
過去20年間にわたって、ハリウッドを代表するスターとして君臨してきたトム・クルーズ。これまでに数多くのヒット作を世に送り出してきた彼の最新作が、明治維新直前の日本を舞台に描いたアクション・ドラマ『ラスト
サムライ』だ。彼が演じるのは、近代的な軍隊を養成するため、日本に招かれたネイサン・オールグレン大尉。今や滅ぼされようとしている武士らに共感し、彼らと共に戦うことを決意する米国軍人という役どころは、あらゆるヒーローを演じてきたクルーズにとっても、かなり異色だと言っていい。
トムの作品の中では異色の作
この映画を作りたかった理由のひとつは、何といっても昔からサムライが活躍する日本映画が大好きだったからだよ。サムライは自分たちの偉大な哲学を大切にしていて、献身的に任務を務め、武士であると同時に、ときには芸術家ともいえる存在だ。
僕はずっと日本文化に興味を持っていたから、サムライについて書かれた本もたくさん読んで、とても強い感銘を受けたんだ。名誉を尊ぶ気持ちや慈愛の精神、忠誠心といったサムライの美学は、まさに僕が日頃から実践している人生の指針と重なっていた。演じていて、まったく違和感がなかった。
|
 |
人間としての誠実さは、肉体や物質よりも大事なこと――これは時代を超越した普遍的な観念だと思う」そもそもアメリカには? 勝つことにこそ価値がある! といった意識が強い。
滅びの美学に感銘
一方、この映画で描かれるサムライたちは滅びゆく運命が定められている。完成した映画はまだ観ていないが、往来のハリウッド映画のイメージとはかなり違うのでは? と尋ねると「その通りなんだ」とクルーズは力強くうなずく。「この映画は“滅びの美学”に敬意を表した結末になっている。そしてかつて起こった出来事を忠実に描いている。
当時は世界的に産業革命が起こり、科学が台頭し、西洋人はとても物質主義的になっていた。でもちょうどその頃、日本には“人間は魂の存在である”という、西洋文化よりもはるかに先行していたコンセプトがあったんだ。実際のところ、現代になって、物質主義的な傾向はますます強まっている。だからこの映画は“人間は肉体ではなく、魂の美しさによって認められる”という日本の概念を世界中に改めて伝える作品でもあるんだ」よって認められる”という日本の概念
を世界中に改めて伝える作品でもあるんだ」
(石塚圭子)
|
|
ADVERTISEMENT
関連作品を配信サイトで視聴
※VODサービスへのリンクにはアフィリエイトタグが含まれており、リンク先での会員登録や購入などでの収益化を行う場合があります。