【最終回】
長らくみなさんに、楽しんでいただいた『私的映画宣言』は今回をもって終了となります。
来年また、新しい形でお目にかかることになりますのでお楽しみに!
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ライター
『THE有頂天ホテル』と『ディック&ジェーン 復讐は最高』を見て、唐沢寿明とジム・キャリーって近いように感じました。演技派だけどコメディー志向というだけじゃなくて……頭の小ささとマンガ的な動きができるということかな。個人的には、どちらも実写版ルパン三世をやらせたい俳優No.1。
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ライター
長い間、好き勝手書かせていただき、大変失礼いたしました。昨今思うのは、こんな仕事のせいもあり、年々素直に感動しなくなったことですが、読者コメントを取ったり、映画の周辺取材をするようになり、映画の見方を改めて考えさせられることも度々。家の近所にシネコンも出来たから、劇場でもっとフツーに観ようっと。では!
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ライター
いやぁ~、ここに書き入れないほどこの数か月の間にいろいろあって、自分で自分の人生に付いていけなくなっています。唯一、自分の意思で行動したのは、着物を買っちゃったことでしょうか。これもそれも、半分くらいヤケを起こしての行動だったんですけど。これが意外な程ハマちゃってます。目指せ!樋口可南子デス。
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『THE JUON/呪怨』で日本人初の全米興行ランキング第1位を獲得した、清水崇監督の最新作ホラー。輪廻転生をテーマにしたミステリアスな物語をノンストップの恐怖で一気に見せる。ふだんは明るい優香が、徐々に追い詰められて行く女優を迫真の演技で見せる。共演は『深呼吸の必要』の香里奈。監督役の椎名桔平のなりきりぶりもさまになっている。米国をはじめ海外での公開も決まり、リメイクの話も殺到中だという話題作。
英題: REINCARNATION
製作年: 2005年
日本公開: 2006年1月7日
上映時間: 1時間36分
配給: 東宝
ビスタサイズ/ドルビーデジタル/PG-12
(C)2005「輪廻」製作委員会 |
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『呪怨』『呪怨2』とエスカレートしていった割に、『THE JUON』や本作の怖さは手ぬるくて残念。すごいと思ったのは監督の女優を育てる手腕。『呪怨』出身の伊藤美咲然り。今回は優香と香里奈。あんなにできる子だとは思わなかった。ホラー映画で女優開眼する人多いけど、彼女らに関しては目覚ましいものがある。優香なんて、本当にどんどんげっそりしていったから。あと、「殺される役なら、自信があります!」と明るく宣言していた松本まりかも良い。『ノロイ』でもいい味出してたが、不思議少女っぷりが完璧。気になったのはいちいちバッグや靴に入っていたadidasロゴが大写しになったこと。スポンサーかも知れないが、話に関係ないのに、激しい効果音とともに靴がアップになってたよ。
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主演を張った優香が苦痛と恐怖にゆがむ顔で女優らしく頑張ってるのはとりあえず、買う。でも、プレスを見て私はぶっ飛びました。この映画の話、「群馬・ホテル大量殺人事件」って、フィクションですよねー。なのに、プレスの中で、日本国内の大量殺人事件として、過去に実際に起きた事件、サリン事件などと一緒に並べている。日本国内だけでなく、世界を震撼させた現実の事件と、映画の中のフィクションを一緒に語る神経ってヤバくないですか、東宝さん。Jホラーがいくらドル箱的存在で、いまやホラーに季節感なしとはいえ、正月から大量殺人事件ものを題材にする感覚もどーなんだろ。ここんとこ頻発する物騒な事件と、ホラー映画を短絡的に結びつけるつもりはないけど、映画の内容以前に作り手側はもうちょい自覚があってもいいんじゃないの?
