米ボックスオフィスのチャートを賑わす全米話題の映画を厳選して紹介します。
2006年11月のボックスオフィスは、ペンギンくんが大活躍です!
鳴り物入りで公開され、オスカー候補と呼ばれた『バベル』はオバカ映画に敗北!
ジェームズ・ボンドもペンギンくんに敗北しました!
波乱万丈の11月も話題作が目白押しです!
全米初登場
(拡大公開後)
6位
11/17-19順位
8位
英題:Babel
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
キャスト:ブラッド・ピット、役所 広司、菊地凛子
遠く離れたモロッコの砂漠に、ライフルの銃声が響き渡る……。おだやかなバケーションを過ごしていたアメリカ人夫婦を襲ったある悲劇、そして悲劇に立ち向かう夫婦。2人のモロッコ人の青年、耳が不自由な日本の女子高生と彼女の父親、アメリカ人の子どもとともに亡命するメキシコの乳母。偶発的に起きていく事件が、彼らの運命とともに複雑に絡み合いながら展開し、そして息をのむラストへと加速していく。
10月27日から限定公開され、11月10日より全米で拡大公開された『バベル』。『21グラム』『アモーレス・ペロス』などを手がけた、スペインの天才監督アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥが監督・製作した本作は、カンヌ映画祭で上映後、15分間に及ぶスタンディングオベーションを受けたほどの話題作。ブラット・ピットの主演作ということもあり、当然のごとく前評判は上々で、上位にランクインされることが予想されたが、結果は意外にも6位。今月は期待を(?)ことごとく裏切って、お下劣ムービーの『ボラット』が予想外の大ヒット!『バベル』は上映館の数も約120であることから、ボックスオフィスの記録が難しいのは確かではあるが、『ボラット』に、1位を取られてしまったのは不本意極まりないだろう。それでも、日本での注目度は高いので、日本での好成績を期待したい。
<ガエル・ガルシア・ベルナル>
スペインでは、韓流ヨン様ばりの人気者ガエル・ガルシア・ベルナル。超美形でありながらも、次々とあやうい役柄に挑戦する、なかなかのアウトロー役者であります。彼がどれほどのアウトローかと申しますと、『バッド・エデュケーション』ではいろいろな男とエロエロシーンを繰り広げまくり、女装にも挑戦し、『天国の口、終わりの楽園』では、プールに向かって「どっちが、遠くまで飛ばせるか!(何をかは、聞かないで下さい……)と、男友達と自慰合戦を行ったり、そして最新作の『キング 罪の王』では、なぜか角刈り(?)姿で、妹と近親相姦してみたり。「ん~。ノーマル!」とキッパリ言える役柄がなかなかありません。そして、彼自身もなかなかスゴイ方で話す言語はスペイン語、ポルトガル語、英語、イタリア語、フランス語とものすごい国際派! さらに社会派の一面もあり、授賞式のスピーチでも、突如イラク戦争批判を始めるなど、なかなか反骨精神にあふれたイイ男なのであります!
