不定期で情報をお伝えしている「先取り! 全米公開情報-U.S.MOVIES-」をリニューアル版でお届けします。
今回は全米で公開され早くも記録的大ヒットをとばしている『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』、スティーヴン・スピルバーグ監督、レオナルド・ディカプリオ、トム・ハンクス主演という夢の組み合わせ『キッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』、ジョージ・クルーニ主演SF映画の名作『惑星ソラリス』のリメイク作品『ソラリス』、トム・クルーズが出資し、プロデューサーも務める『ナーク』この4本を御紹介いたします。
テキスト:大町 伸子
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『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(The
Two Towers) |
(C)Copyright New Line Cinema
『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』
監督・製作: ピーター・ジャクソン
キャスト:イライジャ・ウッド/リヴ・タイラー/イアン・マッケラン/ヴィゴ・モーテンセン
全米BOX OFFICE初登場1位(3週目1位)
全米12月18日公開/179分
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近年映画史上みることのなかった冒険ファンタジー映画と各誌が絶賛するロードオブザリングの新たな旅が始まった。
中世を舞台に繰り広げられるJ.R.Rトルキン原作の指輪物語完全映画化。ピーター・ジャクソン監督待望の第2部「2つの塔」が早くもアメリカではスクリーンにお目見え。世界支配を可能にするたった一つの邪悪の指輪が冥王サウロンの手にわたるとこの世は闇と化してしまう。その前に指輪を滅びの山の谷に捨てなければならない。
フロド(イライジャ・ウッド)を中心に仲間は指輪を捨てるために旅を始める、3つの行く手に分かれてしまった8人の仲間たち。フロドとサム(ショーン・アスティン)は以前の指輪の持ち主ゴラムを道先案内人として旅を続け、メリーとピピンは新たなクリーチャー、「木の髭」に遭遇、果たしてこれは何なのか?
一方オークに連れ去られたピピンとメリー救出のため旅立つアラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン)、レゴラス、ギムリ。前回バルログとの闘いの末、命を果てたとおもわれた強力な旅の友ガンダルフ(イアン・マッケラン)は白い魔法使いとして復活。アラゴルンに思いを寄せるセオデン王(バーナード・ヒル)の姪エオウィンの出現はかつてアラゴルンと約束を誓ったとエルフの姫アルウェン(リヴ・タイラー)を引き裂くのか? 息つく暇のないストーリー展開だ。
1部に比べトルキンの中世の世界がさらに忠実に描かれているらしくこちらも気になるが、シェークスピア悲劇を思わせる残虐で血なまぐさいシーンもあり、1部とはうってかわって戦争映画。中世合戦絵巻へと転じている。CGでみせるクリーチャー、数万の兵士が城や広大な戦場で繰り広げる戦場シーンはアラゴルンの活躍さへかすむほどのど迫力。新キャラに他にも身をよじるその動きがいかにも醜悪なオールCGクリーチャーのゴラム、歩き、話し、考えるという「木の髭」が登場。間抜けなキャラクターを想像しそうだが、この苔むした古木は映画に重厚さを与えているというから楽しみだ。
ニュージーランドの美しい自然を背景に指輪を巡りまだまだ続く現実逃避の3時間。そろそろ私達も彼らとの旅の仕度をしなければ。日本での公開は2003年3月。遥かなる旅は更に最終章『The
Return of the King』へと続く。
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『キャッチ・ミイ・イフ・ユウ・キャン』(Catch
me if you can) |
実在した天才詐欺師をもとに映画化したスピルバーグの最新作。ディカプリオ、トム・ハンクスが実在した人物を演じる
『キャッチ・ミイ・イフ・ユウ・キャン』はクリスマスの12月25日にアメリカで公開した。同じくレオナルド・ディカプリオ主演映画『ギャング・オブ・ニューヨーク』に5日遅れでの公開となったが、どちらも早くも大評判をよんでいる模様。
1960年代半ば、FBIの指名手配リストにのった最年少の詐欺師フランク・アバングネル(レオナルド・ディカプリオ)の半生を映画化。ある時はパイロット、ある時は医者、そしてまたある時は歴史の教授。詐欺を重ね、逮捕されるまでに詐欺相当額250万ドルというから半端じゃない。彼が詐欺に目覚めたのは何のためなのか? それはクリストファー・ウォーケン演じる父フランクと関係があった、と心を動かされる父と息子の人間ドラマを描いているのはさすがスピルバーグ。
ディカプリオは16歳から21歳という父を敬愛する青年期のフランクのナイーブで頭の切れるキャラクターを繊細に美しく演じきっている。最近、男になった、大人になったと形容されることが多くなったがディカプリオだが、この手のヤンチャな役を演じさせるとこの人の右に出る人はなさそうだ。FBIの捜査官カールについては実際のところあまり明らかにされていないが、トム・ハンクスは決してあきらめない粘り強い捜査官カールを安定感のある演技で見せいている。ウォーケンの演技も1部ではオスカーの声が上がっている。
スピルバーグの久しぶりのコメディ映画。ついテーマ性がとりだたされる作品が続いているが、痛快なトムとジェリーのような「逃げ―追いかけ―また逃げられる」という話の展開はまさにはらはらドキドキのエンターテインメント映画として楽しめそう。ベトナム戦争、ウォーターゲート事件以前の60年代のアメリカのディテールも盛り込まれ、ちょっぴり懐かしくおもう人もいるかもしれない。撮影はLA、NYの他に北アメリカの古い都市ケベックや17世紀の町並みのモントリオールでもロケーションが行われ何もかもスケールが大きい。
ディカプリオ、ハンクス、ウォーケンの演技派を実在の人物をもとにスピルバーグがコメディ要素たっぷりのライトなドラマに料理したなんて聞くだけでも贅沢。日本での公開もクリスマスプレゼントといかなくても、せめてお年玉上映して欲しかった。
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(C)DREAMWORKS LLC. CR: ANDREW COOPER.