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いやぁ、女優・優香を見くびってました。ここまで自分を壊すことの出来る女優だとは知らなかった。本作品で優香は前世のせいで呪われ、最後は完全に頭がイっちゃっているような感じになるんだけど、その表情の見事なこと。思わず本人に「この映画を見る限り、実生活でも浮気現場とか目撃したら刺しちゃうような、エキセントリックな感じに見えるけど」と尋ねたら「逆にそういう事を出来ないタイプ」と笑ってた。あくまでこれは演技なのね。だったらスゴイや。もちろん、恐怖描写は裏切りません。「呪怨」シリーズから離れてみてよく分かったけど、やっぱり清水監督は恐怖の煽り方がお上手。
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スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮、チャン・ツィイー主演による究極の“ゲイシャ・ムービー”。共演には渡辺謙、役所広司ら日本の俳優たちのほか、ミシェール・ヨー、コン・リーらアジアの名優たちが顔をそろえる。『シカゴ』のロブ・マーシャル監督が、1人の芸者の人生を描くとともに、豪華けんらんな美の世界を表現する。ハリウッドが描いた斬新な“日本の伝統美”の数々は一見の価値あり。
英題: SAYURI
製作年: 2005年
日本公開: 2005年12月10日
配給: ブエナ ビスタ インターナショナル(ジャパン)
(C) 2005 Columbia Pictures Industries,lnc.
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期待したほど、とんでもない出来じゃなくて、寂しい。賽銭箱の鈴を鳴らせば、ゴ~ンって鐘が鳴るし、風鈴を呼び鈴にしてるし、ツィイーの踊りは大衆演劇だし……とイメージ至上主義的場面は所々に見られたが。まあ、そのイメージで作られたおかげで、「ジャパン。キモノ。ビューティフル!」な映画になったので、これはこれで美しい誤解ってことでありにしとけ。外人受け良さそうだし。本当は日本人キャストで願いたかったけどね。きちんと着物を着こなしていたのは桃井さんだけだもの。それにしても、ツィイーVSリーのバトル、ツィイーを怨む工藤夕貴、役所に異常に気を遣う謙さんなどなど、妙にドキドキさせるリアルな関係性を狙わずしてキャスティングしてしまった監督。すごい天才だと思う
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冒頭、貧しい漁村では日本語をしゃべってたのに、花街に入ったとたん、みんな英語になるのは何でだー? と即ツッコミを入れたくなるが、所詮、ロブ・マーシャルの思い描くニッポンの美。イラつくだけ無駄ってもん。ここは一つ、犬猿の仲と言われるチャン・ツィイーVSコン・リーという中華圏を代表する女優同士の戦いを楽しむに限る。ここまでやるかのイジメやイビリも、案外マジでやってるのかも。それにしても、一応日本が舞台なのに、日本人俳優たちはみんな刺身のツマみたいな扱い。まあ謙さんは映画の公開時に合わせて、再婚を発表するという自己PRもハリウッド人づいてきたようだけど……、ただ、ちょうど発表された時に私は偶然ロスにいたが、現地じゃニュースにもなってませんでした。ハリウッドの壁は厚くて高いのねー。
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宣伝文句は「日本が嫉妬するニッポン」。謙さんや役所さんたちには申し訳ないけど、全然、嫉妬しませんでした。というのもこちとら、五社英雄や深作欣二とかの映画で育って来た世代なんでね。これくらいの花街で育った女の一生物語は珍しさも新鮮さも何も感じられなくて、「ほぉー」「へぇ」と鼻くそほじりながら見る感じ。逆に、「ここ、五社だったら花街全部燃やすね」とか、「この喧嘩シーン、池上季実子なら着物の裾を両手で持って、下駄で縛り倒すね」と、物足りなさにツッコミを入れていたくらい。正直「餅は餅屋に任せとけ」ですかね。嫉妬するとしたら、この製作資金を日本の監督にくれ! そしたらもうちょっと面白い『SAYURI』を作ったのに。
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1945年、東シナ海沖に沈没した伝説の戦艦大和を辺見じゅんが生存者や遺族などに取材をして書いた「男たちの大和」を映画化したエンターテインメント超大作。監督・脚本は『人間の証明』『敦煌』などの日本映画界の巨匠・佐藤純彌。出演者も反町隆史、中村獅童、渡哲也、鈴木京香と豪華な顔ぶれ。主題歌は長渕剛が情感こめて歌い上げる。約6億円かけて原寸大で再現された全長190メートルもの巨大セットは想像を超えた迫力。
.製作年: 2005年
