ライター
先日、iPodを買いました。目下、莫大なCDをiTunesに読み込ませるのが日課。『ヴァージン・スーサイズ』『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』『シカゴ』……さまざまなサントラが吸い込まれていきます。作業はまだまだ終わらない……。ただいまは『ムーンライト・マイル』が読み込まれ中です。
ライター
最近引っ越しをして、利用する交通機関がガラりと変わった。今まで使ったことのない駅で乗り換えたり、入ったことのない駅ビルや商店街をプラプラ。美味そうな魚屋、肉屋、豆腐屋、品揃え充実の酒屋に、なんか惹かれる赤ちょうちんなどなど、毎日が発見! 「ぶらり途中下車の旅」気分を満喫してます。
ライター
イタリア人を赤阪のレストラン「NINJA」へ。店員全員が忍者スタイルでお出迎え。食事中に“忍法”という名のマジックも披露してくれわ、メニューは巻物だわ、デザート・メニューが書かれた小さな紙を燃やしちゃうわで、異国人のハートをワシづかみ。その他、イタリア人は秋葉原にドンキホーテに渋谷にと、おたくプレイスを堪能。しっかし、日本ってどんな風に映っているんだろう!?
全米公開が5度も延期されたグレゴール・ジョーダン監督の話題作。主演はホアキン・フェニックス。2001年カナダ・トロント映画祭の上映で人気を呼び、ミラマックス社がただちに全米配給権を獲得したものの、その翌日の9月11日に米同時多発テロが発生。公開が無期延期になったいわくつきの作品。
日本公開: 2004年12月11日
(シネカノン有楽町)
上映時間: 1時間38分
配給: シネカノン
もっとファンキーなノリを期待していたら、かなりブラックだった。フィクションなのだが、このなかのちょっとでもが真実だとしたら……恐るべし。『グラディエイター』の後がこの仕事とは、ホアキンが本当にやりたいのはこちらなのだろうか。エド・ハリスが人の好い大佐役で、こんな役もできるのかと思う一方、「でもあんたはどう見ても、スコット・グレンがやった鬼曹長ですから。残念!」なんて思ったら、最初、オファーがあったのはそっちの役らしい。『マイ・ボディガード』のクリストファー・ウォーケンといい、皆、いい人役にシフトしたいのか。もったいない。残念といえば、久しぶりにみたエリザベス・マクガヴァン。しわしわで、アンナ・パキンのはつらつさと対極。時って、残酷!
9.11が起こらずに、公開されるべきときに公開されていれば、軍隊コメディとして、それなりに笑えたのかも……。でも、実際に戦争が行われている時に、平和で退屈しているという軍人たちの悪行三昧やら、ズレてる社会通念とかを見させられても笑えないし、ブラックジョークにもならない。まあ、パパ・ブッシュの時代の話がこうだったと描かれてるなら、現在の息子ブッシュの時代のアメリカ軍の実態は推して知るべし。こんな国に諸手を揚げてついてっていいのか、日本は……と思ってしまう。ところで、登場する役者は演技派ぞろい。しかし、主演のホアキン・フェニックスはじめ、アンナ・パキンはお堅くてイマひとつ。それに反して、無能な大佐を演じたエド・ハリスと戦争好きな鬼軍曹スコット・グレンらオヤジ俳優が魅せます。
根が反骨精神旺盛なので、マックの陰のパワーで(?)テレビの情報番組でなかなか紹介してもらえない「スーパーサイズ・ミー」とか、リアルな戦争が激化する中、米国で度重なる公開延期の憂き目に遭っていた本作品とか、無条件で応援したくなってしまう。どこかで戦が起こるたびに、「ワシらがドカンと爆弾打ち込んでおさめちゃる」と現地に出掛けていく米国だけど、本作品のようなことをしていたらそりゃ世界各国で嫌われますわ。そんな国に追随している日本はもっとヤバいじゃん! って、筆者のような低レベルの庶民でも、日本の外交問題について真剣に考えさせられた作品。『華氏911』は見ないと言ったけど、せめて本作品は見ようよ。小泉さん。
