Q:いつまでもときめく恋愛をする秘訣とはなんでしょうか。
H:僕は恋愛のエキスパートじゃないから答えるのは難しいな(笑)。僕はただ俳優として演技をし、お金を貰うだけだから、その質問に答えられるプロではないんだ。
Q:今回イギリスの首相の役を演じられましたが、アーノルド・シュワルツェネッガーさんのように政界に進出する野心はありますか?
H:僕の今までのキャリアは全てアーノルド・シュワルツェネッガーをモデルにしているんだ(笑)。アクション映画もいっぱいあるだろ? だから次期カリフォルニア州知事選は立候補しようと真剣に考えているんだ。
Q:期待しています。
H:ああ、わかったよ(笑)。
Q:ヒューさんの役柄のように、若く魅力的な独身の首相が日本にもいるのですが、同じ状況に置かれた際にどうすればよいのか、小泉さんにアドバイスをお願いします。
H:……何て言ったらいいのかわからないよ。僕がもしも権力ある立場に立ったとしたら、思いっきり乱用するだろうな。だって女性は権力に弱いだろ? だからそのチャンスを逃さず、女性をモノにしたいね。
Q:劇中、素敵なダンスを踊られていましたが、どこかで習われたのですか?
H:練習は一切なかったよ。僕があんなにイヤだと思ったことは今までなかったぐらいさ。もちろん映画の上ではとてもいい場面なんだけど、実際演じているときはとても恥ずかしかったよ。あれは映画史に残る最悪なシーンといえるよ(笑)。
Q:とてもリズム感がおありですよね。
H:あれは編集でリズムを合わせただけなんだよ(笑)。
Q:脚本家であり、監督でもあるリチャード・カーティスさんとは何度も一緒にお仕事されていますが、どのような間柄なのですか?
H:僕のキャリアは全て彼のお陰さ。だから彼にはいつもやさしく接しているよ(笑)。今回彼は脚本だけでなく監督もしているんだ。いつもは別に監督がいたから勝手に台詞を変えられないか、心配そうにカリカリしていたよ。今回はそういった緊張感がない分、僕にとって居心地のいい現場だったよ。
■僕の役柄はメリカでは気に入られなかったよ
Q:ご自身が愛の中で一番大切にしていることは何ですか?
H:そうだなぁ、もちろん僕は人格を大切にしているよ。もしこのことを信じるなら、この世の中どんなことでも信じられるはずだよ(笑)。
Q:作品のなかで、ブッシュ大統領に対して意見する場面がありますが、そのことに対してイギリスとアメリカの観客はどのような反応を示しましたか?
H:イギリスでは大喝采を受けたけど、アメリカでは気に入られなかったよ。でも意図的な意味はなにもなくて、もともとはアメリカではなくフランスの大統領のはずだったんだ。でもイギリスとフランスの間にはラム肉の輸入価格ぐらいしか意見の違いがないから説得力にかけるだろ?だからアメリカ大統領になったんだ。
Q:本作の中で、実際に観光に行って楽しめるロンドンのおすすめの場所はありますか?
H:どうかなぁ……。この映画に出てくるロンドンは本物と違う感じがするんだ。実際よりきれいだし、魅力的に撮れているよ。俳優と同じでメイクアップされているんじゃないかな。あ、僕はロンドンに住んでいるんだけど、公園は素晴らしいね。特にケンジントン・ガーデンやハイド・パークはお気に入りだよ。
Q:これまでワーキングタイトル製作の作品に多くご出演されていますが、この会社の印象は?
H:彼らは昔からの友人なんだ。お金は出して口は出さないタイプの製作会社だから、とても仕事がし易いよ(笑)。
Q:公開済みの国では記録的な大ヒットとなっているようですが、要因は何でしょうか?
H:理由は二つあると思う。一つ目はとても面白い作品だからじゃないかな。ラブコメディはたくさんあるけど、これだけちゃんと笑わせてくれるものはあまりないからね。もう一つは作品に含まれるメッセージに共感してくれたんだと思う。新聞やテレビを見るととても殺伐とした世の中に感じるけど、「人生悪いもんじゃない」、「愛はいっぱいあるんだ」というポジティブな姿勢が気に入られたんだと思う。まぁ僕に言わせてみれば、同感できないけどね(笑)。
Q:役作りについて聞かせて下さい。
H:そうだなー(←フランス語で)。良い俳優というのはたくさんリサーチするものなんだ。でも僕はめったにしない。試してはみたんだよ。政治についての本を読んだんだけど、あまりに退屈だったんで、1章で挫折しちゃったよ。あとは脚本について、自分のキャラクターをもっと面白くするように頼んだりしたよ。今回特に注文したのは、完璧な善人にしないでほしいということ。監督がとてもいい人だから、それがあらゆる役に反映してしまうんだ。でも首相は政治家のプロなんだから、あまりいい人過ぎても良くないと思ったんだ。
Q:豪華俳優陣が出演されている本作ですが、その撮影現場はぴりぴりしたものだったのでしょうか。それとも和やかだったのでしょうか。
H:この映画はエピソード形式だから、皆が一同に会することはなかったんだ。それでも何人かの俳優と会うと、表向きには応援しているように装って、心の中では「失敗すればいいな」と思っているんだ(笑)。
■僕はなるべく演技をしたくないから、自分に似た役を選ぶようにしているんだ
Q:出演者の中で刺激を受けた人はいますか?
