毎年6月にパシフィコ横浜で行われるフランス映画祭も、今年で第11回目。さる6月18日~22日の横浜は、まさにフランス映画一色といったようすで昨年以上の盛り上がりを見せた。総勢40名近くの監督&スターが来日した今年のフランス代表団団長は、自身の監督デビュー作『天使の肌(仮題)』を引っさげてやってきたヴァンサン・ペレーズ。
19日の夜に行われたオープニング・セレモニーでは、まず「みなさま、こんばんは」と日本語であいさつをし、本映画祭の立役者であり多大なる尽力を払ってきた故ダニエル・トスカン・デュ・プランティエ氏(88年よりユニフランスフィルムインターナショナルの会長を務めた)に哀悼の意を表した。
「私が団長のオファーを受けたのは、プランティエ氏が亡くなる2~3日前のことでした。団長はもっと年をとってからなるものだと思っていたので迷ったのですが、私は日本を愛しているし、過去に横浜に来る度に楽しかったという想いに支えられて、氏の遺志を継ぐことを決意しました」と映画祭への熱い想いを語った。その後、ペレーズに名前を呼ばれたゲストがひとりづつ壇上に上がり、歓声と拍手にわく満場の会場に迎えられた。
今年の映画祭は、早々と“全日フリーパス”が売り切れたと聞き、正直言って意外な気がしていた。だが、会場に足を運んでみて納得! オープニング、クロージング・セレモニーは通路までをもファンが埋め尽くし、日本では比較的知名度が低いと思われる作品や、平日の昼間の上映でも指定席はほぼ満席状態で、マスコミ陣は空いている席を確保するのが困難なほどのにぎわいぶり。
上映前のスタッフやキャストによるあいさつでは、「ボン・ジュール」と呼びかけられると客席からも同じように返事が返ってくるなど、いい雰囲気が漂っていた。
また、上映後の質疑応答では客席から次々と質問が飛び出し、サイン会場には常に長蛇の列ができており、観客が積極的にこの映画祭に参加して楽しもうという姿勢が強く感じられた。
22日のクロージング・セレモニーでは、第2回フランス映画トロフィー(2002年3月~2003年2月までに日本で公開されたフランス映画の中で、もっとも印象的だった作品に贈られる)がフランソワ・オゾン監督作『まぼろし』に授与されて、映画祭は熱気に包まれたうちに幕を閉じた。
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