『キャッチ・ミイ・イフ・ユウ・キャン』
監督: スティーヴン・スピルバーグ
レオナルド・ディカプリオ/トム・ハンクス/クリストファー・ウォーケン/ジェニファー・ガーナー
全米BOX OFFICE初登場2位(2週目2位)
全米12月25日公開/140分
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(C) Copyright 20th Century Fox,Focus/USA Films
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ロシアのアンドレイ・タルコフスキー監督による「惑星ソラリス」(1972)のリメイク作品
1961に出版されたポーランドの作家スタニスラフ・レムの同名小説がもとになっている。今回ジェームズ・キャメロン、プロデュースのリメイク版に臨むのは『セックスと嘘とビデオテープ』で衝撃的な作品を撮ったスティーブン・ソダーバーグ監督。
ステーションの調査を命じられた精神科医クリス(ジョージ・クルーニー)はそこで奇妙な現象に遭遇。司令官は自殺をとげ、2人の生存者も過去の幻影にとりつかれる。幻影は惑星ソラリスが作り出したものらしい…。自殺したクリスの妻レアRhya(ナターシャ・マクエルホン
McElhone)が姿を現す。彼女は本当にかつての妻なのか?
ソラリスは人の心の記憶を読み、記憶をもとに過去に亡くなった人や失った人を再生することが出来る惑星のお話。SFにジャンルされているけど「スターウォーズ」のような体感するSFでも、エイリアンが登場するでもなく、『2001年宇宙の旅』のごとく脳みそで感じる哲学的な作品。タルコフスキー作品と違い短く(タルコフスキー作は165分),難解で重たくなりがちなテーマを宇宙を舞台にしたサイコスリラー&Love
Storyにしあげている。知的なSF映画なので女性も楽しめそう。「オーシャンズ11」「オーブラザーズ」と最近はメジャー作品の出演が続くジョージ・クルーニーだが、ソラリスでは役の幅を広げ、その光る演技で新しいファンを獲得するのか注目。
『ソラリス』
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
キャスト:ジョージ・クルーニ、ジェレミー・デイヴス、
全米BOX OFFICE初登場7位
全米11月27日公開/95分
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インディーズ映画で脚光をあびたジョー・カーナハン監督がついにメジャー作品のメガホンをとった「ナーク」
麻薬中毒を克服したデトロイト捜査官ニック(ジェイソン・パトリック)は殺された新人捜査官の犯人追跡調査に乗り出す。死んだ新人捜査官のパートナーだったヘンリー(レイ・リオッタ)と共に捜査を始めたが、ニックを待っていたのは意外な事実だった。犯人の隣にいる妊婦を謝って撃ち殺してしまうニックのダークなオープニングからわかるように男の執念や暴走が引き起こす悲惨なる状況が男の目で描かれている。本作の見所はキャスト達の迫真の演技。
アカデミー賞好みの作品ではないのが実に残念。手に汗をかいて見ずにはいられないスリルあふれるこの作品のもう一つの話題はサンダンス映画祭で作品に目をつけたトム・クルーズが一部出資し、エグティブ・プロデューサーとして名前がタイトルされていること。その他、次のカーナハン作品にはハリソン・フォードが主役に決まるなどメジャー作品での活躍が楽しみな監督になりそうだ。
『ナーク』
監督:ジョー・カーナハン
キャスト:ジェイソン・パトリック、レイ・エリオッタ、トム・クルーズ
全米BOX OFFICE初登場43位
全米12月20日公開/105分
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『ナーク』のプレミアに現れたトム・クルーズ |
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