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妻夫木聡『69-sextynine』独占インタビュー

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取材・文 小林よこ


村上龍が自らの高校時代の体験を基に書いた同名小説を映画化した『69sixty nine』。1969年に起こった出来事を背景に、ハチャメチャなコメディタッチで繰り広げられる。主演は若手俳優の中でもいま、もっとも輝いている妻夫木 聡。本作を見ていると無邪気な表情がとても自然で本当に心から楽しんでいるように見える。果たして、妻夫木 聡さんの高校時代は『69sixty nine』と似ているところがあるのか、どのように過ごしてきたのかを含め撮影秘話を聞いてみた。

■ 何に対しても一生懸命になっちゃうんです!

Q:『69』は笑いがとまらないですね! 劇場内はみんな大声出して笑っていて、椅子が揺れていましたよ。

また~(笑)。いきなり盛り上げすぎじゃないですかぁ(笑)!。いや、でもありがとうございます。そう言ってもらえるとうれしいです。僕も完成品を観たんですけど、自分の作品って客観的になれなくて、みんな楽しんでくれるかなって考えちゃうんです。

Q:高校生に戻った気分でした?

撮影中はそんなに意識してなかったんですけど、終わってみると高校生のような気分で演技してたんだなって感じましたね。

Q:この作品は、村上龍さんの高校時代を映画化したものですが、妻夫木さんの高校時代と照らし合わせると似ている部分はありましたか?

(少し悩んで)……は、はい(笑)!
何に対してもバカなところは似ていたかもしれないですね(笑)……。いい意味でも悪い意味でも。僕、結構目の前にあるものに一生懸命になっちゃうタイプだったから、そう考えると似ているかも……。

■ 青春時代はバンド

Q:実際、妻夫木さんの高校時代はどうだったのですか?

とにかく、モテたかったですね!

Q:え~、モテたでしょー!

(笑)いやいや、モテないっすよぉ(照)。まぁ、とにかくモテたかったすねぇ……。

Q:妻夫木さんは今でも青春まっただ中だと思いますが、高校時代の青春の思い出は何ですか?

バンドですね!
もともとはボーカルとベースをやっていたんですよ。映画では、ドラムを担当していたんですれけど、音楽は共通しているものがあるから、どれをやっても楽しいものがありますね! 最後のフェスティバルのシーンなんかは、朝方までかかって24時間ぐらい撮りっぱなしでしたね。



■ プチH番組は友達の家で……

Q:しかし、九州弁は上手でしたね! 出身だからですか?

いや、違うんですよ。実は僕、生まれは福岡だけど育ちは横浜なんです。だから九州弁はまったくで……ハイ。 アッ、聞き取りはできるんですけど、自分から発することはできないんですよね。

Q:では、どうやって勉強したのですか?

実際は方言指導の方についてもらって一生懸命勉強しました。だけど、あれだけの訛りはかなり難しかったですね。

Q:勉強することが多い映画ですが60年代の背景も勉強されたのですか?

設定は60年代なんですが、あまり時代にとらわれないでやりたかったんです。でも、どういうことが起こったのか知るために、その時流行った雑誌とか、人気のあったテレビをビデオで見たりしましたね。

Q:オンタイムで11PM(イレブン・PM)を見たことは?

(笑)いや、まだ小さかったんで見たことはなかったですけど名前だけは聞いたことありました。ただ、映画の中の設定で「11PM使います!」って言われたからどんなものなのか見てみましたけど……「あ~」って感じでしたねぇ(笑)。

Q:衝撃的!?

ハハハ……。さすがにいまは衝撃的じゃないですけど、その当時見ていたら衝撃的だったのかなぁ。なんか、いろんな物が詰まった番組というか……なんというか……。でも、もし僕がその当時の人間だったら確実に観ちゃっているかも……(笑)。

Q:では高校生の時は、プチH番組はどうやって見ていましたか?

