2005年9月
全米話題作
米ボックスオフィスのチャートを賑わす全米話題の映画を厳選して紹介します。 |
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フライト・プラン | ||||
監督:ロベルト・シュベンケ キャスト:ジョディ・フォスター、ピーター・リースガード、ショーン・ビーン 夫を事故で亡くしたばかりの航空機設計士のカイル(ジョディ・フォスター)は、6歳の娘ジュリア(マーリーン・ローストン)とともにベルリン発ニューヨーク行き、最新型エアジェットに乗っていた。だが、高度1万メートルの上空で、ジュリアは忽然と姿を消した…。しかし、乗客も乗務員も誰一人として、ジュリアが機内に存在していたことすら認めない。必死に機内を探すカイルに、乗務員が恐るべき"真実"を告げた……。 |
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全米初登場1位を飾り、連続2週でトップをキープした『フライト・プラン』。ジョディ・フォスターがほれ込んだという緻密に練られたストーリーは、ロベルト・シュベンケ監督のオリジナル脚本。ドイツ出身の彼は、スピーディーでスリリングな演出で、見事なハリウッドデビューを飾った。全米のマスコミの評価も、「映画そのものの内容が『フォーガットン』に似ている」など、多少辛口な意見はあるものの、ジョディ・フォスターの緊張感あふれる熱演には文句のつけどころがないと絶賛の嵐。全米客室乗務員組合との対立など、話題が話題を呼び、今後も上位にランクインするのは、まちがいなさそうだ。 高度1万メートル、とつぜん最愛の我が子がいなくなる。子供を持つ親にとってはまさに悪夢のような話だが、この『フライト・プラン』の公開そのものが“悪夢”というひとたちがいるようだ。それは、アメリカ客室乗務員組合の方々。「不親切で、役立たず」に描かれた客室乗務員の姿を見て、大激怒。なんと9万人の客室乗務員が本作の鑑賞をボイコットするという事態にまで発展した。そもそも、9・11以降、乗客の安全を一番に考えている彼らにとって、「大事なお客様が機内で行方不明になるなんてありえない!」ってことのようだ。これに対して、アメリカの観客はいたってクールな反応を見せている。「映画だってことはわかっているし、実際こういう態度の客室乗務員がいるのも事実だ」と鋭い指摘。不祥事続きのどこかの航空会社にボイコットはできませんけどね。 |
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アメリカン・ビジネス | ||||
英題: Lord of War |
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戦争の裏側で活躍する「武器商人」をあつかった『アメリカン・ビジネス』は、現代のアメリカや、諸外国。戦争の問題点などを鋭く指摘したセンセーショナルな内容で、この過激な内容がアメリカ人に果たして受け入れられるかが、ネックとなっていたが、やはり残念な結果に。公開週は3位と、なんとかまずまずのスタートを切ったものの、翌週は6位に、さらに次の週はランク外になってしまった。我慢が嫌いなアメリカ人にとって、堅いテーマの上に、2時間を越す長い上映時間は、苦痛だったようだ。しかし、、武器の密売に手を染め、いつしか後戻りが出来なくなってしまう主人公の苦悩は、観ていても痛いほど伝わってくる。要は、このようなテーマを持った映画をどのように観るかという観客の考え方によるのかもしれない。 なんといっても、現代のアメリカの抱える問題点を真っ向からとらえている点に注目したい。武器の密売者の手によって、いつ、どこで、どんな人物に、どんな武器が手渡されるか分からない時代。そんな時代になってしまったことをまざまざと見せつけられる。先日のハリケーンでは、政府からの救済が大幅に遅れ、多くの犠牲者を出して、「愛する国民を守る」ことができなかったブッシュ政権が、片方では「愛するアメリカを守るために」戦争を続ける大きな矛盾点。他人事だと考えずに、この映画をきっかけにして戦争に関するさまざまな問題についてもう一度考えていきたい。 |
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ティム・バートンのコープス・ブライド | ||||
英題:Tim Burton's Corpse Bride 監督:ティム・バートン キャスト: ジョニー・デップ、エミリー・ワトソン、ヘレナ・ボナム・カーター ビクター(声・ジョニー・デップ)は気は弱いけれど、とても心の優しい青年。親の政略結婚で、見ず知らずの娘ビクトリア(声・エミリー・ワトソン)との結婚式を明日に控えた夜のこと。誓いの言葉がどうしても言えないビクターは森の中を散歩していた。練習を重ねながらようやく完璧に誓いの言葉を言った時、彼の運命は大きく狂いだして……。 |
