ハンサムだが軽薄な不動産王と熱血女性弁護士の一筋縄ではいなかい恋模様が展開するロマンチック・コメディ『トゥー・ウィークス・ノーティス』。『デンジャラス・ビューティー』の脚本家マーク・ローレンスが初監督を務め、ヒュー・グラント&サンドラ・ブロックのゴールデンペアが絶妙なコンビネーションを見せる本作は、全米ですでに大ヒットを記録している。そんな話題作の日本公開を目前に控え、主演の2人が揃って来日を果たした。
サンドラ・ブロック(以下SB):こんなに大勢の方が集まってくださるとは思わなかったのでとても嬉しいわ。
ヒュー・グラント(以下HG):(日本語で)コンニチハ。毎月、日本に来ているような気がするよ(会場笑)。Q:本作で演じられたキャラクターとご自分に共通点はありますか?
SB:撮影開始当初はルーシー役が自分に似ているとは思わなかった。でも、ヒューに「君は神経質で、気が強くて、気難しいところがルーシーにそっくりだ」と言われたの。だから、撮影後にはせっせとセラピーに通って、オープンで人を愛せる人間になるよう務めたわ。おかげで撮影前よりもいい人間になれたから、ヒューに感謝してるの(笑)。
HG:僕はあまりにも自分と違う役柄を演じなくてはならなかったから(会場笑)、自分の演技力を最大限に発揮する必要があったよ。ジョージは表面的でいい加減な男だから僕とは全然違うんだ(サンドラから「プレイボーイだしね」とツッコミが入る)。だから、ダニエル・デイ・ルイスのように、2年間、役に没頭し続けたね(会場笑)。
Q:撮影時のお2人の関係を教えてください。
SB:ヒューと一緒に仕事する時にはルールがあるの。とにかく毎日毎日彼をおだてること、彼のトレーラーに行ってはプレゼントをあげること、常に彼のご機嫌を取ってあげること(会場笑)。それはさておき、ヒューはいい意味で神経質だし、完璧主義なの。彼はよくアイデアを出してくれるし、最高の作品を作ろうとしてくれる。そんな才能のある俳優と仕事ができて嬉しかったわ。Q:どんな方に観てほしいですか?
HG:大勢の人に観てもらいたいね。ロマンス映画として、特に女性に気に入ってもらいたいとも思う。笑える場面もたくさんあるから、観客が笑ってくれるといいな。
SB:どんな観客が映画館に足を運んでくれるかを作り手が予測するのはとても難しいけれど、私が思うに、男女の青春を描いている物語なのでティーンエイジャーは共感できると思うし、もっと年配の方も楽しめると思う。愛を探し出すという普遍的なテーマだから、年齢を問わず惹きつける力があると思うわ。
Q:サンドラさん、理想の男性像を教えてください。
SB:(ヒューを指して)この方よ(笑)。うーん、そうねえ……。
HG:ぜひ聞きたいね。
SB:今の私と全く違うタイプの人格を求められても困るわよね。そうじゃなくて、私がよりよく変われるよう、成長できるように導いてくれる人がいいわ。
Q:ヒューさん、理想の女性像は?
SB:素晴らしい答えが聞けると思うわよ。
HG:親切で、知的で、内面が素敵な人がいいね。僕は外見を一切気にしないんだ!(会場笑)
Q:作品の舞台はNYですが、NYに対する想いを聞かせてください。
SB:映画の役のルーシー同様、私は歴史的な建築物の保存に感心を持っているの。伝統ある建築物がたくさん残っているヨーロッパに比べ、アメリカは古い建物をどんどん壊そうとする。NYも素晴らしい建築物がたくさんあるので、それを子孫に残していくべきよね。アメリカではファッションやアートは重んじられているのに、建築はないがしろにされがちなの。この映画には、そういった事情がうまく描かれていると思うわ。Q:とても息の合った演技でしたね。
HG:実は、サンディとは2年前に“リレーションシップ・ミーティング(いずれ一緒に仕事をしたいと願い合っている俳優同士が行うミーティング)”で会っているんだけれど、その時、彼女はとてもお行儀悪くハンバーガーを食べたんだ。そんな女性を見たのは初めてだったから、僕はショックでミニバーにあったビールを全部飲んだよ。それで、だんだん酔っ払ってしまい、かなりえげつない話をしてしまったら、彼女は部屋を出て行ってしまった。だから、サンドラ・ブロックと共演することはないだろうなと思っていたのに、彼女はこの映画に誘ってくれたんだ。失態を見せた僕を受け入れてくれる彼女とだからこそ、息の合った関係が築けたんだね。
Q:撮影中、お互いに対して新しい発見はありましたか?
