カンヌ、ベルリンと並ぶ世界3大映画祭の中で、最も歴史の深いヴェネチア国際映画祭が今年も9月の1日から11日(時差は日本が7時間早い)まで行なわれる。コンペティション部門に出品された作品の中から、最高栄誉の金獅子賞、銀獅子賞、主演男優女優賞などが選出される。日本映画はヴェネチア国際映画祭で、多くの賞を授与した経歴があり、「羅生門」や「七人の侍」などが有名。1997年には、北野武監督作「HANA-BI」がグランプリの金獅子賞を受賞したことでも話題となった。今回も『ハウルの動く城』、『珈琲時光』といった日本映画が選出されており、賞の行方が気になるところだ。FliXムービーサイトでは映画祭の情報をニュース速報として、独占写真も交えてお届けするのでお楽しみに!!
『 ベラ・ドレイク 』 のマイク・リー監督(写真:映画『ベラ・ドレイク』より)
声優を務めた『スチームボーイ』がクロージング上映された鈴木杏(写真:中山治美)
9月11日 金獅子賞はマイク・リー監督の『ベラ・ドレイク』
「第61回ヴェネチア国際映画祭」の閉会式が現地時間9月11日、イタリア・ヴェネチアのフェニーチェ劇場で行われ、最高賞に当たる金獅子賞には、批評家の下馬評通り、英国のマイク・リー監督による『ベラ・ドレイク』(英題)が受賞した。
同作品は女性の中絶が禁じられていた1950年代の英国で、貧しい人たちなどのために非合法で中絶手術を行っていた女性を主人公にした秀逸の人間ドラマ。主演のイメルダ・スタウントンにも最優秀女優賞をもたらしたマイク・リー監督は、壇上で「この作品を拒絶してくれたカンヌ国際映画祭に感謝します」と映画祭のウラ事情をぶちまけ、会場の笑いを取っていた。
新ディレクター、マルコ・ミュラー氏が就任した今年のヴェネチアのメーンコンペティション部門は、ドイツのヴィム・ヴェンダース監督、スペインのアルハンドロ・アメナバール監督など、各国を代表する監督たちの新作が集合し、見応えたっぷり。中でも、映画祭期間中に急遽、コンペ入りした韓国キム・キドク監督の『3アイロン』(英題)は独特のユーモアと奇抜なアイデアが光るキム監督ならではのラブ・ストーリーで、一般観客の人気はダントツ。日本でもやっと「春夏秋冬…そして春」が公開されるが、今後、この監督からは目が離せそうにない 。(文・中山治美)
Photo Credit: Giorgio Zucchiatti
サン・マルコ広場の大規模な特設会場で、アメリカの長編アニメ『シャーク・テイル』が上映され、声を担当したロバート・デ・ニーロ、ウィル・スミス、アンジェリーナ・ジョリーらが登場した。今回デ・ニーロはマフィアのサメという設定で、“18番”のキャラクターを演じた。何度もイタリア人役を演じた彼に感謝の意を表して、近くイタリアの名誉市民権が与えられることになっていたが、一方では抗議する声があがり騒動となっていた。しかし来月に授与式がとり行なわれることが正式に決まり、デ・ニーロは「とても光栄で、誇りに思う」と述べた。
コンペティション部門では日本からの出品作『珈琲時光』が上映された。会場にはヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した経験を持つ、候孝賢監督、主演の一青窈、浅野忠信が駆けつけた。ヴェネチア国際映画祭初参加の一青窈は賞の行方より、会場や町並みの美しさに感動して「金獅子の像がすごくきれい!」と興奮しているようだった。そのほかコンペティション以外の部門では、前出の浅野が出演している『ヴィタール』や、松尾スズキ監督作『恋の門』などの日本映画が上映された。
『珈琲時光』の主演忠信、一青窈、候孝賢監督。Photo Credit: Giorgio Zucchiatti
『シャーク・テイル』の声を担当したウィル・スミス、アンジェリーナ・ジョリー、ロバート・デ・ニーロ。Photo Credit: Giorgio Zucchiatti
Photo Credit: Giorgio Zucchiatti
9月9日 名脇役、ジョン・C・ライリーが主役で喝采
ヴェネチア・オリゾンティ部門でアメリカの作品『クリミナル』(英題)が上映され、主演のジョン・C・ライリーの演技に賞賛が集まった。長年名脇役として活躍してきたジョン・C・ライリーは、主演作が映画祭で上映されることに喜びを隠せないといった様子で、写真撮影の際には1人でフラッシュを浴びながらおどけて見せていた。
そのほかコンペティション部門からはイタリア、フランス、ドイツの合作『ハウス・ヘイ』(英題)が上映された。会場に現れた主演のシャーロット・ランプリングは、上品な物腰と威厳ある雰囲気でフランスの大女優としての風格を漂わせていた。
また、10日に上映される長編アニメ『シャーク・テイル』(英題)で、声優に挑戦したアンジェリーナ・ジョリーが、養子のマドックス君を連れてヴェネチア入りし、ボートに乗り込んだ2人がカメラに向かって手を振るなどのリラックスした表情を見せた。
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(Photo Credit: Carlo Allegri)
9月1日 ヴェネチア国際映画祭ハリウッドスターも続々登場
9月1日イタリアにて晴天に恵まれる中、第61回ヴェネチア国際映画祭が開幕された。栄えあるオープニングを飾った映画は、招待作品の『ターミナル』だ。水の都ヴェネチアだけあって、監督のスティーヴン・スピルバーグとトム・ハンクスはボートに乗って登場。ハリウッド最強コンビの2人は、美しいヴェネチアの町と大勢のマスコミ陣を前に終始ご機嫌といった様子。スピルバーグ監督は自らのカメラをカメラマンに向けて激写するなど、お茶目ぶりを発揮していた。さらに記者会見中もトム・ハンクスに耳打ちして微笑み合うなどして、和やかなムードを漂わせていた。
夜19:30からのレッド・カーペットでの2人は、ドレスアップした夫人とともにタキシード姿で登場し、ファンの声援に応えていた。そのほかには審査員のスパイク・リーが家族とともに現れたり、同じく審査員のスカーレット・ヨハンソンがグリーンのドレス姿で登場したりと、華やかな幕開けとなった。
映画祭開催中には、ロバート・デ・二ーロ、アンジェリーナ・ジョリー、アル・パチーノなど、多くのハリウッドスターたちが訪れることが予想されている。
若干19歳で審査委員を務めるスカーレット・ヨハンソン。(Photo
Credit: Carlo Allegri)
一家が勢ぞろいしたスパイク・リー監督。「シー・ヘイト・ミー(原題)がコンペティション外で上映される。(Photo
Credit: Carlo Allegri)
愛妻家で有名なスピルバーグ監督とトム・ハンクスはヴェネチアの夜を満喫。(Photo
Credit: Carlo Allegri)
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