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レニー・ゼルウィガー「コールド・マウンテン」

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南北戦争によって引き裂かれた恋人同士の姿を、オスカー監督アンソニー・ミンゲラが美しく壮大に描いた至高のラブストーリー『コールドマウンテン』。ジュード・ロウ、ニコール・キッドマンらと共に主演し、本作でみごとアカデミー賞助演女優賞を受賞したレ二ー・ゼルウィガーと監督の2人が来日した。来日したレ二ーは、美しくセクシーな姿に変身していて、映画の中とは別人のようだった。また、監督からの賛辞に胸をつまらせ、思わず涙ぐんでいたのが印象的だった。

アンソニー・ミンゲラ(以下A):レニーも僕も何度か来日しているんだけど、2人とも日本が大好きで、来るたびに楽しんでいるよ。 妻が香港出身なのでアジアに興味があるのはもちろん、東洋の文化は学ぶことも多いので、大好きだよ。それと、意外に思うかもしれないけど、実はこの映画を撮るにあたって巨匠・黒澤明監督の作品を参考にしたんだ。今、この場を借りて監督に感謝したいと思う。

レニー・ゼルウィガー(以下R):日本にまた戻って来られてとてもうれしいわ。何か口実があれば「飛んできたい」って思うくらい日本が大好きなのよ。誇りに思えるこの作品で来日することができて幸せだわ。会場の皆さん、今日はこんなに集まってくれて本当にありがとう。

■映画館で口をポカンと開けてたのよ(笑)/レ二ー・ゼルウィガー

Q:なぜルビー役をやりたいと思ったのですか?
R:言い切れないくらいたくさん理由はあるの。この映画を体験したいのはもちろんだけど、昔からミンゲラ監督のファンだったからよ。映画館に行って彼の映画の予告編を見ては「いつか彼の描く美しい映画に参加できたら」って、口をポカンと開けてたわ(笑)。

Q:では、ミンゲラ監督がこの映画を撮ると決まった時のお気持ちはいかがでしたか?
R:夢のようだったわ! もともと原作を読んでいて、物語も出てくる人物も、とても好きだったの。舞台も私にとって馴染み深い場所で、共感の持てる文化を描いていたしね。監督に声をかけてもらって、彼の書いた脚本を読んだ時に、信じられないくらい素晴らしいものになると思ったわ。

Q:レニーにとって、演じるルビーはどういう人物?
R:ルビーは……非常に珍しいことだけど、映画の中で大きく成長するキャラクターね。彼女はとにかく強いし、子供っぽくて何をするにも恐怖心やためらいが無いの。そういう彼女の気質は大好きよ。

■レ二ーの顔が思いせなくなった(笑)/アンソニー・ミンゲラ

Q:レ二ーさんとお仕事された感想はいかがでしたか?
A:僕にとってレニーの一番の魅力というのは、毎回「今日はどんなレ二ーに会えるんだろう」とワクワクさせられることだと思う。彼女は映画の度に顔や体系を変えて演技するからね。この企画で初めて会った時、女優としての彼女というよりも原作に興味を持つ人物として会ったんだ。まだキャスティングにも入ってなかったんだけど、彼女が僕より先に原作の権利を買おうとしているって聞いて、僕と同じように原作に興味を持つ彼女と本の魅力について話し合いたくて会ったんだ。でも、会う5分前になってふと気づいたら……彼女の作品は観ていて知っているはずなのに、レニーがどんな人か思い浮かばなくなっちゃって、一瞬パニックになったよ(笑)。

Q:久しぶりに会ってみていかがですか?
A:ルビーは彼女が作り上げたキャラクターだと実感したよ。編集で1年近くルビーを見ていたけど、ルビーと今隣に座っているレニーはまったくの別人だ。だから、彼女が作り上げたルビーが世界中の人に評価されたことをとてもうれしく思っているよ。皆も、実際の彼女とルビーが重なることは無いんじゃないかな。

Q:ジュード・ロウとの共演はいかがでしたか?
R:彼は……恐れを知らない人。撮影はとても大変で色々なことに耐えなければいけなかったし、しなくてはならないことも多かった。でも、ジュードは大変なことをもっともっと深く追求していく俳優だったわ。

■ ニコールと意見を出し合う作業はとても楽しかった/レ二ー・ゼルウィガー

Q:一緒のシーンが多かったニコール・キッドマンは?
R:彼女はとても温かくて面白い人よ。色々なアイディアを出し合う共同作業がとても楽しかったわ。毎回、どういうことをやるべきか2人で考えて演じていたの。それに、ニコールは仕事に対してとても真摯な姿勢で取り組む女性。何故そのプロジェクトを選んだのか、どうしてその場に身を置いているのか、そういう意識をはっきりと持っている人なの。ニコールにとって仕事はとても重要なことで、監督もそうなのだけど、仕事が100%以上じゃないとダメ。妥協は許さないの。そういう環境に身を置くことですごくインスパイアされたし、とても楽しかったわ。

