セカンドシーズン2006年12月 私的映画宣言 2006年12月1日 人生初の韓国訪問。『グエムル』でメインの舞台になったハンガンに興奮しつつ、焼肉喰いまくりマッコリで記憶なくしまくりでカジノへGO!! 『007/カジノ・ロワイヤル』気分でポーカーには勝ったけど、バカラで散財! バカラで人生アウト……なんて、そんなことココで書いていいのかな? ちゃんと人生を生きよう……。 引っ越して、やっとCATVに加入したので、『HOUSE』と『デッドゾーン』を貪り観る。で、シルエット的にかぶっている主役キャラ二人がごっちゃになることも。あれ、ハウス先生って、手で触れただけで病気の要因がわかるんだっけ? いや、そんなわけない、ない。いずれにせよ、ハウス先生は俄然、タイプなのですが、何か? 日本では来春公開の『BOBBY』の取材でロスに行った。超豪華なキャストも話題の作で、記者会見にはシャロン・ストーンにデミ・ムーアほかいろいろ。一番の注目はリンジー・ローハン。やっぱ夜遊びのしすぎか、ガラガラ声で目にはクマ。そんな彼女にシャロンが「あんた、いくつ?」と聞いた一瞬、会場が凍ったよ、マジで。 今年の東京フィルメックスは岡本喜八監督の追悼特集。以前の喜八特集の時は、常連・天本英世さんと並んで映画を観た。映画『暗黒街の対決』で歌う殺し屋を演じた英爺に大笑いしつつ、喜八監督も英爺もいないんだなと思うと急に寂しさが。おもろい爺さんたちだったな。 硫黄島からの手紙 (C) 2006 Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC 第2次世界大戦時の最も悲劇的な戦いと言われる“硫黄島の戦い”を、日本側の視点から描いた戦争映画。硫黄島でアメリカ軍を悩ませた伝説の陸軍中将である栗林忠道と彼の部下たちによる死闘が描かれる。監督は『ミリオンダラー・ベイビー』のクリント・イーストウッド。『ラスト サムライ』の渡辺謙、嵐の二宮和也ら、日本人俳優が出演する。イーストウッドが日米双方の視点から“硫黄島の戦い”を描く“硫黄島プロジェクト”第2弾作品としても注目だ。 渡辺謙 二宮和也 伊原剛志 監督/製作:クリント・イーストウッド 『父親たちの星条旗』では有名な写真がモチーフになって……って、正直、僕知りませんでしたよ。終戦から61年ですか、あの戦争は完全に風化している証拠です。これってとっても問題で、要はそういう教育がなされていないってこと。他人のせいにするつもりはないけど、洪水のように情報が氾濫する現代では深刻な事態だと思う。僕らはこうして映画でしか振り返れないし、映画でしか振り返りたくもない。そして映画はその役割を担っているとも思うし、あの戦争がなければこんなすばらしい映画も生まれない。なんという皮肉! 戦争映画は観ていると苦しくなるので個人的にはキライですけど、命が激突する壮絶な瞬間を目撃することで学ぶことは多い。 アメリカ人が日本人のことを理解しようったってムリで、それに真っ向から挑んだイーストウッドの心意気は買う。でも、感情の機微やセリフ回しとか、些細なところに気持ち悪さを感じてしまい、このがんばりを『父親たちの星条旗』につぎ込めばよかったんではと思う。しかも本作は泥沼と化した戦場シーンがほとんど。とくに自滅シーンにはゲンナリ。出演した日本人俳優たちは一世一代の大芝居という気構えなのか、中には力みが目に付く人も。個人的には加瀬クンが◎。ニノくんもちと痩せぎすな少年ボディではと思ったけど、案外あの時代はこれがリアルだったかもと納得。一番気になるのはケン・ワタナベ。アメリカでどんな評価が下るのか、楽しみ…。 