―まず映画初出演の感想を聞かせてください。
映画撮影の現場というもの自体想像がつかなかったし、作品ができ上がるまでどういうものになるのかも予想がつきませんでした。それが面白さでもあったりしたんですけど。TVドラマと比べて、基本的な撮影方法にものすごい違いを感じるということはありませんでした。でも、今回の作品はCG描写が多く、カット割りが細かかったので、そのあたりに新鮮味は感じましたね。
―佐々木監督はどんな方ですか? かなり独特な作風の方ですが……。
実はお話をいただいた時は監督のことを全く知らなかったんです。最初に会った時は人のよさそうな方だなぁと(笑)。監督に言われたのは、ボスキャラ的に登場する重要な役だから、ラッパ我リヤさんたちに負けないようなパワーを持ってくれということです。それに、香港アクションにも負けないものを作るんだということも常におっしゃっていましたね。
―ラッパ我リヤのメンバーとの共演はいかがでしたか?
もう、思いのほかいい方で! ヒップホップの方って、一見コワそうなイメージがあるじゃないですか。でも、全くそんなことはなくて。山田マンさんなんてすっごく腰が低くて、いい人すぎるくらい(笑)。演技に関しても「ラップしかやってこなかったから、不安で~不安で~」なんておっしゃっていましたよ。
―悪役を演じる上でこだわったことはありますか?
悪役と言われてまず思い浮かんだのは、目の強さだったんです。地獄で契約を交わして蘇ってきたという役だったので、普通の人間の目をしていたらおかしいじゃないですか。だから、目には気をつけましたね。……で! そこで苦労したことがあるんですが、僕、ドライアイなんですよ(笑)。目に力を入れすぎると乾いちゃって、乾いちゃって。ちょうど乾燥していた時期でもあったので、目薬は常備していましたね。「よーい、スタート!」と言われる直前までさしていました。あとは、僕が演じるJAYはクールで冷酷……というキャラクターだったので、台詞回しにドスをきかせたりしましたね。
―そのJAY率いる悪役チーム・AZELは3人組ですが、日向さん以外の役者さん2人はかなりキワキワなメイクですよね。
いや! 僕も結構メイクしてるんですよ。あの2人と比較すると普通な顔に見えるかもしれないんですけど、実際に今ここで映画の中の僕の顔を見たら「白っ……」って思われると思います(笑)。
―JAYはクールで冷酷……とおっしゃいましたが、普段の日向さんはクールで冷酷……ですか?
そんなことないです(照)。JAYは地獄から蘇った男だから共通点があったら大変だし(笑)。普通の人間役の役作りだったら、演じる役柄との共通点を探し、そこから自分の中でキャラクターを広げたり足したりするんですが、今回はそういう役作りはしませんでしたね。
―バスケットボール・シーンの撮影は順調でしたか?
全く経験がなかったので一番不安な場面だったんですけど、案外上手くいったかなと思います。動きに関しては、撮影の合間に教わったりしました。あのシーンには、さほど苦労はなかったですね。僕は教わった通りに動いて、それをカッコよく撮っていただいた感じです(笑)。背が高いので学生時代にバスケをやっていたんじゃないかと思われがちなんですが、未経験なんですよ。サッカーと水泳の方が好きで。でも、自分で言うのも何なんですが、運動神経は生まれつきいいので、それに関しては親に感謝しています。
―アクション映画にはもともと興味はありましたか?
この映画に出演する前までは、観ることはあっても、自分でアクションをやることになるとは思ってもいなかったんです。なので、今回の現場を経験して、自分の中で役者としての幅の広がりを感じましたね。先月まで撮っていた映画(『天使の牙』)では若い刑事の役を演じたんですが、その作品にもアクション・シーンがあったし、やっぱりアクションはできた方がいいなと思います。
―『仮面ライダー龍騎』『3 on 3 スリー・オン・スリー』と、アクションものが続いている印象がありますね。
でも、『仮面ライダー龍騎』では、実はあまりアクションをしていないんです。ごまかしている……というか(笑)。仮面ライダーは必ず変身してから戦うので、戦闘シーンはスーツアクターさんが演じるんですよね。本当だったら、変身する前にも敵と殴り合いになるはずなんですけどねぇ(笑)。だから、本格的なアクション経験は『3
on 3 スリー・オン・スリー』が初めてなんです。
―キャリアのスタートはモデルさんだそうですね。
MEN'S NON-NOの専属モデルを高校時代にやっていたんです。高校1年生の時に原宿で声をかけられて、雑誌用に写真を撮られたのが始まりです。その時はかなり嫌々だったんですけど(笑)。その後、気がついたらモデルの仕事をしていたという感じで、今考えると恵まれていたなと思います。その前までは将来のことなんて考えていなかったし、かなりチャランポランでした。満たされていなかった……という言い方が一番しっくりくるんですが、何かやりたいなとは思いつつ、普通に生きていたんです。役者を始めたのは高校を卒業してからなんですが、その時も成り行きで俳優業に足を踏み入れた状態で。ですから、最初の演技は全く上手くいかなかったんです。人生で初めてつまずいたのがその時ですね。それ以来、役者業に対して本気になりました。
―今後はどんな作品に出演したいですか?
まだ演技の経験も浅いし、自分のキャパシティも狭いので、どんな作品に出演しても勉強になると思うんです。どの作品でも自分の演技力を培えるのに変わりはないと思いますし。あえて挙げるならば……、今回は非現実的な悪役だったので、人間性の濃い悪役にも挑戦してみたいですね。
―青春映画なんて似合いそうですよ。
学生服を着る役はもう厳しいと思うんですけど(笑)、22歳ですし、同世代の役者さんと刺激し合えるような作品に出演してみたいという思いはあります。
―これからご覧になる方に『3 on 3 スリー・オン・スリー』をアピールしてください。
いろんな要素の詰まった映画ですが、僕の出ているシーンを特に見てください(笑)。ラストの方で稲妻と共に現れ、作品にピリッとスパイスを加えていると……思いますので……要注目です(照)。
―普段、インターネットは使いますか?
普通に活用していますよ。調べものをすることが多いですね。次の作品でお仕事させていただく監督や共演者のことをチェックしたりしています。これだけ普及してくると便利ですよね。
時折照れながらも、鋭い眼差しと共に作品や演技に対する熱い想いを語ってくれた日向さん。「今後はどんな作品に~?」との質問を投げかけた時、本当は「まだまだ自分の希望なんて言えないくらい勉強中で……」と恐縮することしきりだったんですが、「今後もどんどん活躍してほしい!」という筆者の思いが先走り、無理矢理答えさせてしまいました。(ごめんね。でも、こういうことは言ったもん勝ちになる場合もあるから許してね。) 184cmという長身、クッキリハッキリ整った顔立ち、夢のように長い手足、そして本人の顔より大きいであろう手のひら! こんな“地獄から蘇った男”なら、いくらでも蘇ってほしいもの。8月公開の『天使の牙』(全国松竹・東急系)の刑事役も楽しみな日向さんにますます要注目ですよ。
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