リース・ウィザースプーン独占インタビュー
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自分で自分のジョークにいつも満足するようになったらそのときこそ他人が笑わなくなるときかもしれないわ |
日本ではついぞ劇場公開されることなく、本国アメリカでも興行的に失敗作となってしまった99年の『ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!』は、批評家の多くが絶賛した傑作だ。マシュー・ブロデリックと並んで同作品に主演したリース・ウィザースプーンは、この作品でゴールデン・グローブ賞をはじめ多くの主演女優賞にノミネートされた。それ以前にも『カラー・オブ・ハート』などで演技力を評価されていた彼女は、長く「インディ映画のプリンセス」的存在だったが、昨年の夏を境に、状況は大きく変わった。誰も予想しなかった『キューティ・ブロンド』の大ヒットにより、彼女はついにメジャーなスターとしてブレイクしたのである。
「この映画がこんなにヒットするなんて、私だってまるで予想しなかったわ。潜在性はあると思っていたし、大衆向けの作品でインディ映画でないことはもちろんわかっていたけれどね。この映画の後から、今までよりも、もっと多くの脚本が送られてくるようになって、私にとってチャンスが増えたのは事実よ」
ブロンドの髪(ただし、本当はプラチナに近いブロンドなので染めているらしい)に白い肌、ピンクを基調にしたメイクが若々しいウィザースプーンは、19歳と言っても通じそうだ。2歳の娘がいる25歳の既婚女性とはとても思えない。
「私が演じるエルは、お金持ちで人気者で、かっこいい彼氏がいる若い女性。そんな表面の部分だけ見ると、観客が好意を持つわけないわよね。私だってそんな子、きっと好きじゃないわ(笑)。だから、エルを演じるに当たって強調したかったのは、エルって、根っから明るくて楽観的でフレンドリーで、人が大好きな子なんだってこと」
そんなウィザースプーンの努力は成功し、エルは同性の観客から大きな共感を呼ぶ。さらに彼女のコミカルな演技は、劇場中を何度も爆笑の渦に巻き込んだ。
「私は明るい性格だし、前向きなほうだとは思うけど、人を笑わせる才能があると思ったことはないの。4年前、あるコメディ映画の役をオファーされたとき、本当にできるのかしらって思ったくらい。今でも演じているとき、自分のやっていることが本当に十分おかしいのかどうか自信がないのよ。でも、それでいいのかもしれない。自分で自分のジョークにいつも満足するようになったら、そのときこそ他人が笑わなくなるときかもしれないわよね」
絶対女優ひと筋で行こうと決めているわけではないわ。医者を目指すという夢は今も時々考えるから |
演技を始めたのは7歳のとき。13歳で映画デビューという長いキャリアをもつ彼女にとって、今回のメガヒットは、来るべくして来た、あるいは待ちに待ったとも言えるブレイクだった。実力は評価されていないのに、なかなか日の目を見なかった頃は、女優業をあきらめることすら考えたらしい。
「18歳だったかな。もう女優は辞めようと真剣に思ったことがあるわ。そのときにひとつ作品の話が来たので、『これがダメだったら辞める』って決めたの。そうしたら、その映画が成功したのよ。それで今日の私があるってわけ。でも、今だって、絶対女優ひと筋で行こうと決めているわけではないわ。当時考えていたように、医者を目指すという夢は、今も時々考えるから」
しかし、昨年自らのプロダクション会社「タイプAプロダクション」を設立、すでにプロデュースしている作品が数本ある彼女が、ハリウッドを捨ててメディカルスクールに入学する可能性は低そうだ。『キューティ・ブロンド」の続編の話もすでに決定しているし、昨年夏を境に彼女のギャラは一気に200万ドルにアップしたばかりでもある。
「でも、私の最大の優先事項は、あくまで家族なの。2人目だって、いつか産むつもりでいるわ」
お金持ちで、人気者で、ライアン・フィリップというかっこいい夫をもった、まだ若いウィザースプーン。それでも大きな野心や近寄りがたさを感じさせず、どこか自分たちと等身大であるところが、彼女が世代を問わず、世界中の女性から支持される理由なのだろう。
(猿渡由紀)