英題:The Santa Clause 3: The Escape Clause
監督:マイケル・レムベック
キャスト:ティム・アレン、マーティン・ショート、アラン・アーキン
もちゃ会社に務めているサラリーマンのスコット(ティム・アレン)。彼は、不思議な運命のいたずらから、子どもたちに夢を与えるサンタクロースとなった。愛するミセス・サンタと力を合わせて、スコット・サンタクロースは、世界中の子どもたちにクリスマスプレゼントを届け、サンタクロースとしてたくさんのひとから愛されていた。しかしそんなサンタクロースを快く思っていない悪者ジャック・フロストが、少しずつサンタクロースに忍び寄っていた……。
アメリカの子どもたちのみならず、世界中の子どもたちがワクワクしているクリスマスの季節。アメリカでは先日、ある雑誌の“架空の人物お金持ちリスト”で不動のナンバーワンだったサンタクロースが、「サンタクロースは架空の人物ではない!」という子どもたちのクレームによってリストから外されたばかり。そんな子どもたちから大人気のサンタクロース映画とあって、『サンタクロース3』は初登場第2位と好成績のスタート。1位の『ボーラット』は追い越せなかったものの、やっぱりクリスマスシーズンのサンタさんは強い!ということを証明した結果となった。11月に公開されて以降、特に順位を大きく落とすこともなく、順調にベスト10入りしている『サンタクロース3』。12月になり、子どもたちのクリスマス気分も盛り上がってきたところで、また人気再燃もありえない話ではないはず! サンタパワーをどこまで出せるか……今後の順位動向に期待していきたい。
<ティム・アレン>
まあ、この方の顔を見て「どこがイケメン?」と思う方は、少なくないかもしれません。しかーし! 彼は、イケメンなのです! というか、全米で1番“イケてるボイス”の持ち主なのであります。つまり、イケボイスさんです。というのもティムは、子どもたちのヒーロー『トイ・ストーリー』のバズ・ライトイヤーの声を演じているお方だからです! 宇宙の彼方からやってきたヒーロー、バズ・ライトイヤーは相棒のウッディと共に1995年の公開以来10年以上たった今でも子どもたちに愛され続けているロングランの人気者になりました。 そんなミスター・バズことティムは、1953年生まれの50代! なんとドラッグ所持で2年間刑務所にいたこともあったティム。ですが、大きな壁を乗り越えて今ではサンタクロース役もぴったりのすてきな俳優さんになったのでした。
英題:Casino Royale
監督:マーティン・キャンベル
キャスト:ダニエル・クレイグ、エヴァ・グリーン、マッツ・ミケルセン
英国諜報部MI6のスパイである若きジェームズ・ボンド(ダニエル・クレ イグ)は、2件の殺しの実績を重ねて、<殺しのライセンス>と呼ばれる“00<ダブルオー>”に昇格した。“00<ダブルオー>”としての、彼の最初のミッションは国際テロ組織のネットワークを絶つこと。まずは、テロリストの資金源と呼ばれている“謎の男”の正体を突き止めるため、早速行動を開始するボンドは、国際ルールを破った殺しをしたことで、MI6の上司である“M”の怒りを買ってしまうが……。
はまり役と言われていたピアーズ・ブロスナンがボンドを引退し、次のジェームズ・ボンドは誰になるのか世界中で、さまざまな議論が飛び交っている中、見事ボンド役を射止めたのがイギリスの俳優ダニエル・クレイグだった。しかし、これにボンドファンは猛反発! 製作前から「ええええ!」と大ブーイングを受けてしまっていた新ジェームズ・ボンドだったが、蓋を開ければ評価は上々。「最高にかっこいい!」「今までの007シリーズ中、最高傑作!」など、厳しい批評家たちからも絶賛の嵐を受けた。ジェームズ・ボンドさながらの逆転劇となった『007/カジノ・ロワイヤル』は、全米初登場第2位。平和ボケなのか、コメディ系がやたらとウケているアメリカの映画市場では、ジェームズ・ボンドが踊るペンギンに負けてしまった。しかし、この結果も上映館の多さの違いから考えればどっこいどっこいと言えるはず。公開3週目でもまだ2位を守りつづけているので、ニュー・ボンドにはぜひとも頑張ってもらいたい!
<ダニエル・クレイグ>
「ぜんぜん理想のボンドじゃない!」なんて辛らつなファンからの意見にも耐えながら、見事007に生まれ変わり、大ブーイングを、大絶賛に変えてしまった奇跡の男ダニエル・クレイグ。なんだかんだといわれている彼ですが、生きのいい38歳、しかも180センチの長身、そしてよだれもしたたるほどの筋肉の盛り上がりを見れば、文句なんて言えないくらいのイイ男!なのであります。どうして、こんだけのイケメン俳優に今まで気付かなかったんだろう!? と思っているあなた。もしかしたらダニエルを観たことあるかもしれませんよ~。というのも、ダニエルはちょくちょくいろいろなハリウッド映画に、ちょろっと出演していることがあるからです。例えば『トゥーム・レイダー』でのアンジェリーナ・ジョリーの恋人役。『ロード・トゥ・パーディション』でのポール・ニューマンの息子役……など、“ちょろっとダニエル”で新ボンドを探してみてください!