SB:コメディを撮っていると、より面白く自分を見せようとして共演者同士に競争心が生まれることがある。でも、彼の場合はお互いを補うように、それぞれが映えるように演じてくれるの。
Q:サンドラさんには身障者用の駐車場に車を停めようとした若者に注意をしたり、赤十字の活動に力を入れたりといった優しい心があるのと同時に、ご両親は音楽家で、妹さんは弁護士で、知的な家庭に育っていらっしゃいます。先程、ヒューさんは知的で優しい女性が理想だとおっしゃいましたが、サンドラさんは理想にぴったりじゃありませんか?
SB:駐車場のエピソードは知らないわよ(笑)。そういう場面に遭遇したら、そうすると思うけど。
HG:もちろん何度も何度もアプローチしたよ! でも、若い男の方がいいといって、フラれたんだ(会場笑)。
Q:ステキな恋をするためのアドバイスをお願いします。
SB:恋を探そうとするんじゃなくて、自分の人生を満たそうとすれば恋が自然とやって来るんじゃないかしら。
HG:それは違うね。僕が今の年齢になって思うことは、若くて純真な時に恋愛して結婚してしまった方がいいということ。年を取ると物事に対する考え方がシニカルになって、恋愛が上手くいかなくなるからね。
SB:じゃあ、あなたは愛を信じないの?
HG:そうじゃないよ。愛はいつでも起こり得るけど、結婚は早い方がいいんだ。
Q:サンドラさん、製作者としてはどんなことをなさったんですか? ヒューさんは製作者である彼女をどう評価されますか?
SB:初めて監督業に挑んだマーク・ローレンスのサポート、資金集め、企画進行から音楽に至るまで、あらゆることに2年間をかけて携わりました。
HG:スターがプロデューサーとしてクレジットされる場合、名目だけのことが多いんだけれど、サンディの場合は本当にプロデューサーとしての役割を果たしていた。時にはやりすぎて、「もういいよ」って思うくらいにね(笑)。彼女は僕にはないエネルギーを持っているし、とても寛大なプロデューサーでもある。もし僕がプロデューサーだったら、相手役の足を引っ張ってやろうとするのに、彼女はいつも僕を持ち上げてくれるんだ。
Q:SARSの影響などで来日のキャンセルが相次いでいますが、来日を決めた理由は? 来日中の予定も教えてください。
HG:来日ということで、たしかにSARSのことは頭をよぎったよ。けれど、日本には患者がいないことは知っているし、皆さんご存知の通り、僕はものすごく勇敢な人間だから、それを恐れず、サンディを説得して日本にやって来たんだ。今回は3日間のみの滞在なんだけれど、取材時間以外のスケジュールに関しては記者会見の後に予定表を配るよ(会場笑)。
SB:説得されてやって来たんじゃないわよ! ちゃんと自分で来日を決めたの。日本に来たことがない親友も一緒に来ているので、プライベートタイムもすごく楽しみ。
HG:前回の来日でかなり遊んだヒューがサンドラに)日本の面白いところをたくさん教えてあげるよ。
(取材・文/渡邊ひかる)
5月12日(月) パークハイアット東京にて
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