熱狂的なファンを持つA.J.クィネルのベストセラー小説『燃える男』を映画化した感動アクション大作。誘拐発生率世界第3位のメイキシコシティを舞台に、過去に傷を持つボディガードの男が巨大な犯罪組織に立ち向かう様を描く。主人公のボディガードに扮するのは『トレーニング・デイ』のデンゼル・ワシントン。彼が護衛する実業家の娘を『コール』のダコタ・ファニングが演じている。監督は『スパイ・ゲーム』のトニー・スコット。過激だが衝撃的なストーリ展開には要注目。
日本公開: 2004年12月18日
(全国松竹東急系)
上映時間: 2時間26分
配給: 松竹、日本ヘラルド映画
/カラー/スコープサイズ/ドルビーSR、DTS
何だ、このタイトル。めちゃめちゃハードなアクションなのに、みじんも感じられない。下手したら、ファンタジックな展開すら期待されそうで、とても哀しい。元兵隊(テロ暗殺専門)でボディガード役のデンゼルが、雇い主の少女を誘拐されてからの話が凄まじい。かわいいダコタちゃん活躍場面は本作ではほんの味付け。話の中心はたった一人で犯罪集団に向かっていく、孤高な男デンゼルの復讐劇なのである。その場面がとにかく衝撃的。さすがトニー・スコット。思わず目を覆いたくなるような殺りくが続く。このタイトルで、少女と不器用な中年男性の心温まる交流(な箇所もあることはあるが)とか勘違いして、観に来てる人がいたら、泣いちゃうだろう。映画と観客のために、このタイトル、どうにかして。
デンゼル・ワシントンとまだ年端も行かないダコタ・ファニングでベタな恋愛映画みたいな邦題をつけるセンス。すごいなー、ひどいなー、よくやるなー。というワケで、あんまり期待しなかったが、意外にもよかった(なんて言っていいんだか……)。監督は『クリムゾン・タイド』『スパイ・ゲーム』など、詰めは甘いが、男気あふれる映画を撮るトニー・スコットで、人生はままならないなんてお話を書かせたら右に出るものはいないブライアン・ヘルゲランドの脚色なので、2時間半にも及ぶ長さでも退屈はしない。おまけに主演の二人はそつなくこなす演技派だし……ああ、恐るべしダコタ。もっとも個人的にはクリストファー・ウォーケンにミッキー・ローク、ジャンカルロ・ジャンニーニなんてクセあり俳優の贅沢な使いっぷりが好きだー。
なんざんしょ!? この分かりやすいタイトル(原題は“Man on Fire”)と『レオン』を意識した宣伝展開は。デンゼルとダコタの恋愛なんかありえねぇ~。っつうか、あったら思いっきりロリータ映画だし。そんなイメージ戦略にあまり食指が動かなかったのだが、見たらデンゼルらしい社会派の骨太な作品で、結構面白いんだな。特に南米で多発している誘拐事件の手口が、徐々に明らかになっていく過程が。ダコタとデンゼルの絆も重要だけど、映画そのものもデンゼルが犯人を執拗に追いつめていくシーンが中心で、ダコタちゃんの出番は少ないし。確かに最近、デンゼルの映画は当たってないので売り方に苦労しているのは分かるが……。作品じゃなく宣伝にダメ出し。
スティーヴン・スピルバーグ監督が“空港から出られなくなった男”にスポットをあてて描いた感動のヒューマン・ドラマ。主演にトム・ハンクスとキャサリン・ゼタ=ジョーンズという大スターの演技が、空港という限られた空間での人間関係に深みを加える。実際に建設された空港内のセットには実際にテナントも入り、本物そっくりの精巧な出来。
日本公開: 2004年12月18日
(日劇1 他)
上映時間: 2時間8分
配給: UIP
