取材・文 猿渡由紀
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「女の子のハートをゲットするために努力したこと? ないなあ。若い頃はとくに『いいなと思ったらとりあえずやっちゃえ!』ってタイプだったから。」
ポール・ウォーカーほどのハンサム男からこんな言葉を聞くと、普通なら嫌味に聞こえがち。しかし、彼の場合は、一緒になって素直に爆笑できてしまう。
映画の中でのクールな印象とは違って、本人はまさに、根っから明るくて楽しいヤツ。ルックスも良く、しかも近付きやすい人柄とあれば、相当女性にモテたのだろうから、彼の言うことも納得だ。
そんな彼が新作『タイムライン』で演じるクリスは、タイムマシンで14世紀へ転送されたまま消息を絶った父親を救出するために、自らも“英仏百年戦争”の激化する中世フランスへと旅立っていく。
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(C)KAORI. SUZUKI |
「この映画の脚本が来た時、僕はクリスじゃなくて、もうひとりの登場人物(ジェラルド・バトラー演じる)マレクのほうに興味があったんだ。で、フィルムメーカーたちにそう言ったら『おやおや、僕らは君にクリスをやってもらいたくて、ここに呼んだんだけどね』って言われてさ(笑)。」
今回の共演者は、演技学校や舞台で経験を積んだベテラン揃い。そんな彼らを前にして主役を演じるのは、ウォーカーにとって大きなプレッシャーだったようだ。
「僕はもともと、海洋生物学者になろうかと思っていたくらいで、きちんと演技の勉強なんてしていない。彼らとの差は明らかなんだ。だから、撮影が始まる前は、恐かったよ。とにかく、みんな以上にベストを尽くして、『あいつも、そんなにひどくはないね』と言われるようにがんばろうと心を決めた。でも、実際に会ってみたら、みんなすごくいい人たちで、撮影はとても楽しく進んだよ」
仕事にも、常にそうやって最大のエネルギーを注ぎ込む彼は、生まれながらの負けず嫌いを自認する。長年の趣味、サーフィンに関しても、例外ではない。
「自分がサーフィンやスノーボードをしている様子を、よくビデオに撮るんだ。そうすることで、どこを直すべきなのか、どうすればもっとうまくなるか、わかるからね。同じ理由で、自分の出演した映画は必ず観る。でも、はっきり言って、あまり楽しくはないよ。なぜなら僕は、悪いところばかり見てしまうから。たとえば、いいところを見つけても、それで自分を褒めたりは絶対できない。むしろそんな場面は無視してしまうんだ」
自分自身に対してはそこまで厳しい彼だが、他人に対しては逆に謙虚で素直。ファンが寄せるさまざまな期待や、マスコミが押し付けるプレッシャーも、あくまでリラックスして受け止めている。
「映画スターとしての僕ではない、本当の自分。僕が好きなのはそっちの僕なのさ。街で僕を見かけた一般の人は、映画の中の僕と僕自身を混同するかもしれないけど、違うんだ。だから、映画俳優としての僕が出た映画を気に入らなかったというマスコミがいても、全然平気。まるで気にならないね」
いい意味での厳しさとおおらかさを、両方もちあわせた彼。ハンサムボーイのひとりで終わることなく、役者として、今後ますます成長していくはずだ。
『タイムライン』は1月17日より全国東宝系にて公開
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