ミュージカルを観に行こう！　＜ブロードウェイ・リポート＞

（ｃ）2004 Kumagai

　ジャックマンに先立って、今年の4月に幕を開けた「ナイン」でブロードウェイデビューを飾ったのは、『レジェンド・オブ・メキシコ』の公開が待ち遠しいアントニオ・バンデラス。『エビータ』でも見事な歌唱力を披露してくれた彼だが、今回は堂々の主役でミュージカルの舞台に初挑戦した。「ナイン」は、フェデリコ・フェリーニ監督の名作『82／1』をモチーフにした、82年初演のミュージカル。大筋は映画と同じで、中年に差し掛かり、映画製作や女性関係に悩む映画監督グイドの悲喜こもごもが、美しい楽曲の数々でつづられる。エレガントで洗練された、ヨーロッパの香り漂う粋な舞台だ。

バンデラスが演じたのは、映画ではマルチェロ・マストロヤンニが演じた主人公のグイド。惜しくも受賞は逃したものの、今年のトニー賞で主演男優賞の候補になっただけあって、バンデラスの歌唱力＆演技力は折り紙付き!　力強く観客に訴えかけてくる、その朗々とした歌声には、ファンならずともうっとりしてしまうほど。また、シリアスな演技のなかにのぞかせる、コミカルな表情がスパイスとして効いていて秀逸。好評につき予定よりも長く出演したものの10月には降板しており、現在は代わってTVドラマ『フルハウス』のジョン・ステイモス（1月4日まで公演中）が舞台に立っている。こちらもかなり好評だ。

（ｃ）2004 A.Nakashima サインの後、車に乗り込むクラコフスキー

バンデラス版はCDでその歌声を聴くことができるので、ファンならぜひ一度聴くことをおすすめする。豪華なキャストが話題になった本作には、TVドラマ『アリー・myラブ』のエレイン役でおなじみのジェーン・クラコフスキーや、『マンハッタン花物語』のメアリー・スチュアート・マスターソンもオリジナルキャストとして出演。なかでも、もともとブロードウェイで活躍していたクラコフスキーの歌唱力とカリスマ性は、うっとりするほど優雅でセクシーで魅力的!　本作で見事にトニー賞助演女優賞に輝いたのも納得の、快心の出来栄えだ。こちらも前述のCDに収録されているので、彼女のセクシーヴォイスをぜひとも堪能するべし!

さて、短期間ではあるが、「ナイン」の道路を挟んで向かいにある劇場では、なんとバンデラスの妻メラニー・グリフィスが「シカゴ」の舞台にロキシー役で出演していた!　ミュージカルには全く縁のなかったグリフィスの出演はかなりの話題を呼んでいたが、肝心の歌＆ダンスの評判はイマイチだった。だが、舞台が終わった後は、毎晩のように夫を向かえにやってきては、2人揃って楽屋口から姿を現すなど、サービス精神にあふれたエンターテイナーぶりを見せてファンを喜ばせた。

（ｃ）2004 Kumagai
丁寧にファンに接するバンデラス

（ｃ）2004 A.Nakashima
バンデラスと仲良くファンサービス

（ｃ）2004 A.Nakashima
「シカゴ」のロキシー役のメラニー・グリフィス評判はイマイチ

（ｃ）2004 A.Nakashima
クラコフスキーも丁寧にサインに応じる

（ｃ）2004 I.S.
メラニー・グリフィスがロキシー役で出演