象は?


R:素晴らしい女優だね。最高に楽しかったよ。彼女はこの作品で開花したな。私はその瞬間を見る事ができたんだ。今度の日曜日(アカデミー賞の授賞式の3月24日)には、揃って受賞したいね。


Q:今作や『インサイダー』のような実在の人物を演じる時と、『グラディエーター』などの架空の人物を演じるのでは演技プランなどに違いはありますか?


R:実在かフィクションかは関係ないね。演じる全ての役をそれぞれ演じ分けるからね。どの役でも学ばなければならない事があって、それぞれのアプローチをしなくてはならないんだ。だが今も生きている人を演じる時には、その人に対して責任が発生するとは思ってる。その人物に敬意を表さなければならないし、彼の精神を伝える事を心がけなければならない。でも実在の人物を演じてなにより嬉しいのは、映画を観たその人物の親戚の人が「あそこが似てたよ」なんて言ってもらえた時だな。


Q:社会に容認されずとも一人闘いを続ける孤高のヒーローを演じる事が多いのですが、意識していますか?


R:心の中に何も葛藤がない人には、ドラマが存在しないと思うんだ。普通に暮らしている人々でも毎日何か葛藤があるだろう? 映画っていうのは、そういう葛藤を拡大して描いたものなんだよ。ドラマってそういうものだと思ってる。


Q:バンド活動をしているそうですが。それは自分を取り戻すため時間ですか?


R:「30 Odd Foot of Grunts」というバンドなんだ。バンド名に特に意味はないよ。僕はロックスターになりたいなんて思ってない。ただ楽しむために、ギターを弾いて歌うんだ。3分間の歌を介して、人々がコミュニケートする事が可能だって信じてる。僕は音楽で報酬を得ようなんて思ってない。純粋に楽しむためにやってるんだよ。6人の男が集まって、もう18年もやってるんだ。時々シングルも出すし、ツアーに行ったりもする。この間はアメリカで20日間で9都市、16回公演なんてハードなツアーをやったよ。でも、これは我々バンドの楽しみのためなんだ。そういう活動はしてても、音楽業界にはノータッチなんだ。つまり業界の販売網には全く関係ない。それが僕には居心地がいいんだ。


Q:その低音で歌ったら素敵なんでしょうね?


R:この低音はバーボンと煙草のせいだよ。皆さんにはお勧めはできないな(笑)。


Q:映画の中でノーベル賞を受賞するシーンがありましたが、それとクロウさん自身がアカデミー賞を受賞した時とオーバーラップしませんでしたか?


R:素晴らしくいい質問だよ(笑)。あのシーンには1000人ものエキストラを使ってるんだ。ドレスアップした人たちを1000人もね。それで彼らはあそこに座ったまま、一日中僕の同じスピーチを何度も聞かされたんだ。退屈だよね! でも彼らがリアクションしてくれないと困るから、僕は色々やって彼らが退屈しないようにしてた。賞を受賞する時には、本当に盛り上がってる観客の姿が欲しかったので少し細工をしたんだよ。僕はオスカー像を会場に持っていってね。ノーベル賞の代わりにオスカー像を持って見せたんだ。会場はわいたよ。僕とロンは映画のためなら何でもやるんだよ(笑)。


Q:映画の中で、主人公がグループの中で交際する男女のセオリーを述べるシーンがありますが、あなたが彼の立場だったらどうでしょう?


R:あれは映画のために作ったシーンで実際にはなかったんだけどね。それにしてもナッシュという人は全く女性にモテない人でね。まさに記録的にモテなかったらしいんだ(笑)。嫌な奴だ、なんて思われたくないけどね。僕は今までに女性に話しかけて、最後まで行き着くのにスムーズに行かなかった事がないんだ。だから、今までそういう問題で悩んだ事はないな(笑)。


Q:撮影後にも作り上げたキャラクターを引きずる事はありますか?


R:僕は監督が「アクション」と言ってから「カット」というまでの間でだけしか、芝居はしないんだ。すぐに自分に戻れるよ。俳優の中には、役名で呼ばないと返事もしないなんて人もいるけれどね。もちろんリサーチは念入りにやるよ。この作品の場合、僕は原作を読んだ。これはとても参考になったな。そして病気の事を調べた。さらに戦後のアメリカの世相と風俗も調べたよ。その前にまず外見を作る。私はまず外側を作ってから、精神的な部分を作り込んでいくタイプなんだ。僕は6歳からテレビに出演していて芸歴が長いので、演じるという事に慣れているんだよ。「アクション」と言われたらすぐに100%役に成り切れるんだ。「カット」がかかってるのに芝居を引きずるなんて、エネルギーの浪費だよ。カメラってヤツは無能なんだ。一人じゃなにもできないのさ。だからこちらが演技をして、カメラにエネルギーを与えてやるんだ。それが僕の仕事だよ。


Q:一番のお気に入りのシーンを教えてください。


R:老いた主人公が図書館で学生に質問されるシーンがあるだろ? あの場面が、さっき言った“鳥肌現象”を起こしたシーンだったんだ。あのシーンは、彼が解放される素晴らしい瞬間を描いている。あのシーンがとても好きなんだ。僕にとってこの映画は、数学や天才やノーベル賞の事を描いた作品ではないんだ。これは素晴らしいラブ・ストーリーだよ。たくさんの信じられないような障害を乗り越えて。愛し続けて成長していく夫婦の物語なんだ。ナッシュ夫妻は一度離婚したんだが、昨年再婚しているんだよ。その愛が素晴らしい。


Q:日本のファンにメッセージを。


R:ああ、昨日空港についたらたくさんのファンが出迎えてくれたよ。僕が警備員を助けなきゃならなかったほどの数だった(笑)。メッセージか。そうだな。皆でワールドカップ・サッカーを楽しもうぜ! 日本チームの活躍とゲームの運営が成功する事を祈ってるよ。ワールドカップは各国の人々と交歓できる場所だから楽しんで。僕の友人もたくさん日本に来ると言ってたよ。グッドラック!
(佐野 昌)

 

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