 

Q:今回のルビーを演じるにあたって、役作りはどう始めたのですか?
R:とてもいい質問ね。まず最初は、当然のことながらアメリカの歴史や時代を勉強することから始めたわ。ルビーの強さは彼女の生活や当時の時代背景を理解することでわかってくるの。それに彼女はサバイバーでもあるわね。原作や脚本を読めば彼女は何が出来る人なのか、どういう外見なのかが理解できたわ。それに衣装でだいぶ雰囲気が出たから、あまり意識して外見をいじることはしなくて……肌を日焼けしたような、ダークな色にしたくらいね。

■エイダとルビーは対極の存在 /アンソニー・ミンゲラ

Q:衣装について教えて下さい。
R:独特な靴を履いて衣装に身を包んだ時に、ルビーはどうあるべきか感じることができたの。彼女はちゃんとしたしつけを受けていない大きな子供だから、社会的な抑制が無い彼女なりの動き方になるのよ。初めから"こうやろう"とは考えないで、監督と相談しながら作業していったわ。もう毎日が発見だった。

A:エイダ(ニコール)とルビー(レニー)はまったく別の要素を象徴しているキャラにしようと思ってたんだ。エイダは"空気"のように浮遊しているイメージで、ルビーは"大地"に根付いているイメージ。衣装や準備段階から、それぞれを象徴するものを彼女たちが演じるキャラの周りに置いたんだ。映画を通じてエイダはどんどん地に降りてくるのに対し、ルビーは空に舞い上がるような……そういう移り変わりを脚本の中に盛り込むよう心がけたよ。

■ 相手の話しを聞いて、話し合うことが大切/アンソニー・ミンゲラ

Q:南北戦争についての監督の考えを教えて下さい。
A:過去を振り返ると、アメリカの歴史の中でも南北戦争は人々にとても深い傷を負わせたね。今でもアメリカはこの悲劇から立ち直ってはいない、と思うほど悲惨な時代だった。映画の最後は1つのテーブルを囲むシーンで終わる。お互い辛いことを乗り越えて生き延びた人々が仲間になって、食卓を囲んでいるんだ。彼らは階級も違えば趣味や思想も違う、共通点が全くない人たちだけど、物語の最後にはそういう人たちが1つの家族のようになるんだ。

Q:ラストの食卓を囲むシーン、またはこの作品にどういう想いを込めたのでしょうか?
A:現状を考えると、暴力・武力を使っての解決法が一番説得力があり効果的だと考えられている。とても残念なことだね。僕のささやかな願いなんだけど、この作品でもう1度、1つの食卓を囲むという価値を皆さんに考えて欲しいんだ。食卓だけじゃなくて、国連でもね。1つのテーブルを囲んでちゃんと対話をして、相手の意見を聞いてから解決する……時間がかかる方法かもしれないけど、こうやって解決したものはより持続できると思うよ。相手の話しを聞いて、話し合う大切さをもう1度考えて欲しくて、この映画を作ったんだ。

Q:黒澤監督の影響、というのは?
A:食卓のシーンの撮り方はわかるけど、戦闘シーンの撮影は未体験だっんだ。だから、人々が個性を失ってパターン化された行動をとる狂乱の場所を、どうやって描けばいいのか、全くわからなかったんだ。そこで黒澤明監督の『影武者』や『乱』を思い出したんだよ。彼はユニークな方法で戦場のシーンを映像化する、本当に素晴らしい監督だ。人々の動きを通して物語を伝えるという手法は、彼が発案したといっても過言では無いと思う。そのやり方を、今回僕は喜んで拝借させていただいたというわけなんだ。

■毎朝オスカー像が本当にあるか確認するの/レ二ー・ゼルウィガー

Q:オスカーを手にした時の気持ちはいかがでしたか?
R:唯一覚えているのは、階段を上がる時に「ドレスの裾を踏みませんように」と考えてたことだけなの。受け取った瞬間や感触、何を言ったのかは全然覚えていないんだけど、誰にも叱られなかったから大丈夫だったんじゃないかしら……。後になって信じられない気持ちと、少し罪悪感を感じたわ。監督がスタッフやキャスト全員を彼の作った世界に連れて行ってくれたのだから、結果的に起こったすべてのことは彼のおかげで、私が賞を受け取る価値は無いんじゃないかという気持ちになったの。でも、もちろん受賞したことはうれしいし、感謝の気持ちでいっぱいよ。

Q:オスカー像はどこに?
R:今はベッドルームに置いているの。毎朝起きて、「本当にある!」って確認できるように。見るたびに、私がこの映画でどれだけ多くのことを学んだかを思い出すわ。

(取材・文FLiXムービーサイト)

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