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メグ・ライアン独占インタビュー『イン・ザ・カット』

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ロマンティック・コメディーの女王と呼ばれていたメグ・ライアンがそのイメージを脱ぎ捨てるかのような複雑で官能的な役に挑んだ。製作にニコール・キッドマン、監督は『ピアノ・レッスン』のジェーン・カンピオン。映画界の精鋭である3人の女性が「女性の性」に深く斬り込んだ問題作を作り上げた。今までに見たことがないメグのその表情にはどんなメッセージがかくされていたのだろう? その心境を聞いてみた。

まず初めて『イン・ザ・カット』の台本を読んだときのあなたの気持ちは?
メグ・ライアン:(以下MR)まるで知っている話のように思えた。それが、私のどんな面を語っているのかはよくわからなかったけど(笑)。まるですでに見たことのある夢のようで……。

ではこの役を引き受けることに躊躇(ちゅうちょ)はなかった?
MR:躊躇どころが、この役が欲しくてオーディションンに行ったくらいよ。ジェーンのホテルの部屋まで出向いていって、彼女とマークの前で即興演技したの。とにかく、この役が欲しかったのよ。


これまでロマンティック・コメディーで人気を確立してきたあなたにとっては、この役はかなりの挑戦ではなかったですか?カメラの前で自分自身をさらけださなければならないという……。主人公は非常に複雑な女性ですよね。
MR:楽しかったわ。これまでやってきたロマンティック・コメディーとは全く違った仕事だし。ロマンティック・コメディーには、非現実性がある。それなりに、保たなければならない色彩があるし、それを達成するのはある意味で難しい。ロマンティック・コメディーならではの解決すべき問題点もあるし。今回の作品についても同じことが言える。それなりに挑まなければならない挑戦というのがあったし、ただし1点リラックスできたことがあったとしたら、今回の役は、カメラが彼女を追いかけなければならない状況にあった。私がこれまで演じてきた役というのは、役を作るということが必要な役ばかりで、まあそれがコメディーの本質なんだけれど。今回の役は、彼女になりきればよかった。役を作って提供する代わりに……。ただそこにいればよかった。


あなた自身の中に、フラニーがどのくらい存在したと思いますか?
MR:私の中に? フラニーがどのくらいいるかって? フラニーはグレイトなキャラクターだと思うわ。あなたの中にいるのと同じくらいのフラニーが、私の中にいると思うわ。どんな女性の中にもフラニーは存在すると思うのよ。彼女の中の行動はこの世の女性に共通する原理や、失望や勝利などに端を発している。


ジェーンと仕事する前と後では、あなたの彼女に対する見方は変わりましたか?
MR:変わったわね。会う前は、彼女があれほどまでに学識深く、妥協なしのアーチストであるか想像もしていなかった。彼女が毎日こつこつと映画を築きあげていくのを目の当たりにして、彼女がいかに共同作業を好み、いかにやりたいことがはっきりしていて、足が地についた人間なのかということを痛感したわ。彼女はとても想像性豊かで、芸術に対する精神的な理解が深いけれど、その面を私は知らなかった。今それを知ることができて、とてもうれしい。


彼女の作品の中で一番好きな映画は?
MR:『スィーティー』は好き。『ホーリー・スモーク』も好き。それから『ピアノ・レッスン』『エンジェル・アット・マイ・テーブル』。あげていったらきりがない。


今回の作品がきかっけで、これからもいろいろ違った役に挑戦していきたいですか?
MR:そうね。今回の役はとても満足のいくものだった。


『イン・ザ・カット
』の撮影終了後、面白そうな仕事の話はありましたか?
MR:ノー(笑)! だからしばらくは、かなり欲求不満になるかも。あれから仕事していないの。この作品の撮影が終了してから1年オフをとっていたの。


これからどんな分野に興味がありますか?
MR:話しがくるものは何でも(笑)! この作品と同じくらい本気で自分がうちこめるような作品の話しがきたらいいわね。今回の作品はこうやってここで話しているのも嬉しいくらい。偉大な作品だと思うから。


一番難しいシーンはどこでしたか?
MR:どれが一番難しかったのかはよく覚えていないけれど、何度も心に浮かんでくるシーンというのは、ジェニファーとのカフェのシーン。フラニーが道で襲われた後で、ポーリンとフラニーが会って、そこでお互いの気持ちを正直にうちあける。二人の女性が展開するとっても感傷的なシーンで、すごく良いシーンだと思った。とっても強力で。撮影のあった日は暑い日だったのを覚えている。いろんなことが起こっていて、あの日の撮影は大変だったのを記憶しているわ。


女性監督だったせいもあって、現場の雰囲気は違っていましたか? 女性的というか。

MR:どうかしら。それは個人個人の感じ方じゃないかしら。より女性的、あまり男性的でなかった、というよりは、小さい映画、小さい予算の映画ってことを感じたわ。大型747に乗ってるんじゃなくて、ハイ・パフォーマンスな小型ジェットにのっている感じよね。気高いというのかしら。皆がそこにいるのはジェーンへの愛と物語への愛からで……。それが現場の環境とそこにいる人々のかもし出した決定的な色彩だった。芸術的な表現に興味のある人々でいっぱいの環境。ボックス・オフィッスに興味があるのではなくて。美しい映画を作ることだけに興味がある人たちでいっぱいの環境だったの。


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