2006年12月 全米話題作 2007年1月24日 米ボックスオフィスのチャートを賑わす全米話題の映画を厳選して紹介します。 2006年12月のボックスオフィスは、ホリデイシーズン真っ盛りのアメリカだけあって、話題作が目白押し! キャメロン・ディアス主演のラブ・ストーリーに、ウィル・スミス親子主演の感動作。それでも最強は、博物館の動く恐竜とベン・スティラーでした! 波乱万丈の12月も話題作が目白押しです! 全米初登場 3位 12/12-17順位 5位 英題:The Holiday 監督:ナンシー・メイヤーズ キャスト:キャメロン・ディアス、ケイト・ウィンスレット、ジュード・ロウ アマンダ(キャメロン・ディアス)は、ハリウッドで大成功を収めている映画予告編制作会社の女社長。ビジネスでは右に出る者はいないほどのやり手だが、恋愛となると自分の気持ちがうまく伝えられず、彼氏にも出て行かれてしまう始末。それでも、失恋に涙も出ない自分にやり場のない空しさを覚えていた。一方イギリスで、記者としてバリバリ働いているアイリス(ケイト・ウィンスレット)も、史上最悪の失恋を経験していた。そんな2人がネットで知り合い、休暇の間だけ、お互いの家を交換することになり……。 今アメリカで大流行しているという「ハウス・エクスチェンジ」。日本人には聞きなれない言葉だが、“休暇の期間中、自分の家も車も交換する”という習慣は、現在ネットでエクスチェンジ相手を探すサイトが急増しているほどの人気ぶり。そんな“ハウス・エクスチェンジ”でロマンティックな恋に落ちる……という本作は、アメリカの女性たちの心をしっかりとつかんだようだ。さらに『恋愛適齢期』で高い評価を得たナンシー・メイヤーズが脚本、監督を務めたことで、アメリカ人に必要なコメディ要素も百点満点。本作が公開されたのは、クリスマス前の12月前半。まさに“ホリデイ”シーズン前の心ときめくタイミングが功を奏し、今は不作といわれている恋愛映画で、初登場3位と好成績を記録した。後半になって、ファミリー向けの作品も続々と公開されたが2006年最後の週も10位以内に収まったのは、なんといっても恋に敏感な女性たちからの強い支持があったはず! <ジュード・ロウ> 1972年、イギリスで生まれたジュードはジョン・レノンの名曲「ヘイ・ジュード」にちなんで“ジュード”と名付けられたという説がとっても濃厚です! 子どものころから、超美少年だったジュードは10代前半で演技に目覚め、12歳のときにナショナル・ユース・シアターに入団。そこで、演技力をコツコツと磨いたジュードは、数々の舞台に立ち、ブロードウェイにまで進出。彼の実力は、トニー賞候補となるほどに……。ジュードって、実は演劇出身の俳優だったんですね! 演技もできて、ルックスもよし! もちろんモテモテのジュード……、でもまだまだモテ期の25歳で女優のサディ・フロストと、とっとと結婚してしまいました。現在は、なんとすでに男女4人の子持ちパパでもあるのです。子どもには、メロメロで、とにかく優しいパパのジュードですが、おしどり夫婦で有名だった奥様とは、2003年に破局。現在は、シエナ・ミラーと付き合ったり、ベビーシッターと火遊びしてみたりと、独身生活を満喫していらっしゃるご様子です。 全米初登場 1位 12/22-24順位 2位 英題:The Pursuit of Happyness 監督:ガブリエレ・ムッチーノ キャスト:ウィル・スミス、ジェイデン・クリストファー・サイア・スミス、タンディ・ニュートン 骨密度を測る新型医療機器のセールスマンとして生計を立てるクリス(ウィル・スミス)は、大儲けを見込んで買い取った機器を思うように売ることができず、 家賃や税金を払えない状態に陥ってしまう。妻のリンダ(タンディ・ニュートン)にも去られた彼は、証券会社の正社員を目指して養成コースを受講しようとするが……。 『アリ』で、モハメド・アリになりきった演技を絶賛されたものの、惜しくもアカデミー賞を受賞することができなかったウィル・スミス。彼が、もう一度オスカーに挑んだ作品が本作『幸せのちから』。ホームレスから億万長者になるというアメリカンドリームを、自らの手でつかんだ実在の人物クリス・ガードナーを熱演する姿は、多くの批評家からも絶賛されている。楽して幸せを手に入れたわけではなく、どん底の環境でたった1人の息子のために、大変な努力をするクリスの生き様には、アメリカ人も共感! ただのサクセスストーリーではなく、家族愛をテーマにしたストーリーも魅力となって初登場第1位を飾った。