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え? 天使だったのですか、チ・ジニ氏の演じていた役。冒頭、「人生は映画そのもの。人はみな、映画の主役。私はカットされたシーンを必要になった時、戻してあげるために来た」とは言ってたけれど、『世にも奇妙な物語』のタモリのような存在だと思ってました。ストーリーテラーね。そしたら、あれ、これって映画の撮影? じゃ、今のセリフは、映画の中の映画の、役者さんのセリフ? うん、そうであって、そうじゃなくて……。2つの役割を果たしていた天使でした。
いやー、天使は、俳優さんとして映画にも出ているのだから、ビックリです。時にはラーメン屋さんとして、酸辣麺(スーラーメン)をご提供。天使は「ラーメン」じゃなくて「アーメン」の世界のかたでは? なーんてね。
と、まあ、この映画は、過去と現在と劇中劇が交錯して織り成す構成の映画だったのですね。劇中劇は、撮影中のミュージカル映画内容が、現実の過去&現在とシンクロ。シンクロさせたのも天使の仕業だったのかな? たまに、え? どっち? って思わせるいたずらな仕掛けも心憎いです。
映画のストーリーに対して、「話に無理がある。陳腐だ」そんなことを言ってた映画監督(ジャッキー・チュン)。いやいや、「現実は小説より奇なり」です。記憶喪失の空中ブランコ乗りの娘の前に昔の恋人が現れるより、かつての貧しい恋人同士が香港の人気男優と中国のトップ女優として10年後に再会し、映画で共演するほうが“ありえねー度”高いですってば。だけど、体を武器に女優にのし上がって、今は監督の恋人って孫納(ジョウ・シュン)、なんか妙にリアルです。見東(金城武)の「一番軽蔑する人を愛してしまった」というセリフが泣けますね。
ミュージカル映画場面以外でも音楽が流れ、登場人物の心を表す歌の挿入も、とても自然でグッときます。だけど、劇中映画で、サーカス団長役を自ら演じることになった監督が歌いだしたら、踊って歌っての軽いミュージカル映画が、いきなり「オペラ座の怪人」真っ青の本格派オペラ映画に変ぼう! 思わず聞きほれちゃいました。別の男優が演じるはずの役だったけど、いやいや、あんたしかいない! 監督にこんなに見事に歌われては、ほかの俳優さん、やりにくいのでは? と思ってしまったぐらいです。主演の2人と自分の関係が、映画にシンクロするから思わず「やる!」と言ったというより、あなたの歌あっての映画って気がしましたよ、ジャッキー・チュンさんの監督ぅ。
その監督さんが「彼の目の演技を見習え」と孫納にも言った、見東こと金城武の眼力もすごいです。彼だけ3Dかと思うほど、スクリーンから飛び出るほどの迫力です。思わずドキッ。水中でも濃い、切なさも濃い。ぶちゅーのキスシーンも毎回濃かったな~。
渋い緑のクラシックホテル、雪の中のラブシーン、豪華絢爛(けんらん)なサーカス映画のオープンセットなどの、美しいなーという印象を超えて、孫納の歯ぎしり、見東の『レディ・イン・ザ・ウォーター』ならぬ『マン・イン・ザ・ウォーター』状態の毎夜プール飛び込み、そして、みんな食べてる酸拉麺に、強く強くひかれてしまいましたとさ。 |
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