H:そうだなぁ……皆イギリスの同業者で、昔からの知り合いなんだよ。エマ・トンプソンも大好きで、とても素敵な女性だね。あと、コリン・ファースとも仲がいいんだけど、彼は俳優としては大したことないな、ハンサムでもないしね(笑)。僕は彼の人間性が好きなんだ。それに僕の従兄弟(サム役のトーマス・サングスターム君)のことも誇りに思っているよ。彼のことは全然知らなかったんだけど、リハーサルに行ったら女性が近づいてきて、「私はあなたの従兄弟で、私の息子も出演しているのよ。」って言われたんだ。どうやら僕より先にキャスティングされていたみたいだよ。彼の演技は素晴らしかったよ。
Q:本作品のなかで、どの愛の形に共感されましたか?
H:あーそうだな……たぶん女性を探しにアメリカに行った男の話かな。あれは本当に真実味があったからね。(笑)
Q:その逆はありますか?
H:ちょっとパンフレットを見せてもらえる?うーん、コリンのエピソードは理解し難いな。でもそれは彼の演技力のせいだな(笑)。どれも共感できるから迷っちゃうよ。
Q:本当にコリンさんとは仲がよろしいんですね。
H:ああ、まぁね。
Q:監督リチャード・カーティスさんは、他の監督とどこが違うと思いますか?
H:今まで裏側にいた人物が監督になるわけだから、僕が先生になれると思ってたんだけど、彼は権力の鬼になってしまったんだ(笑)。ともかく彼は一つの場面をいろいろな方法で撮る人だね。まず脚本通りに撮って、「素晴らしいね」と言った後、「でもこうゆう風にもやってみて」と言うんだ。そうして編集のときによりいいものを選んでいくというやり方の監督なんだよ。
戸田さん:(鼻水を垂らしているヒューを見て)すみませんが、彼にティッシュをあげたほうがいいかと思いますよ。
H:ああ、ありがとう。(テーブルに置かれた花を見ながら)この花のせいなんだ。(ホテルの従業員と記者の一人から渡されたティッシュを受け取り)ありがとう。とても綺麗な花なんだけどね。(鼻をかむ)
Q:ご自身に一番近いキャラクターはいましたか?
H:あー、僕が演じたキャラクターが一番似ていると思うな。僕はなるべく演技をしたくないから、自分に似た役を選ぶようにしているんだ。
Q:最近、身近に愛を感じていますか?
H:(笑)質問してくれてありがとう。ぜひ、ここで皆に僕のラブ・ライフについて語りたいと思っていたんだよ(笑)。でもやめとくよ。
Q:こんなにハンサムでもてるのに何故(いい人がいない)なんでしょうね。
H:(無言で下を見て目をパチパチさせる。)
Q:次回作について教えてください。
H:『ブリジット・ジョーンズの日記2』を撮り終えたところなんだ。日本はいつなのかは解らないけど……来年かな。今回僕はあまり出番がないんだ。そもそも本の2巻目には僕の役はなかったのを、映画のために作ったんだ。だから大役じゃないんだよ。
Q:ヒューさんが子供時代に見た映画で、泣いた作品や笑った作品はありますか。
H:そうだなあ……『オズの魔法使い』を見て泣いたことがあるよ。西の魔女が怖かったんだ。僕があんまり泣いたもんだから、母親が映画館から連れ出したんだよ。あれは僕の誕生日のことだった……30歳のね(笑)。笑った作品はいっぱいあって思い出せないな……ピーター・セラーズという俳優の『ピンクパンサー』とか『What’s
Up Dog』が面白かったな。
■日本の女性はデリケートで傷付きやすいね
Q:今日のファッションについて教えて下さい。
H:このスーツはロンドンのリチャード・ジェームズのものだよ。でもこれは40代にはいいけど、若者には向かないよ。40代以下の人はベッカムをお手本にしたらいいんじゃないかな(笑)。
Q:いつもかっこよく、セクシーで女の子がメロメロするような役が多いですが。意識して役を選んでいるのですか?それとも役のほうからやってくるのでしょうか。
H:そうゆう仕事しかこないんだよ。
Q:違ったタイプの役はやられないのですか?
H:やってはいるんだよ、でも誰も見てくれないんだ(笑)。
Q:ハリウッド映画とイギリス映画の違いはなんでしょうか。
H:それは単にかけるお金が違うんだ。でも今回の作品の場合、イギリスにしては大作だといえるんじゃないかな。そう考えると違うのはセットの雰囲気だね。イギリス人にとって大作映画はまるでイベントなんだ。だからスリルを感じながら、まるでパーティのように楽しく映画を撮るんだ。それがアメリカの場合だと、もっと淡々と機械作業のように撮っていくんだ。そこがとても違うと思うな。
Q:ご自身の俳優としての魅力はなんだと思いますか。
H:僕は企画の選び方がうまいんだと思う。今まで僕が断ってヒットした映画は無いからね。目が利くんだよ。(笑)
Q:役柄としてはどのようなものが観客に受けると思いますか?
H:えーと、わからないなあ。僕がどういう人間かは周りの人はわかっていないと思うよ。だって僕自身わからないんだからね。たとえ僕の演じた役を気に入ってくれたとしても、それは僕自身ではないからね。とても難しい質問で答えられないよ。
Q:いつもアメリカ人の女性が相手ですが、イギリス人の男性は何故アメリカ人の女性が好きなのですか? 日本人の女性ではダメなのでしょうか。
H:僕自身は全然そんなことはないよ。日本の女性はとても、デリケートで傷つきやすい部分を持っていると思うから好きだよ。でも日本の女性には見た目ではわからない、もっと深いものがあるからちょっと恐いかな(笑)。特にあなたとか。(翻訳者の戸田奈津子さんをチラッと見る)
(取材・文:FLiXムービーサイト編集部)
「ラブ・アクチュアリー」は2月7日 日比谷スカラ座 他にて公開
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