また、クリスの息子役を演じたウィルの愛息ジェイデンはお父さんのDNAを受け継いでとにかくキュート! ハリウッドで1番と呼ばれる“おしどり親子”の熱演に期待したい。 <ウィル・スミス> 『インディペンデンス・デイ』で、エイリアンを素手でぶっ飛ばし、『メン・イン・ブラック』ではエイリアンを取り締まり……とエイリアンとからむことの多かった彼ですが、本作ではついに自分の息子と共演が実現となりました。しかも念願のシリアスドラマでの演技ということで気合は満点。努力と、愛情というウィルの地でいける演技ですてきなアメリカン・パパを演じました。ラップをさせたらグラミー賞。演技をさせてもビッグヒットというスーパースターの彼ですが、最大の魅力はそんな名声をちっともひけらかさない気さくな性格。ハリウッドスターたちのあいだでも「性格のよさは1番!」と言われている、あたたかい人柄のウィル。友だちを大切にし、妻のためならラッパーから俳優まででっかいバースデーパーティーまで開いちゃう理想的な旦那様、そして理想のパパ。厳しい暮らしから、スーパースターへとなったウィル・スミスは、まさにアメリカン・ドリームをつかんだもう1人の“クリス・ガードナー”かもしれません。 全米初登場 1位 12/29-31順位 1位 英題:Night at the Museum 監督: ショーン・レヴィ キャスト:ベン・スティラー、カーラ・クギーノ、ミッキー・ルーニー 職なし、金なし……、でも夢だけはやたらとデカイだめ男、ラリー・デリー(ベン・スティラー)。愛する妻や、子どもからも見捨てられた彼は、元妻の再婚話を聞いて大焦り。なんとか認めてもらえるよう、自然史博物館での警備員の仕事を始めることにする。夜間の警備は楽だと思っていたラリーだったが、夜の博物館には大きな秘密が隠されていて……。 真夜中の博物館で、警備員がふと気づくと……、骨だけのティラノザウルスが全速力で追いかけてくる! そんなワクワクするようなトレイラーが全米の映画館にかかっていた1か月前。アメリカ中の映画ファンは、この映画『ナイト・ミュージアム』の上映を心待ちにしていたようで、本作は公開と同時に大ヒット。クリスマスのホリデーシーズンも重なって、劇場には子ども連れのファミリーに、カップルたちが押しかけ、公開から3週間連続第1位を記録した。また映画の舞台となっている自然史博物館は、ニューヨークにある有名な博物館。「あのティラノサウルスが動いたのかな!」と映画のなかで大活躍した博物館の動物のはく製、太古の彫刻、ジオラマを見るため、映画の人気も相なって博物館の客も急増中。身近な舞台で、絶対ないけど……というファンタジーがアメリカ人のワクワクを大きくさせているひとつのようだ。 <ベン・スティラー> 『メリーに首ったけ』で下ネタ満載のダメ男を演じてから、変わらず不動の人気を誇っているコメディアンのベン・スティラー。彼は、人を笑わせる才能のみならず、監督、脚本、そして製作とあらゆるジャンルに挑戦しているマルチ俳優なのです。そんなベンは、コメディ俳優の父を持つ生まれながらのコメディアン! アメリカのコメディ番組“サタデー・ナイト・ライブ”で、数々の面白ネタを披露したベンは、一躍アメリカ中の人気者に! そして、人生の転機となったのが冒頭で紹介した『メリーに首ったけ』。映画が始まってすぐから、○○○をジッパーにはさんでしまうという超恥ずかしい登場で大インパクトを与えたのでした。その後、ハリウッドにいそう~~なナルシストモデルのズーランダーを自らが主演、おまけに監督、製作、原案、脚本までつとめた『ズーランダー』は大ヒット! あっという間に超人気コメディアンになったのでした。『ナイト・ミュージアム』では究極のリアクション王、ベンVS恐竜をお楽しみ下さい! 全米初登場 3位 12/29-31順位 6位 英題:Rocky Balboa 監督・脚本・製作総指揮: シルヴェスター・スタローン キャスト:シルヴェスター・スタローン、バート・ヤング、アントニオ・ターヴァー ボクシング界から引退したロッキー(シルヴェスター・スタローン)は、かつての栄光の面影はなく、小さなイタリアンレストランを経営して生計を立てていた。他界した愛妻エイドリアンとの思い出にすがって生きているロッキーは、己の心の喪失感を埋めるかのように、再びプロボクサーのライセンスを取得するために立ち上がるのだが……。 貧乏なイタリア系移民の青年が、ボクサーになる……というアツイ物語『ロッキー』が公開されたのは、1976年。