日本公開: 2005年12月17日
(全国東映系)
配給: 東映
(C) 2005 「男たちの大和 / YAMATO」製作委員会
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主役はいったい誰なんですか。反町演じた男のキャラクターが全くわからなかった。軍服や柔道着姿など、ビジュアルはとってもかっこよかったのにもったいない。何かあると飯を振る舞うっていう男気は実際の戦場においてはすごいことなんだろうけど、映画では地味過ぎる。むしろ少年兵、松山ケンイチのエピソード満載。もしかして、『シン・レッド・ライン』のようにごっそり撮影してはいるんだけど、編集段階で主役が変わったとか!? 白石加代子、高畑淳子、余貴美子の演技がどれも素晴らしくて泣けるのだが、どれも母・息子ものでかぶっているのもどうか。そこのエピソードを絞って、反町のキャラをもっと描いてくれれば、最後の彼の登場シーンもあんなに不思議にはならなかっただろうに。惜しい。
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マッチョな長渕剛が歌い上げるテーマソングに引いていたけど、観たら思いのほか、ハマった2時間半。ただ戦後60年記念作の割に、俳優陣がチープ。反町&獅童の組み合わせは兵隊というよりヤクザな二人に見えるし、とくに長島一茂が武士道に精通しているキャラを神妙な顔つきで演じてるのには無理を感じます。もっとも、顔の知れた役者たちが演じる部分より、観るべきは若手クンたちが熱演する少年兵たちのエピソード。話がキレイ過ぎ、出来過ぎだったりするが、若くしてお国のために死ななくてはならない彼らが、どんなに強がりを言っていても母の前では涙を流し、子どもに戻るシーンは泣けてくる。母を演じた白石加代子、高畑淳子、余貴美子、3人の女優がいい。
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プレスのプロフィール欄に、「北京原人」を撮った過去を抹消している佐藤純弥監督ですが(笑)、今回は揶揄されずに済みそうです。字幕で心情まで説明しちゃう東映調の古臭さを感じるものの、クライマックスの戦闘シーンは、『プライベート・ライアン』並の迫力と残酷さで、「実際もこんな感じだったんだろうなぁ」と思うと涙ナシには見られません。ホント、人もバンバン飛びまくり、キャストやスタッフに拍手を贈りたいくらい。エンディングに流れる長渕剛の歌も、映画にマッチしていて余韻に浸れる。唯一、ツッコむとしたら反町と獅童の芝居だけが妙に力が入っていて、周囲から浮きまくり。これ、本当は松山ケンイチ主演だから、"脇"の二人はどうでもいいんだけど。
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ベルギーの名匠ダルデンヌ兄弟による、現代の大人になりきれない子供たちの日常を鋭く切り取った青春物語。同監督の『イゴールの約束』で注目を集めた若手実力派ジェレミー・レニエと、これが映画初出演となるデボラ・フランソワの等身大の演技が光る。現代社会に蔓延する閉塞感を描いた本作は、2005年カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞。ダルデンヌ兄弟は1999年の『ロゼッタ』にひき続き2度目の受賞という快挙を成し遂げた。
英題: THE CHILD
製作年: 2005年
日本公開: 2005年12月10日
(恵比寿ガーデンシネマ)
上映時間: 1時間35分
配給: ビターズ・エンド
カラー/ドルビーSRD
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また、またいいところに目を付けてくれたな、ダルデンヌ兄弟。こういうどうしようもない状況でどうしようもない生活を送るどうしようもない人たちにも優しいというか、希望のある眼差しを向けているのが兄弟の素晴らしいところ。切ないのは、こういう映画をぜひ見て欲しい実際にこんな生活を送っているであろう若者は、この映画をきっと見ることはないという点だ。良かったのはガールフレンドの女の子。若いのに覇気がない感じ、妙にだらしない下半身が生々しい。ヨーロッパの子たちだから、おしゃれに見えたが、日本の場合、ムレット頭で(襟足だけ妙に長いレスラーみたいな髪形)、でっかい犬とかが付いているジャージ着て、つっかけみたいな男の子が主演になるんだろうか。それはそれで見たい。