延々と戦闘場面が続き、気分が滅入ってくる。『父親たちの星条旗』の方が断然、面白かった。もっと戦争前エピソードがあれば、よかった。いや裕木奈江は十分か。相変わらずの被害者面演技。おまけにエンドロールでNAEって名乗っていて、切れそうだった。向こうで注目されそうなのはむしろ伊原。謙さんよりかっこいい。時々、日本語があやしい軍人さんがいるのと、伊原と謙さんのアメリカ的ジョーク言った後、「ワッハッハ」ていうリアクションだけがハリウッドを感じさせた。硫黄島を守った日本人をアメリカ人の監督が称えて描いていること。そして、アメリカ人の監督の作ったものでなければそれを素直に受け入れられない日本の空気。何か不思議。 犬神家の一族 (C) 2006「犬神家の一族」製作委員会 横溝正史の名作探偵推理小説『犬神家の一族』を、1976年に監督を務めた市川崑がリメイクした心理サスペンス。同作から多大な影響を受けたジャパニーズ・ホラーの仕掛け人こと一瀬隆重プロデューサーが、オリジナル版の名コンビである監督と主演の石坂浩二とともに、犬神家一族の血の系譜をめぐる謎に迫る。ヒロイン役の松嶋菜々子をはじめ、尾上菊之助、富司純子、松坂慶子らオールスターキャストの競演も見もの。 石坂浩二 松嶋菜々子 尾上菊之助 監督:市川崑 現代に放つミステリーやドラマとしての完成度はともかく、『犬神家の一族』がトラウマになっているファンにはうれしいリメイクですよね? 巨匠・市川崑もお金と時間をかけて昔ながらのテイストを残して……というか昔のまんまのような気が……。石坂浩二の加齢は気にならなかったけど、太ってしまったのでちょっとかわいく見えた。まぁ『犬神家の一族』に特別な思い入れがない僕は肯定・否定どっちでもない派なんですけど、この映画を観たら静馬のモノマネがしたくなるね。フザけた感想ですけど、そう思えるかどうか。それが『犬神家の一族』を鑑賞するうえでもっとも大切なこと!? ああ、あと前売り券についているスケキヨ君ストラップは欲しい。 かつての作をリアルタイムで見て、当時の横溝ブームに熱中した者としては、美しくも哀しいテーマソングを耳にしながら、何でいまさら名作をリメイクしなくちゃならんのよー、市川監督の晩節を汚さなくてもと思う。しかも、佐清キャラクターまで(好きだけど)作ってしまうとは、商魂たくましいなー。反面、30年経っても、万年青年のように金田一耕助を演じられる、石坂浩二に驚く。フカキョン、奥菜の演技に物申してる声も聞くが、旧作で演じてた坂口良子、川口晶の大根ぶりもすごいんで、改めて言い募ることもないような……。それにしても、びっくりなのが三姉妹役の熟女女優たち。とくに、すっかりドスコイ体型になった松坂慶子に哀しくなります。このまま京塚昌子か、春川ますみ化していくのか……。ヤバイよ、ヤバイよ。 加藤武の「よ~し、わかった!」が観られるだけでもありがたい(入れ歯が危ういのがドキドキさせられるが)。気分はまさにお正月。女優陣も新旧中堅と美女がずらりと勢ぞろいして華々しいったらない。ただし富司純子の美しさと迫力には誰もかなわなかった。休んでいたのにこの存在感と演技力。まさに映画女優って感じ。それに比べると松嶋菜々子の美しさも霞む。さらに気になったのは深キョン。昔の坂口良子の田舎くささがないので、モンペが全然、似合わない。奥菜恵と役が逆だったらよかったのに。ちょっと見てみたいな、恋人に死なれ、気が変になってしまう深キョン。下宿の場面は三谷幸喜に救われた。狙い通りなのか、天才的な大根っぷりだ。 