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エリカ・クリステンセン独占インタビュー

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エリカ・クリステンセン


 心の闇を完璧に表現する


アンジェラ・ドーソン
Angela Dawson
訳 松井貴子
Translated by Takako Matsui

 カラオケバーでビートルズの歌を熱唱している女の子がいたら、それはエリカ・クリステンセンかもしれない。そう、彼女は大のカラオケファンなのだ。ビートルズのナンバーがお気に入りだというが――。
「私が歌いそうにないものだって歌うのよ。ビースティ・ボーイズとかね」


 最新作"The Perfect Score"のロケ地ヴァンクーバーからの電話で、エリカは笑いながらこんなふうに話してくれた。2001年の夏、ニューヨークで『プール』を撮影していたときも、共演者のジェシー・ブラッドフォードやシリ・アップルビーとカラオケバーで仕事の疲れを吹き飛ばしていたそうだ。


 輝くブロンドと突き刺すような青い瞳のエリカは、20歳になったばかり。シアトルで生まれ、まもなくロサンゼルスに移り住んで以来、人生のほとんどを女優として過ごしてきた。少女時代から演技、歌、踊りをこなし、南カリフォルニア中の舞台に出演。マイケル・ジャクソンのミュージック・ビデオに出演したほか、ニール・ダイヤモンドのアルバムでバックコーラスを務めたこともある。

97年に『がんばれ!ビーバー』で映画デビューし、その後はテレビドラマの仕事もこなしてきた。マイケル・ダグラスと共演した『トラフィック』でドラッグ中毒の少女を演じ、世界の注目を浴びたのは記憶に新しいところだ。

 

 そんなエリカの初主演作『プール』が公開されている。彼女が演じたのは、ハイスクール水泳部のスター選手ベン(ブラッドフォード)に恋こがれる転校生マディソン。ベンを誘惑して過ごした一夜が忘れられず、恋の虜となってベン、さらにはガールフレンドのエイミー(アップルビー)にまで執拗にストーキングをくり返すという学園サイコホラーである。どこかで聞いたことがあるストーリー……と思ったあなたは正解。『プール』のプロットは、グレン・クローズとマイケル・ダグラスの『危険な情事』に重ねることができる。事実、『プール』にはダグラスが経営する製作会社ファーザー・フィルムスが一枚かんでいる。

自分にどこまでやれるか闇の領域をどこまで探求できるか―だから挑戦したの

 エリカが演じたマディソンについて尋ねてみると、こんな答えが返ってきた。

「マディソンは彼を心の底から愛していた。そこを理解すべきだと思うわ。私だって身に覚えがあるの」

 エリカは笑いながら、15歳の時のことを包みかくさず話してくれた。

「とっても好きだった男の子にものすごく腹を立てたことがあるの。彼がわざと思わせぶりなふりをしたんだと思ったのね。そんな時、人は自分が正しいって考えようとするでしょ」

 サイコ・ストーカーを演じたのはいい機会だったとエリカは言う。

「俳優だったら、誰だってやってみたい役。自分にどこまでやれるか、闇の領域をどこまで探求できるか――だから挑戦したの」
 監督のジョン・ポールソンは、マイケル・ダグラスからエリカを紹介され、『トラフィック』を見てすぐに主役に決めた。
「スクリーンを見れば分かるけれど、エリカはスウィートで魅力的な女の子。それでいながら、マディソンの心の闇を完璧に表現しています」

 エリカの次回作はゴールディ・ホーン、スーザン・サランドンが主役のオフビート・コメディ"Banger Sisters"。本作でエリカは、『トラフィック』と同様、ドラッグの犠牲になっていく無垢な少女を演じている。たて続けにこうした役柄を演じたわけだが、エリカ本人は完全なアンチ・ドラッグ派だ。

「私はドラッグの影響をリアルに演じたい。それはいいことだと思うの。ドラッグは確実に人をむしばんでゆくわ」
 
カナダで撮影中の新作では、彼女は大学入試の試験問題の窃盗計画に巻き込まれる女子高生を演じている。

「楽しんでるわ。たとえ犯罪者だとしても、『プール』のマディソンよりは理性的な女の子かな」
 
このあとにも撮影が控えているというエリカ。とっても忙しそうだけど――。「演じているときが一番幸せなの」。最後に、彼女は明るい声でこんなふうに答えてくれた。

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