トゥナイトとかギルガメとか?(笑)……友達の家に泊まり行った時とか、兄貴の部屋にテレビがあったから、こっそり観ちゃっていましたねぇ(笑)。テレビ見て「スゲェ!」とか言っていましたけど、いま考えると若かったなぁ。

■ 人を好きになると自分を見失っちゃうんですよ。

Q:ところで主人公のケンは女の子の下着を触わったり、ちょっとエッチな感じでしたけど、その辺…あの…妻夫木さんは……えーっと……。

(手振り身振り)ソレはナイ、それはない(笑)! そんなの、ただの変態じゃないですか。アハハハハ。

Q:ですよね、……スイマセン(苦笑)。ケンは憧れの女の子のハートを掴むためにいろいろなことをして気を引こうとしました。妻夫木さんならどうしますか?

(かなり考え込んで)うーん、難しいなぁ。とりあえず、連絡をいっぱいとって話をすると思いますね。僕ダメなんですよ。

Q:だめ?

そうそう、ダメ。 人を好きになると自分を見失っちゃうんですよ。その人のことでいっぱいになっちゃって。不器用と言うか……いつもの自分でいられなくなるんですよね。

Q:自分を作ってみたりしないですか?

できないんですよぉ。もともとカッコつけたりできなくて、ただ普通におとなしくなっちゃうんです。

Q:でも天然のかっこよさがあるからいいですよね。そういえば、イタズラをするシーンでヤンチャな笑顔や、無邪気な表情がとても自然だったんですが、普段からそういうことはするんですか?

僕、ちょっかい出したり人をイジるのが好きなんですよ。(ちょっとイタズラな顔になって)寂しがりやだから、かまってもらいたくて、誰でも突っついちゃうんですよね(笑)。

Q:撮影中も?

結構やりましたねぇ~(思い出し笑い)。安藤政信さんと普段から仲いいんですけど、2人で役者さんにちょっかい出したりして。イロイロと……。

■ 自然体が一番です

Q:さて、1作品ごとに大きく成長されて色気と魅力たっぷりな妻夫木さんですが……これから演じたい役はありますか?

ほめ殺しですねぇ(笑)。すごく贅沢な話なんですけど、いろいろなことに挑戦していきたいですね。コレと決めないで自分がやりたいと思ったことに正直に向き合っていけたらいいかなぁって思います。あまり固くならずに……ですかね。

Q:いずれハリウッドへ?

興味はありますね。自分をキャスティングしてくれたらもちろん喜んでいきます。ただ自分を作っても仕方ないので、どんなことにも常に自然体でいられたらいいですねぇ。

Q:あっという間の時間でしたが、最後にこれから映画を観る方へメッセージをお願いします。

はい。7月10日公開の『69』なんですが、この映画はすごく好きな映画で台本読んだ時からバカ笑いした作品です。撮影もあっという間に終わり、駆け抜けちゃった青春という感じで、本当に一瞬にして終わってしまいました。それだけ楽しかったです。セリフの中にも「楽しんだもの勝ち」という言葉があるんですけど、この映画をやってまさにそのとおりだと、何でも楽しまなきゃ損だと思いました。みんな、何かにバカになって楽しんでください。ぜひぜひ、面白いので観てください。ヨロシクお願いします。

インタビュー中、終始ニコニコ顔の妻夫木 聡さん。まさに、ドラマや映画のスクリーンの中で見る笑顔そのものが、普段からそこにある感じがした。何に対しても前向きで一生懸命な彼の姿勢に精一杯応援してあげたくなる気持ちでいっぱいになるのは、まさに妻夫木マジック。インタビュー日の6月9日は、午前中に記者会見、最後のインタビュー時間は午後3時。疲れも見せず、誰に対しても「今日はありがとうございます」と感謝の言葉を発していたのがとても印象的だった。




↑笑顔が底抜けに明るい妻夫木さん、まわりの人間を楽しい気持ちにさせます。

↑「(高校時代は)もてなかった!」 と謙虚な言葉が好感度アップ!

↑表情がころころとかわるところは、さすが役者さんです

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