リトル・ミス・サンシャイン (C) 2006 TWENTIETH CENTURY FOX サンダンスを始め、多くの国際映画祭で、スタンディング・オベーションの絶賛を受けたロードムービー。美少女コンテストのクィーンを夢見る少女とその個性的な家族が、黄色いワゴン車に乗ってコンテスト会場を目指す姿を描く。主人公の家族を演じるのは、『40歳の童貞男』のスティーヴ・カレル、『イン・ハー・シューズ』のトニ・コレットら。機能不全に陥った一家族が、旅を通して再生していくハートウォーミングな展開が見どころ。第19回東京国際映画祭で最優秀監督賞、最優秀主演女優賞、観客賞など最多3部門を受賞した。 アビゲイル・ブレスリン グレッグ・キニア ポール・ダノ 監督:ジョナサン・デイトン / ヴァレリー・ファリス いわゆるロードムービーって広大な土地が国土になっているアメリカ合衆国ならではの映画で、『ブロークン・フラワーズ』とか『トランスアメリカ』も最高だったけど、まずそういうジャンルが成り立つことがステキ。そもそも旅って自分探しの手っ取り早いツールだし、道は人生を象徴しているわけで、目的地に着くことよりもその道中で起こる事件に人生を重ね合わせて観てしまうんですよね。それと人生は勝ち負けではないことを言わんとしているけど、この手のテーマは勝ち組側になって受け止めてみたい。ハナから負け組の自分は勇気づけられるだけだもんな。個人的なタイプのトニ・コレットが出ていたことを差っ引いてもこの評価。こりゃ必見です。 名優アラン・アーキンがヘロイン中毒のぶっ飛んだじい様で、『40歳の童貞男』のスティーヴ・カレルがゲイの失恋男。トニ・コレットの肝っ玉母さんぶりもグレッグ・キニアのダメ父さんも役にハマり、二人の子役も芸達者。というわけで、キャスティングの妙を感じる作だけに、とっても楽しみにしていた。でも、私自身は世間の評判ほど、面白いとは感じなかった。家族のキャラがそれぞれ強烈で、しかも起こるトラブルがちょっとありえなさすぎでしょの連続。いい話、いいセリフもあるのだが、後半のドタバタが私にはイタ~いものにしか見えず引いてしまった。でも、そんな中、『24』のクロエことマリー・リン・ラジスカブが地味に演技してるのを発見。気になる方はスクリーンで、どうぞ、ご確認ください。 スティーヴ・カレルに期待して行ったら、子役の大活躍に爆笑! 最高だ、アビゲイルちゃん。ファット・スーツも妙に似合ってしまうぽっちゃり顔が愛らしい。大好きなリック・ジェームスの『スーパー・フリーク』 (私の場合、ホストマザーの愛聴曲がこれでパーティーではフル回転していたが、よく考えるとこれも異様な光景?)がコミカルにみえるほど、健全な「子ども」である。なのに、あの演技力。間の取り方が尋常じゃなく素晴らしい。注目の若手ポール・ダノの不気味さも『キング 罪の王』よりこっちが上手だった。主人公の家族全員がとにかくダメ人間。だが、ダメ人間のくせに、皆、思いっきり好きなことやって生きてるから妙に爽やかなのが気持ちよい。 007/カジノ・ロワイヤル (C)2006 Sony Pictures Entertainment,(J) Inc. All Rights Reserved. 英国諜報部に属する敏腕スパイ、ジェームズ・ボンドの活躍を描く人気スパイ・アクションのシリーズ第21弾。原点に戻った今作ではボンドが殺しのライセンスを持つ“007”になる前の物語から始まり、国際テロ組織の壊滅が初任務となるボンドの奔走を活写する。6代目ボンドに『ミュンヘン』のダニエル・クレイグ、ヒロインのボンドガールに『ルパン』のエヴァ・グリーン。豪勢なカジノを舞台に繰り広げられる駆け引きがスリル満点。 