スリリングな雰囲気と謎のストーリー展開が話題を呼んでいる、M・ナイト・シャマラン監督の最新作『サイン』が、いよいよ公開となる。主人公グラハム・ヘスの弟で、元マイナー・リーグのスター選手だったメリルを演じるホアキン・フェニックスが緊急来日し、謎に満ちたこの作品について記者会見を開いた。これが初の来日となるフェニックスは、かなり緊張した様子。実は、相当の恥ずかしがり屋だったようだ。
Q:グラハム・ヘスを演じたメル・ギブソンには、撮影中よくイタズラされたそうですね。具体的にどんなことをされたのですか?
ホアキン(以下J):撮影現場で、僕のトレーラーの出入り口の扉に、ベトベトにヴァセリンを塗られたよ。しかも、何度も!(笑) でも、メルはすばらしい俳優で、一緒に仕事が出来てすごくうれしく思う。彼は経験も豊かだし、スターを気取るところがない。僕たち俳優仲間のことを愛してくれて、彼と仕事してすごくいい勉強になったと思う。
Q:ホアキン・フェニックスが考える、今回の映画『サイン』の見所はどこでしょうか?
J:…アイ・ドント・ノー(わかりません)! これは、僕が一番好きな答えで、今日もたくさん出るかもしれないよ(笑)。見所は、盛りだくさんあると思う。怖い部分もあるし、ユーモラスな部分もある。それらがうまく織り込まれているところだと思う…(通訳さんに)賢く聞こえるよう訳してね。
Q:これまで、『グラディエーター』や『クイルズ』などの作品で、純粋さと残酷さをかね揃えた個性ある役を演じてきましたが、俳優として自分の個性はどんなところにあると思いますか?
J:俳優としては色々な役柄を演じてみたいと思っています。自分の特性については、見当もつかないな。
Q:では、シャマラン監督の撮影の進め方については、どうでしたか?また脚本を初めて読んだときの感想を教えて下さい。
J:シャマラン監督はすごくオープンな人で、入念な話し合いをして監督をする人。脚本を読んだときはとても驚いたよ。監督に初めて会ったとき、とても気さくな人柄ですぐに好きになったんだ。そこで『サイン』の脚本を読んでくれ、と渡されたんだけど、彼がすごくいい人だったから、脚本を気に入らなかったらどうしよう、と心配してたんだ。読んでみると、それはすごく巧みに書かれていて、ぜひ演じてみたいような役だったんだ。タイミングもよかったと思う。
Q:到着して間もないのですが、初めて日本にきた印象を教えて下さい。
J:日本に着いてまだ7時間しか経っておらず、ほとんどホテルの中で過ごしているから印象を話すのは難しいけど…パークハイアットホテルがすごくいいところだということはわかったよ(笑)。それから、皆さんがとても親切だなと思っていたんだけど、それは彼らがお金を支払われているからだと聞かされて、もう何を信じていいのかわからないよ!
Q:お豆腐が好き、ということですが、日本でお豆腐を楽しむ予定ですか?
J:情報が早いな。そう。トーフは大好きだけど、そんなこと言うと翌日の新聞に『ホアキン・フェニックス、トーフを食べに来日』って書かれそうだね。決してトーフを食べるためだけに来たんじゃないって、ちゃんと書いてくださいね
。
Q:では最後に、『サイン』のストーリーが持つ魅力を教えて下さい。
J:アイ・ドント・ノー! 見当もつかないよ!
終始、周りを見回したり通訳さんに耳打ちしたり、挙句はテーブルに飾られたグリーンを切り取り、スタンドマイクに結びつけて気を紛らわす(?)しぐさ。笑顔は絶やさず、話も軽快。でも、なかなか視線を据えないのは、やはり照れ隠し? 30分の会見終了後には、記者たちにむかって、
J:今日は本当にごめんなさい。こんなに多くの人が集まってくれてとてもうれしいです。とにかく、こういう場所で話すのが苦手で、きちんとお話できなくて申し訳ないです。今日は本当にありがとうございました。
と挨拶。スクリーンで見せる冷静沈着な姿とは裏腹の、シャイな表情を見せた。
取材・文/竹内詠味子
『サイン』
9月21日(土) スカラ座ほかにてロードショー
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