製作費もままならない状態で、主演のシルベスター・スタローンが全財産をつぎこんで作られた本作は、全米で大ヒット。後世に語り継がれる名作となったオリジナルに次ぐ続編も“パート5“まで作られた。実は、1990年に公開された『ロッキー5/最後のドラマ』でロッキーシリーズは終了とされていたが、なんとそれから16年の時を経て、『ロッキー』シリーズがよみがえった。大喜びのファンたちは、もう一度ロッキーに会いに劇場へ! しかし、いちばん映画を観る機会が多い現代の20代にはピンとこないはず。たぶん劇場の観客は、ロッキー世代ばかりだろうとの予想がマスコミでは広がっていた……。しかし、公開初週は初登場3位を飾り、相変わらずの『ロッキー』シリーズ人気を見せつけた結果になった。 <シルベスター・スタローン> 『ロッキー』の主人公、ロッキーと同じく、シチリア系移民としてアメリカで育ったスタローンは、貧困のなかで暮らしていました。ティーンのころは、ケンカばかりしていたという彼は、いくつもの学校を退学処分になっていた超問題児だったそう。そして、大好きなボクシングでうっぷんを晴らす日々を送っているなか、スタローンは“演技”に出会います。役者を目指したスタローンでしたが、オーディションに落ちてばかりのかなり不遇な時期を過ごしました。そうして、スタローンの人生の転機になったのが、『ロッキー』。みずから脚本を書いて、映画会社に売り込んだ魂の1作は、大ヒット! スタローンを一気にスターダムに押し上げたまさに、“アメリカン・ドリーム”な1本となったのでした。このとき、すでにスタローン30歳。ということは……、劇中で死闘を繰り広げるスタローンは還暦ってことです! 赤いちゃんちゃんこは着ない、スーパー俳優スタローンは男の中の男です! 全米初登場 (拡大上映) 3位 1/5-7順位 5位 英題:Dreamgirls 監督・脚本: ビル・コンドン 声の出演:ジェイミー・フォックス、ビヨンセ・ノウルズ、エディ・マーフィー エフィー(ジェニファー・ハドソン)、ディーナ(ビヨンセ・ノウルズ)、ローレル(アニカ・ノニ・ローズ)の3人組は、コーラスグループ“ドリーメッツ” を結成し、成功を夢見てニューヨークへ旅立った。やり手マネージャーのカーティス(ジェイミー・フォックス)に見出され、大スターのジェームズ・“サン ダー”・アーリー(エディ・マーフィ)のバックコーラスとしてデビューするが……。 アメリカを代表する歌姫ビヨンセが、トニー賞6部門を受賞したブロードウェイの伝説的なミュージカル「ドリームガールズ」の映画版に出演! 共演は、ジェイミー・フォックスに、エディ・マーフィ。そんな豪華なキャスティングのミュージカルが公開されるとなると、「ハイスクール・ミュージカル」も大人気なミュージカルが大流行中のアメリカで人気が出ないわけがない。ビヨンセ演じるディーナと共にコーラスグループを結成するメンバー、ホワイト役で、最高の歌唱力を披露した新人のジェニファー・ハドソンは、数々の映画賞にノミネート。オスカーに向けても大きな注目が集まっている本作は、全米拡大公開初登場3位。大人気の『ナイト・ミュージアム』そして、こちらもオスカー候補の『幸せのちから』には及ばずの結果とはなったものの、今後の映画賞の行方次第では、注目の大型新人ジェニファー・ハドソンの泣かせるミュージカル・ナンバーを聞きにくる観客が急増する可能性も大きい。 <エディ・マーフィ> 幼い頃に父を亡くし、兄弟で義母に育てられていたエディは、どんなときでも“笑い”を忘れませんでした。彼の笑いの才能は、15歳ですでに天才的な域に達していて、この頃には自分で脚本を書いて、地元のバーで、スタンダップコメディ(漫談みたいなもの)を披露するほどだったのです。そんなエディは、19歳のとき、彼の才能に目をつけたアメリカの人気コメディ番組「サタデーナイトライブ」のプロデューサーにスカウトされ、同番組に出演します。ものすごいマシンガントークに、黒人をネタにした、黒人にしかできないブラックジョークをネタに、人気も加速。20歳のときに、『48時間』でニック・ノルティと刑事コンビを組む若い刑事役をユーモラスに演じ、主演デビューも大成功するのでした。その後も、ヒット作に続々主演。クリス・ロックや、マーティン・ローレンスなど、今となっては黒人のコメディアンもたくさんいますが、エディーは、黒人としてハリウッドで最初に栄光を手にしたコメディアンと言えるでしょう! (文・構成:シネマトゥデイ) ADVERTISEMENT