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やんちゃな子どもが子どもを産んでどーすんだ、みたいなことは日本でも多々あるが、こんな地味な題材に目を向け、カンヌで受賞するあたりはダルデンヌ兄弟ならでは。いつもながら音楽なしで淡々と主人公をカメラが追う手法も、過剰な演出が多い作品に慣れた目には新鮮かつ、映画のテーマがストレートに伝わってくる。ただ子どもを産んだら、どんな女性も母性に目覚めるという描き方には個人的には違和感が。プレスを読むと、監督の考えがあってのことらしいが、現実にはバカっ母がそこら中にのさばってますんで……。あと、主演のジェレミー・レニエ君、『イゴールの約束』のときは純朴そうで、オゾンの『クリミナル・ラヴァーズ』では壊れそうな青年で、でも、だんだん『ロード・オブ・ザ・リング』のホビットみたいになってきた。この先、どう崩れていく……。
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『ロゼッタ』に引き続き、まさかのカンヌ映画祭パルム・ドールを受賞したダルデンヌ兄弟。受賞した時はいつも「マジかよ」と思うのだが、結構あとからじんわりくる。主人公に迫ったカメラアングルもあるが、もともと二人がドキュメンタリー出身とあって、緻密に調べ上げた設定や描写がきちんと織り込まれているから胸を打つのではと思う。実際、スマトラ沖地震で子供の誘拐が問題になったように、人身売買問題って表沙汰になっていないだけでものスゴイらしい(と、今、その手の映画の企画を考えている某監督も言っていた。日本も例外じゃないそうだ)。ケン・ローチしかり、社会問題を切り取って映画を作り続けている人って、尊敬しちゃいます。
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スーザン・サランドン、ペネロペ・クルス、ポール・ウォーカーら、ハリウッドの人気俳優らによる、クリスマスの奇跡を描いた感動作。俳優としても知られるチャズ・パルミンテリ監督が、最もクリスマスが似合う街ニューヨークを舞台に、人のぬくもりと愛の素晴らしさを問いかける。ペネロペ・クルスが下着姿で歌って踊るシーンは、セクシーな上にかわいらしい。
英題: NOEL
製作年: 2004年
日本公開: 2005年12月10日
(東劇 ほか)
上映時間: 1時間36分
配給: ギャガ・コミュニケーションズ
C)Red Rose Productions,LLC
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演技達者な人々がクリスマスにまつわるちょっといい話を演じた、普通にいい映画。手堅そうなキャストの中で異色だったのが肉体派イケメン、ポール・ウォーカー。意外に良く、色目を使う老人に脅える演技が笑えた。彼の相手役ペネロペちゃんとの相性もいい。キャリアウーマンという設定は彼女には合わないが、ダメ男に翻弄される女はハマる。ダメンズ、好きそうだもん。サランドンはうまくて当たり前とはいえ、やっぱり素晴らしい。特にクリスマスが嫌いな理由を独白する場面は、ちょっとあざといと思っていても、泣かせる。年の割にモテモテ過ぎるのが変だけど。そこが一番ファンタジーか。どうでもいいけど、予告見たとき、彼女の母役をずっとグレン・クローズの特殊メイクだと思ってた。
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悪党ヅラしたオヤジほど、素顔はいい奴だと信じて疑わない私ですが、チャズ・バルミンテリもきっとそうに違いない。じゃなきゃ、クリスマスを題材にこんなほのぼのとした、大人のファンタジーを描こうとはしないっしょ。役者仲間にもリスペクトされてるんだろーな、小作なのに芸達者な顔ぶれ。しかも、スーザン・サランドンは『エリザベスタウン』なんかよりはるかによく、アラン・アーキンなんて渋々な名優がキラリと光る演技を見せ、ハリウッドの大作に出ても弾け切れなかったペネロペ・クルスも無理のない役どころ。中でもポール・ウォーカーがいい。B級役者で終わるのかと思ったが、ペネロペとアーキン相手にものすごくいい演技をしてる。拾い物な作品。心穏やかに過ごしたい聖夜にはお勧めっす。
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奇しくも『大停電の夜に』と同じ、クリスマス・イブに繰り広げられるドラマであります。同じファンタジーで、しかもこっちの方がどちらかというと「ありえない」奇跡が起こるが、こっちの方が共感してしまった。というのも、この映画の主人公たちは、クリスマスに一人で過ごさなきゃいけない人が主役。家族で過ごすのが当たり前の米国で、この状況だけでもツライよ。「サンタのバカ!」なんて恨みたくなっちゃうよ。それもこれも、私が一人身だから勝手にスーザン・サランドンに共感しちゃっているだけだけど。出来れば枯れても親の看病疲れでやつれていても、男に迫られるような女でありたい。そんなスーザン姉さんの役を見習いたいものです。
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イラスト:micao |
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