英題:Deja Vu
監督:トニー・スコット
キャスト:デンゼル・ワシントン、ポーラ・パットン、ヴァル・キルマー
プラスチック爆弾が仕掛けられたフェリーが、爆発し、乗客の500名が死亡するという、事件が発生する。爆発事件の1時間前、現場近くでひとりの女性の死体が発見されるが、捜査官のダグ・カーリン(デンゼル・ワシトン)は、どこか見覚えのある顔に思えてならなかった。ダグはクレアというその女性と会うのは初めてだったが、彼女の部屋を調べるとさまざまな彼の痕跡(こんせき)が残されていた。そして、冷蔵庫には、アルファベットで作られた「U CAN SAVE HER(君は、彼女を救える)」というメッセージが貼られていて……。
映画を作れば絶対に当たる! といっても過言ではない最強伝説の持ち主ジェリー・ブラッカイマーが、トニー・スコット監督と組んだ6度目のタッグ作品である『デジャヴ』。緻密(ちみつ)なストーリーに、大規模なアクション、スリリングな展開、そしてとどめはデンゼル・ワシントン。これを聞いただけでおなかがいっぱいになってしまいそうな本作は、全米初登場3位を記録。3週連続で1位を飾った『ハッピー・フィート』と、大規模な宣伝展開と人気シリーズが持つ強みを兼ね備えた『007/カジノロワイヤル』を相手に、健闘したほうでないだろうか。本作の魅力はなんといっても複雑な“謎解き”戦。シーズンがちょっと違えば、ビッグヒットとなったかもしれないが、今はアメリカ人がもっとも楽しみにしているクリスマス・シーズン。脳みそのほうも、ちょっとお休み……ということでこの複雑な映画はちょっと敬遠されてしまったのかも……。ブラッカイマーの残念そうな顔が浮かんできそうな結果となったが、2月に公開の日本での結果も楽しみだ。
<ヴァル・キルマー>
『トップ・ガン』でトム・クルーズのクールなライバル、アイスマンを演じたことで、大ブレイクしたヴァル・キルマーもすっかりダンディーなオジサマになりました……。当時は、甘いマスクのトム派か!? クールなアイスマン派か!? で女子たちの間で議論を巻き起こしたヴァルですが、実は頭の良さもハンパではありません。なんと17歳にして、ニューヨークにあるジュリアードの演劇科に飛び級で進学。最年少の生徒となったというすっごい人なのであります。トムと共演したことでアイドル的な扱いをされそうにもなりましたが、「そうはなるかい!」と気合(?)で拒否! 『ドアーズ』で、バンド“ドアーズ”のカリスマ・ボーカルであるジム・モリソン役を熱演したことで「おれは、演技派なのだ!」ということを猛烈にアピールしたのでした。『バットマン・フォーエヴァー』ではバットマン役、『ワンダーランド』では、実在のポルノスター役と役柄の幅も広いヴァル。本作では知的なFBI捜査官を好演しています!
英題:Happy Feet
監督:ジョージ・ミラー
声の出演:イライジャ・ウッド、ロビン・ウィリアムズ、ブリタニー・マーフィー
寒い北極には、アツイ皇帝ペンギンたちが暮らしていた。ペンギンたちの神様である「ギン様」をたたえながら、心には歌、胃袋には魚を持って素敵な暮らしをしている彼ら……。そんな彼らにとって1番大切なことは、“心の歌”というもの。それはいつの日か、自分の愛する人に出会ったときに歌って、ハートをゲットするための“心の歌”なのだった。しかし、そんな歌がすべてのペンギン王国で、ある悲劇的な運命を背負ったペンギンがいた。マンブル(声:イライジャ・ウッド)……、彼は生まれながらの“オンチ”なペンギン。歌を聞けば、体が踊りだす究極のダンサーペンギン! だけどオンチ。そんな悲しいマンブルが自分を証明するため、大きな冒険の旅に出る!
