伊東美咲独占インタビュー
取材・文:小林よこ ■まるでお姫さまのような容姿 ありがとうございます(笑)。 Q:まずは、函館でのロケいかがでした? 冬と夏の2回に分けて、撮影自体は半年以上かかりました。冬は雪で覆われて、夏は昆布漁がとても盛んな町なので、季節によっていろんな風景を楽しめましたよ。食べ物なんかも美味しくて(笑)。 Q:ところで、『海猫』は男と女の深い思いを様々な形で表した少し切ない物語ですが、この作品のお話を頂いたとき、どのようなお気持ちでしたか? 台本を読んだとき、母親の世代と薫とその子供たちが、不器用ながらも一生懸命生きているという姿にすごく惹かれました。……そういう面がとても美しいと純粋に思いましたね。 Q:今回の薫役は、伊東さんの天真爛漫なイメージとは正反対の役柄ですが、役作りに対して感情移入は難しかったのではないでしょうか? そうですね。確かに薫は私とは対極な性格だったので、すべてが初めてのことばかりでした。彼女の心情を作るのも森田監督と細かく話し合って、毎日研究しそのことだけに集中していましたね。普段から薫になりきって生活する日々が続きました。 Q:ネガティブになったりしませんでしたか? 撮影中は、薫になりきっているので追い込まれる感じはありましたけど、撮影が終わると皆で美味しいものを食べに行ったり、気分転換はちゃんとできていましたよ。 Q:なるほど、メリハリをきちんとつけていたのですね。佐藤浩一さんや仲村トオルさんの印象はいかがでしたでしょうか? とにかく感謝しています。それぞれが私のことをきちんと引っ張っていって下さったので、私も演技しやすかったです。お二方がいたからこそ最後までやり切ることができて、そして素晴らしい作品に仕上がったのだと思っています。 ■ねれ場もスムーズに Q:そして、今回『海猫』ではぬれ場シーンも数々登場してきます。伊東さんご自身、どのようなお気持ちで臨んだのでしょうか? とてもスムーズに進みました。佐藤さんや仲村さんとも話し合って、「一発OKで演技した方がいいから」と、お互いが割り切って表現できていたと思います。どうしてもそこだけに集中しがちですが全体をとおして懸命に生きている女性を描きたかったんですね……。 Q:そうですよね。ところで、こういうシーンを経験することによって伊東さんの心の中に女優としての心境の変化があったのでは? はい、ありました。薫を演じることによって、自分自身が勇気を貰いましたね。薫も色んなことに挑戦して生きてきたし、新しいことにも踏み込んでいきましたよね。そういうのって“勇気”がないとできないと思うんです。ですので、観てくださる方々も薫から勇気を感じていただければ嬉しいですね。 Q:薫を演じたことで大きな一歩を踏み出したと思います。今後はどのような女優になりたいとお思いですか? とにかく色々なことに挑戦したいです。まだまだ出来ないことも多々ありますので経験を積んで、得ていきたいと思いますね。これからです、頑張ります! Q:では、この映画の中で女性が一生の間に経験する、恋愛、結婚、出産、不倫、お姑問題、そして、別れとありましたが特に「これは大変だ」と思うことはどれですか? (笑)。どれも大変だと思いますが……う~ん。やはり出産ではないでしょうか。経験があるとか、ないとかの話しではないんですが、産んでいるときの顔って大変なんですよ。実際、出産時のビデオを見たり、助産婦さんにお話を聞いたりしたんですが、やっぱり聞いただけでは分からないので演じることに難しさは感じました。 Q:確かに出産シーンは手に汗握りました。 では、最後に『海猫』をご覧になるファンの方にメッセージをお願いいたします。 薫を演じたことによって、生きる勇気を貰いました。ぜひ、この作品をご覧になって同じように共感して頂けると幸いです。また人生を踏み出す第一歩にして頂ければと思っています。『海猫』を観て下さい。 どんな質問にもテキパキと順応に対応してくださった伊東美咲さん。モデル時代の「美少女」というイメージから一転して大人の女の魅力を何倍にも増していた。その姿に見惚れ、インタビュー中の心拍数は最高潮に達したほど(笑)。とにかく“美しい”の一言だ。一体このスレンダーな体のどこに底知れぬパワーと才能が隠れているのかと不思議にさえなる。 |