ダニエル・クレイグ エヴァ・グリーン マッツ・ミケルセン 監督: マーティン・キャンベル 最初にコトワリを入れておくと、無類のボンドマニアなので甘い評価しか出ません!! 初めて観たボンド映画が『007/ロシアより愛をこめて』で、初めてスクリーンで観たボンド映画が『007/オクトバシー』。思い入れが強いのでダニエル・グレイグだってスンナリ受け入れられたし、監督もマーティン・キャンベルなので心配もしてなかったけど。だいたいロジャー・ムーアの目だって青くなかったか? TVCMでは愛を強調したウリですけど、まぁしゃーないですよね。イマドキのスパイ映画なので。とはいえ、自分、ボンド映画って必ずデートに使ってたんすよ。で、全部悲惨な結末ですよ。まっ、今は仕事になっているので関係ないんですって、強がってみたり。 もともと「ダニエル・クレイグ6代目ボンド」には、断固反対だった。どー見たって、彼、テロリスト顔ですから……。しかし、『レイヤー・ケーキ』で鍛え抜いた体の彼に見惚れて前言撤回。で、本作。期待通りに鍛えた体をバンバン見せる。007で魅せるのはボンドガールのはずだったんだが、脱ぎまくるのはクレイグばかり。海パン姿(2タイプ)も素敵です。ま、ピアーズのときのような明るさや軽さはないが、スピーディで動きにキレがあり、迫力満点のアクションシーンには目が釘付けになる(逃げる爆弾男の人間離れした俊敏な動きも見もの……)。今回はほかにMの豪邸に寝姿が披露されるというお楽しみな(?)シーンもある。ともあれ、私はすっかりクレイグ・ボンドの男の色気にやられました! 早く次回作が見たい。 初の金髪ボンドってどれだけ「王子様」チックに変化したかと思えば、めちゃめちゃ暴れん坊だった。まだ“00”に昇格したばかりだからこれからエレガンスを身に着けるのであろうが、とにかく粗暴。でもそれが妙に興奮させられる悪ガキ顔の新ボンド。ブロスナンから受け継いだ?拷問シーンも全裸で享受。ダニエルの方がぐっといい体なので、盛り上がること必至。あの痛さは女子には解りかねるが爆笑ものだった! 適役のマッツ・ミケルセンも相当、いい体の持ち主(デンマーク一セクシーな男)だが、ここでは露出がなく残念。こんな男フェロモンMAXななかに小娘エヴァ・グリーンの投入は無謀だった。ゴージャスさが皆無。ボンドに気を配りすぎて、ボンドガールで失敗するとは本末転倒。 ★だれが何と言おうとこの映画を愛します宣言! ライターが偏愛してやまない1本をご紹介!★ 長い散歩 (C) 2006「長い散歩」製作委員会 最初に奥田瑛二監督を取材したのは映画『眠らない街・新宿鮫』(93)の時。以後、いつからか酒を酌み交わすようになり、監督第1作『少女』、第2弾『るにん』も、企画立ち上げから話を聞いてきた。そこにあるのは、自分で製作会社まで立ち上げた映画に懸ける情熱。そして、役者として数々のアウトローを演じ、夜のネオン街では時に故・勝新太郎とバトルを演じるなど、あらゆる人種と接して培ってきた、人間に対する深い洞察力だ。 はからずしも『長い散歩』でそれを実証してしまった。幼児虐待をテーマにした本作品。真由美(高岡早紀)が男を連れ込んでは、娘・幸(花菜)を邪険に扱う様はモロに秋田連続幼児殺害事件を彷彿し、泣けてきた。映画は事件よりも前に製作されたもので、いかに人間の本質を突いた脚本かが分かるだろう。 もっとも劇中の幸は、隣に住む元教師・松太郎(緒形拳)によって救われる。そこが、多くの女性を虜にしてきたことでも分かる、憎めないダメ男・奥田監督が持つ優しさなのだ。 ADVERTISEMENT