初めて出演した映画が「アイ・アム・サム」。
デビュー作、それも当時まだ7歳だったにも関わらず、ダコタ・ファニングは同作品で栄誉あるSAG(アメリカ俳優組合)の助演女優賞にノミネートされるという快挙を果たしてしまった。
この年齢でのノミネートは史上最年少記録だ。
「SAGの受賞式はとても楽しかった! あの夜、私はノミネートされて出席しただけでなく、プレゼンテーターとしても舞台に上がったの。会場ではいろんな人に会えたわ。とくに、私が前から大ファンだったキャメロン・ディアスとおしゃべりできたのは感激。司会の人が『皆さん、席についてください!』ってアナウンスしているのに、キャメロンは私と少しでも長くおしゃべりできるよう気をつかってくれたのよ。」
そう振り返るダコタは現在9歳。この2年間で、彼女の若すぎるキャリアは急速にステップアップした。天才子役の彼女のもとには次々に大物俳優との共演の話が押し寄せる。12月20日(土)に日本で公開される『コール』で彼女がスクリーンをシェアするのも、シャーリズ・セロン、ケヴィン・ベーコンなど、経験豊富な俳優たちだ。
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「シャーリズに会ったことはある?とーってもきれいよね!そう思わなかった?背もとっても高いし。あんなに美しい女性の子供役を演じられるなんて光栄だわ。『メラニーは行く』でリース・ウィザースプーンが演じるメラニーの子供時代を演じた時も、同じように嬉しかったけど。」
『コール』でダコタが演じる少女アビーは、ある日突然、自宅に侵入した何者かに誘拐される。もちろん犯人は、アビーが深刻な喘息(ぜんそく)を抱えてるとは知らない。発作が起きると命まで失いかねないだけに、自宅に残された母(シャーリズ・セロン)は、狂わんばかりにアビーの身の上を案じる。
「喘息を持った子供をなるべくリアルに演じるために、いろいろとリサーチをしたわ。ビデオを見たり、お医者さんから話を聞いたり。症状はどんなふうに起こるのか、それはどんなふうに苦しいのか、お医者さんは撮影現場にも来てくれて、いろいろアドバイスをくれた。この部分をしっかり押さえることが今回の映画で一番大変だったわ。でも、こんなふうに新しいことを学べるのはエキサイティングでもあったわ。」
生まれてはじめて受けたオーディションは洗剤のコマーシャル。もっと経験のある多くの子役を押しのけてそのオーディションに受かって以来、テレビ、映画へと進出していったダコタは、ハリウッドの厳しい競争というものを経験することなく今日まで来た。
「演技を学んだことはないの。今だってただ楽しいからやっているだけなのよ。セットでもオーディションでも、緊張したり、ナーバスになったことはないわ。だって、いつもみんな優しいし、これまでテレビや映画で見たことのある俳優さんたちをじかに見られるなんて、むしろ嬉しくて興奮してしまう。」
短いインタビューの間にも、ちょっと教えた日本語のフレーズをすっかり暗記してしまった彼女。ルックスは一般の9歳よりも幼く見えるが、受け答えの明朗さは大人なみで、頭の回転が早いことは明らか。外見から得るイメージと、しばらく会話して感じる印象のギャップに、初めて会った人は驚かずにはいられないはずだ。
「演技は大好きだから大人になってもやっていきたい。でも、じつは将来は監督もしてみたいという夢もあるの。」
9歳の子供が語る「将来」は、たいてい、ただの「夢」。しかし、この年齢ですでに日々トップクラスの俳優や監督たちと仕事をしているダコタは、演技という今の仕事を通じて、若いながらも着々と、監督業に向けての準備と勉強を重ねているのだ。
(猿渡由紀)
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