絶対にいそうにない人をリアルに演じてしまうトム・ハンクス。子どもなのに大人とか、ハンデ背負いながらヒーローとか、バレーボールと友だちとか……。だから、今回のどこでもない国の人の演技もビンゴ! 架空の国クラコウジアからやってきた彼をいじめるのはお役人のアメリカ人で、彼と仲よくしてくれるのは現場で肉体労働をしている移民系の人々のみ。ちょいと逆差別的な匂いも感じつつ、途中までは笑いあり、恋ありのヒューマン・ドラマとして、とても楽しい。問題は終盤。『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のときも、苦言を呈したのだが、なぜ安易な感動的展開に持っていきたいのか、スピルバーグ。しかも、NYにあそこまでして行きたがった理由がものすご~く大したことなかった。がっくし。
いつもなら、デキ過ぎな話とケチつけてしまうところだけど、実はこの作品を見たとき、悪趣味で後味も最悪な作品を見たばかりでムカムカしていたのが幸いしたらしい。グローバルな人情話のてんこ盛りにホッと救われた気分になった。もっとも英語を解せないトム・ハンクスに、違和感もあったが、それも最初だけ。本作でも芸達者ぶりをしっかり披露。『ビッグ』や『フォレスト・ガンプ』などでみせた、成りは大人なのに心は純真な男というお得意キャラクターで、あり得ない話も納得させる。キャサリン・ゼタ=ジョーンズとの空港内デートもロマンチックです。しっかしなー、ヒューゴ・ボスのスーツは着こなしていたが、年食って体がブルンブルンだよ、ハンクス。とくにアゴの線がブヨヨン。本当に新作『ダヴィンチ・コード』で主演する気?
違和感アリ過ぎと思うのは、私だけか。
筆者は空港大好き人間。乗り換え時間が長いと知るや、シャルル・ド・ゴール空港では生牡蠣と白ワインを食らい、フランクフルトの空港ではドイツビールを堪能。パキスタンの空港内にあるモスクでは、お祈りにも参加してみた。成田空港では美容院で髪を切ったこともある。そんな空港バカの筆者にとって、トム・ハンクスが何のためにNYへ来たかとかはどーでもよくって、空港内で生きるための処世術と、セットに釘付け。すごいよなぁ、あのセット。でも、過去にも空港を舞台にした仏映画は何本もあったけど、わざわざセットを作らなくてもそのまま空港を使用して撮影していたけどね。無駄金使ったね! とまでは言わないけど、なんか、ご苦労さん(笑)。
監督自らが実験台となり、1日3食1か月ファーストフードだけ食べ続ける食生活ドキュメント。プロデューサー、監督、被験者の3役をこなしたモーガン・スパーロックは、コマーシャルやテレビ制作で活躍し、これが初監督作品となる。ファースートフードに関する綿密なリサーチも盛り込まれているので要チェックだ。
日本公開: 2004年12月25日
(シネマライズ 他)
上映時間: 1時間38分
私はマックのヘビー・ユーザーにあたる。初めて、パリに行ったときも、即マックに入り、「なんとかコルドンブルー」とかいうすごそうな、ご当地メニューを見つけ、狂喜乱舞したような女である。というわけで、いくら警鐘を鳴らされても、私にとって、この映画はマックのプロモーション・ビデオだった。見た後、「ああ、マック食いてぇ」と思っちまいました。すみません。だって、ベジタリアンの彼女の作る解毒メニューがかなりまずそうで、ダメなはずのマックの方がずっとおいしそうなんだもの。他人のことは全く言えない私だが、小さな子どもに食べさせるのは問題だということだけはわかりました。さすがに私も子どもの頃は食べてなかった(っていうかあまりマックがなかっただけだが……)。
まさに体を張っての人体実験ドキュメンタリー映画。監督が30日間毎日3食をファーストフードのみ食べ続け、メリメリと太っていく姿はヘタなホラー映画以上の恐怖。コ、コワイっ!
しかも、どんどん顔色は冴えなくなり、顔つきもぼんやりしているのを見ると、いくらお手軽で便利であろうとも、ファーストフードを過剰摂取すれば害があるのは間違いないっ!