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全米23位で初登場した『ティム・バートンのコープズブライド』は、第2週目で拡大上映され、3位まで一気に昇りつめた。ストップ・モーション・アニメーションというかなりマニアックなジャンルにもかかわらず、奇跡的な結果となったのはやはり、この映画の持つ楽しくて怖い魅力が大きな勝因だろう。ジョニー・デップやヘレナ・ボナム・カーターという美形の俳優が(声を)演じているにもかかわらず、ビクターはやつれきってて、逆に幽霊のようだし、花嫁は目玉が飛び出したりけっこうエグイ。本作のような、不気味でちょっとおかしいストーリーは、10月31日のハロウィンにむけてアメリカ人のテンションを上げてくれるのかもしれない!? ティム・バートン、音楽のダニー・エルフマン、そしてジョニー・デップとヘレナ・ボナム・カーターと、『チャーリーとチョコレート工場』を作ったスタッフ、俳優が再集結していることに要注目! 『チャーリーとチョコレート工場』の楽しさ、ワクワク、気味悪さ、など数々の魅力をのこしたまま、まったく違う作品を作り上げてしまう彼らの素晴らしい才能に感服するばかり。体が真っ二つに割れていたり、首だけでジョークを飛ばしていたり、地上にいる私たちよりずっと楽しそうな死後の世界。ホラーなはずのに、ついくすっと笑ってしまうような、かわいらしくて気持ち悪い、自分好みの死体キャラたちをどんどん見つけたい。 | ||||
ブラザーズ・グリム | ||||
監督:テリー・ギリアム 出演:マット・デイモン、ヒース・レジャー、モニカ・ベルッチ グリム兄弟として、現在では有名なヴィルヘルム(マット・デイモン)とジェイコブ(ヒース・レジャー)は、魔物を退治するふりをしながら、賞金を荒稼ぎしていく旅を続けていた。しかし、ある時2人の芝居が人々にばれてしまい、彼らはフランスの将軍に逮捕されてしまう。彼らは、将軍から森で10人の少女が姿を消した事件について調べるよう命令され、グリム兄弟の冒険が始まる。 |
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初登場2位だったにもかかわらず、だんだんとランクが下降気味になってしまったのが、残念。7年ぶりに奇才テリー・ギリアムがメガホンを取り、さらに題材はグリム童話ということで、期待度はマックスまで上がっていたはずだが、実際に映画を見た観客の反応はイマイチ。大人向けのファンタジー映画としてではなく、子供向けすぎるという意見もあり。これまで、『12モンキーズ』など、大人のための残酷なファンタジーを取ってきたテリー・ギリアムだが、大人も子供も幅広く楽しめるファンタジー映画を作るのは、なかなか難しいのかもしれない。 この映画の楽しいところは、なんといっても呪われた森で繰り広げられるグリム兄弟の大冒険。子供達が大好きな赤ずきんちゃんや、ヘンゼルとグレーテルなど、グリム童話ファンなら、あっと驚くうれしいゲストも登場する。また、マット・デイモンとヒース・レジャーという、ハリウッドではピカイチのハンサムを兄弟にしたのも女性には嬉しいところ。2人は、常に冷静で現実的な兄に、すこし夢見がちな弟という、対照的なグリム兄弟をそれぞれの持つ個性的な魅力で演じている。 | ||||
イントゥ・ザ・ブルー | ||||
監督:ジョン・ストックウェル 出演:ジェシカ・アルバ、ポール・ウォーカー、スコット・カーン ダイビングのインストラクターをしているジャレッド(ポール・ウォーカー)は、彼女のサム(ジェシカ・アルバ)と、もう一組の友達カップル2人とダイビング中、偶然沈没船のかけらを発見する。そのかけらの正体は、なんと「伝説の財宝を積んだ豪華客船」。さっそく、船を引き上げようとする4人だったが、彼らに恐ろしい魔の手が伸びていた……。 |
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初登場で5位からという、ちょっと低めのスタートを切った『イントゥ・ザ・ブルー』。ジェシカ・アルバにポール・ウォーカーという美男美女カップルが、美しいカリブの海にあうさわやかな演技を見せているものの、観客の反応はイマイチの様子。単に、ジェシカのビキニ姿を目的に観た人は「想像以上に面白かった」と高い評価をしているが、映画好きからは酷評が相次いでいる。それでも、ジェシカが、ビキニ姿で戦うシーンには男性ファンは釘付けのようで、水着効果で今後のBOX OFFICEにどんな変化が出るか注目したい ジェシカ・アルバと、アシュレイ・スコットが見せるゴージャスなビキニスタイルは、来年の参考にしたいかわいい水着のコーディネートがいっぱい。鮮やかな水色のビキニのほか、ヒモパン、真っ白なビキニ、これはまちがいなく着れないような赤い紐製水着。 とくに、ジェシカのビキニ姿のおなかに光ったへそピアスは、最高にセクシー。ただ、彼女のへそピアスがかっこいいのは、その美しくシェイプされて鍛え上げられた腹筋だから。女性が美しくなるためには、まずはフィットネスワークってことがよく分かるかも?! | ||||
『デュークス・オブ・ハザード』 ショーン・ウィリアムズ・スコット
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英題:The Dukes of Hazzard |
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往年の人気TVシリーズ「爆発!デューク」を、『ジャッカス』シリーズの人気者ジョニー(写真左)を主役に迎えて映画化。全米初登場で1位を見事に飾った。そして、ジョニーとともに、夏のアメリカを大爆笑に包んだのはいうまでもないこの男、ショーン・ウィリアムズ・スコット(写真右)。今月は、なぜか憎めない下品な男ショーンをピックアップします。『アメリカン・パイ』の下ネタ全開なスティフラー役で、電撃的なデビューを果たし全米の男子諸君から絶大な支持を得たショーン。スティフラーというは、アメリカではホントに人気で、「スティフラー語録」なるものさえも生まれちゃったほど。あきれるほどに、自己中、スケベ、自信超過剰なスティフラーが発する言葉はほとんどが、ショーンのアドリブ。彼の変幻自在なアドリブの連発で撮影現場は常に笑いに包まれている。続々と、出演作が決まっているショーンのこれからに期待したい。 |
(文・構成:FLiXムービーサイト)