踊るペンギン“マンブル”くんの活躍を描く『ハッピー フィート』は子どもはもちろん、大人もおじいちゃんも、おばあちゃんも、どんな世代でも楽しめる超“HAPPY”映画。そして、テーマはダンス! しかも作中に出てくる踊りはプリンス、クイーン、スティービー・ワンダーなど、アメリカのヒットナンバーの数々。歌と踊りが大好きなアメリカ人にとっては、ドツボの本作は予想通りの大ヒット! さらに、踊りまくる主人公がペンギンとくればなおのこと。かわいいペンギンダンスを一目見ようと、映画館には連日連夜、たくさんの観客が訪れているようです。というわけで、今月後半を制したのは、踊るペンギン“マンブル”くん! あのボンドにだって、デンゼルにだって勝ってしまったんだから、彼ってほんとにすごいんです! 全米初登場は、もちろん1位! 11月21日に公開以来、ぶっちぎり3週連続1位を記録してしまいました。25000羽のペンギンが、ゴスペル、ラップ、そしてまたまたアメリカ人大好きなという豪華なラインナップを歌い踊る『ハッピー フィート』。日本上陸が待ちきれません!
<イライジャ・ウッド>
『ロード・オブ・ザ・リング』では、ほんとにニコリともしない暗くて仕方ないイライジャくんでしたが、『ハッピー フィート』では明るくて、かわいらしいキャラクターの声を演じております。これこそがイライジャくん!のはずですね。ケビン・コスナーと友情を深め合う少年役を熱演した『8月のメモワール』からもう10年以上が過ぎて……イライジャももう立派な大人。かわいい男の子から、正真正銘のイケメンくんになりました。「フロド・カラーがついてしまうのでは?」という声とは裏腹に、出演作がちっとも衰えないのは、彼の演技力が確かな証拠でしょう。いきなりロバート・ロドリゲスの『シン・シティ』で、人食い“のびたくん”(?)のような強烈キャラを演じたり、『僕の大事なコレクション』でオタク少年を演じたり、そして『ハッピー フィート』ではペンギンくんを演じたり……とフロド・カラーから完全脱出して活躍を広げているイライジャにこれからも期待大です!
英題:Borat: Cultural Learnings of America for Make Benefit Glorious Nation of Kazakhstan
監督:ラリー・チャールズ
キャスト:サシャ・バロン・コーエン、パメラ・アンダーソン
カザフスタン国営テレビのレポーター、ボラット(サシャ・バロン・コーエン)が、アメリカ中を旅しながら、保守派の政治家を始め、女性の権利団体など、さまざまな人たちにアポなし取材を行う。しかし、女性差別主義者で、反ユダヤ主義者のボラットはいたるところで大騒動を巻き起こしていき……。主演は、人気コメディアンのサシャ・バロン・コーエン! うん〇、お〇っこネタが大満載、お下劣すぎてどうしようもないこの作品が、なんとなんと今月のボックスオフィスに大波乱を巻き起こした。全米初登場では堂々第1位を記録! さらに2週連続1位をキープし、11月の最終週も5位で終わるという予想外の大ヒットとなった。それでも、この作品に出てくる人たちは、ほとんどアポなし取材の上に、コーエンを本当の“カザフスタン国営テレビのレポーター、ボラット”と思っているのだから、“命がけドッキリ”と言っても過言ではないかも知れない。
突然、道端でうん〇をしだしたり、アメリカ中を混乱に陥れたサシャ・バロン・コーエンは、映画公開後も、まだまだアメリカ中を混乱に陥れています。自分はボラット……と言って、アメリカ人の素の表情を映すことに成功したものの、だまされて撮られたほうは「たまったもんじゃねえ!」ということでいろんな人に訴訟を起こされているサシャ。先日キッド・ロックと離婚したパメラ・アンダーソン夫婦の離婚原因も『ボラット』のせいだとかないとか……。キッド・ロックは、『ボラット』のなかでのパメラを見て、たくさんの人の前で「このアバズレ女!」とぶち切れていたそうな……。一体どうして「アバズレ女!」なのかは映画を観ないと分かりませんが、夫婦の仲まで引き裂いてしまうなんて、サシャも大変ですね。また、『ボラット』ではカザフスタン人で、反ユダヤ主義のボラットを演じたサシャは、本当はユダヤ人。オ下劣映画の裏には、強烈な社会風刺を混ぜ込んだ社会派映画の一面もあったりするのでした。
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