と改めて確信した。観る前、アイディアありきで先にやったもん勝ちの企画だなと思っていただけに、アメリカの学校給食の実態に触れるなど、意外にもマジメかつ硬派な内容に驚いた。ただ、私としては30日間でデブりまくった体をどうやって、元の体型に戻していったのか。その過程が本当は一番見たい、知りたい……。
1か月間のマック生活というどーでも良いことを真剣に行い、かつ、米国の学校給食にまで言及していて(お菓子でランチかよ……)、食生活の大切さを知るべく、ホント、素直に「とにかく皆、見て!」とオススメしたくなる作品。何が素晴らしいって、各州の肥満者がいる人数などの統計や、監督自身の体形の変化などをビジュアルで非常に分かりやすく説明しているところ。それはマイケル・ムーアのように一方的に意見を押しつけるのではなく、確実に、監督の行動を説得力ある材料となっている。一つ残念なのは、食べたマックのメニューを見せて欲しかった。世界各国メニューが違うはず。インドのベジタリアン・マックに挑戦していたら多少、状況は変わった?
ジェームズ・バリが、「ピーター・パン」のモデルとなった少年と出会い、その物語を完成させるまでを描いた、実話に基づく感動の人間ドラマ。主演のジェームズ・バリにふんしたのは、『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』でアカデミー賞にもノミネートされたジョニー・デップ。脇を固めるのは、ケイト・ウィンスレット、ダスティン・ホフマンと演技派の1流スター。監督はハル・ベリーをオスカー女優にした『チョコレイート』の監督、マーク・フォスターが務める。誰もが知っている「ピーター・パン」のメイキングとして観ても興味深い。
日本公開: 2005年1月15日
(日比谷映画 他)
上映時間: 1時間40分
配給: 東芝エンタテインメント
カラー/スコープサイズ/SDDS、SRD
ハマり役をあえて外す俳優が目立つ今日この頃、誰もが清々しいまでにハマり役を演じている、この作品。全員がリアル等身大で、芸術的ですらある。ジョニデはいつも通り、孤独な芸術家で最高。そしてケイト・ウィンスレット。彼女はクラシカルな容貌だから、時代物が合うのは当然だが、加えて、本人の変わり者気質が投影されるのか、こういう反骨精神バリバリの役が本当に素晴らしいのだ。上流階級に育ちながらリベラルな感覚を持った、しかも根が真面目な人を演じさせたら、彼女ほどの適役はいない。さらに、犬も完璧なら、犬を演じた人もぴったり。難を言うなら、子どもたちが演技力で選ばれたのか、兄弟役なのに全員ちっとも似ていないのが気になった。髪形じゃ、ごまかせない。
久々にキレイな身なりのジョニー・デップ。そんな中でも、インディアン風なメイクをやってみたりしてる。やっぱちょっとヘンのほうが居心地いいのか……。実話にインスパイアされた物語と断っていたように思うが、4人の子供のいる未亡人と知り合って、仲良くしてりゃあ色恋があって当然なのに、そのヘンがやけに美しく、そしてファンタジック。永遠の子供を描いた『ピーター・パン』誕生の秘話だけに、生々しい描写は不適切とはいえ、あまりにもイイ話すぎる。マーク・フォースター監督の前作『チョコレート』でハル・ベリーが演じた未亡人の渇望感とは段違いだ。ま、それはさておき、映像が魅力的。英国の上流階級の人々のファッション(特に少年たちのお洋服)がお上品でステキ。
いいですねぇ。久々にノーマルで、やりすぎてないジョニデ様。子供たちに表情豊かに物語を聴かせたり、一緒になって遊んだりする姿は、彼女の気を惹くためにチャップリンの物真似などをしていた、ジョニデ様の名作『妹の恋人』をほうふつ。そもそも、子供が大人に成長する瞬間をテーマにした本作品は、いつまで経っても悪ガキ気質が抜けないジョニデ様にピッタリ。加えて最近って、韓国映画のように「これでもかっ!」と泣かせに走る過剰な演出と展開がくどい作品が多いけど、本作品は控え気味。むしろ涙を見せず、愛する人の死という辛い現実に耐えるジョニデ様や子役のフレディ・ハイモア君のけなげな姿にホロリ。久々に、素直に、涙を流しちゃいました。
イラスト:micao
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