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米ボックスオフィスのチャートを賑わす全米話題の映画を厳選して紹介します。
2007年1月のボックスオフィスは、ゴールデン・グローブ賞の発表に、アカデミー賞の発表も間近となって、候補作品に様々な影響が見えています! 発表のお陰で順位を上げた作品、有力作といわれながらも興行的には伸び悩んでいる作品。今月は、全米話題作特別編! 波乱万丈のオスカー候補作品の動向をご紹介しましょう! |
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英題:The Queen
監督:スティーヴン・フリアーズ
キャスト:ヘレン・ミレン、ジェームズ・クロムウェル、マイケル・シーン
チャールズ皇太子と離婚したダイアナ元王妃は、1997年、恋人と乗った車を執拗に追いかけてきたパパラッチとカーチェイスとなった末、事故で死亡した。国民的な人気を誇っていたダイアナの死の知らせに、世界中が悲しみに暮れている中、1人冷静に事態を見つめる女性がいた。イギリスの女王エリザベス2世(ヘレン・ミレン)。母の死に動揺するウィリアム王子とヘンリー王子、そして元夫のチャールズ皇太子。混乱をきたしたロイヤル・ファミリーのトップにたつエリザベス女王は、首相になったばかりのブレア首相(マイケル・シーン)とともにイギリス史上類を見なかった悲劇に立ち向かって行く……。 |
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2007年2月13日の時点で、39の映画賞のうち69部門で受賞するという大快挙を挙げている本作。エリザベス女王を熱演したヘレン・ミレンはその圧倒的な演技力を高く評価され、36の主演女優賞を獲得した。イギリスと同じくらいダイアナ妃人気のアメリカで、彼女の死後のイギリス王室を描いた本作は関心の的。また、日々ヘレン・ミレンの話題で持ちきりとなっているエンターテイメント誌の効果もあってか、シリアスな作品ながら珍しく、公開後3週目で劇場数を一気に1200館増やし、拡大上映後第9位に浮上。翌週も、10位にとどまりアカデミー最有力作の強さを見せつけた。どの映画も赤字ばかりの今月だが、『クィーン』はアカデミー前哨戦をヘレン・ミレンが制した効果も出てか、トップ10の中で『パンズ・ラビリンス』とともに黒字の成果をあげている。 |
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<マイケル・シーン>
ダイアナ妃の死に直面することとなる、首相になりたての若きブレアを演じているのは、イギリスの俳優マイケル・シーン。実はいろいろな映画にちょこちょこと出演している彼は、本作のブレア首相役を機に、一気にブレイクを果たしました。1969年イギリス生まれのマイケルは、ベビーフェイスで到底オーバー40には見えない、キュートなオジサマ俳優。『パール・ハーバー』で一躍人気を集めたケイト・ベッキンセールとは、2003年まで約7年間のラブラブな交際を続けておりました。そしてなんと、交際中にお子ちゃまもできちゃって、今では7歳になるかわいい女の子に成長したのです。ところが、ほとんど夫婦並みの、交際を続けていたにも関わらず、4年前にあっさり別れた3か月後には、ケイトがとっとと監督のレン・ワイズマンと結婚。それでもめげずに、コツコツ仕事を続けたマイケルは、本作でついにチャンスをつかんだのです! ラブ運はなくても、仕事運につきまくったマイケルに注目です! |
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英題:Blood diamond
監督:エドワード・ズウィック
キャスト:レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・コネリー、ジャイモン・フンスー
1990年代後半のアフリカの内線地区シエラレオネ共和国。ダイヤの密売人である元傭兵、ダニー・アーチャー(レオナルド・ディカプリオ)は、あるところに巨大なピンク・ダイヤを隠したソロモン(ジャイモン・フンスー)という男の存在を知る。ソロモンは、反政府軍の攻撃により、家族と引き裂かれ、ダイヤモンドの採掘場で働かされていた元漁師。ピンク・ダイヤの隠し場所を知るのは、ソロモンただ1人だ。一方、ジャーナリストのマディー(ジェニファー・コネリ)は、反政府組織“RUF”の資金源となっている“ブラッド・ダイヤモンド”の真相を探っていた……。 |
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地域紛争が激化する“ブラッド・ダイヤモンド”の現実問題に言及した本作は、米国務省が批判したことでも話題となった問題作。本作と、『ディパーテッド』の迫真演技が高く評価されたレオナルド・ディカプリオは、史上初2作品でゴールデン・グローブ主演男優賞にノミネートされるという快挙を成し遂げた。作品の評価の高さも去ることながら、ディカプリオ初の大規模なアクション・シーンを一目見ようと、公開されたばかりの12月は初登場5位を飾った。といってもシアター数は、ほかの映画よりも圧倒的に少ない約1900館。しかも暴力描写も入っているために、R指定と興行にはかなり不利な条件を抱えての5位だったので結果としては上々だろう。アカデミー賞も近づいて、シアターが1000以下になった現在も16位と好位置にいるものの、興行的には赤字となってしまっている。 |
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<レオナルド・ディカプリオ>
本コーナーのイケメン・チェック2度目の登場となるレオですが、最近の大活躍がとっても素晴らしいので、もう一丁取り上げさせていただきます! 『ディパーテッド』に続き、本作の熱演も高く評価され、ゴールデン・グローブ主演男優賞にWノミネートという史上初の快挙をあげたものの、惜しくも受賞はならず……。そういえば、『ギルバート・グレイプ』で、初めてアカデミー賞にノミネートされたときも、『アビエイター』で主演男優賞にノミネートされたときも、確実と言われながら受賞を逃してしまったレオは、アカデミー賞との相性はあまりよくありません。彼の尊敬するマーティン・スコセッシも7回ノミネートされているにも関わらず受賞はゼロ。自分のことよりも、恩師であるマーティンに「絶対に受賞させてあげたい!」と謙虚なコメントを続けていますが、今度の今度こそ、悲願の受賞を果たしてもらいたいものです。ファンの願いは届くのでしょうか……。頑張れレオ様! |
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英題:The last king of scotland
監督: ケヴィン・マクドナルド
キャスト:フォレスト・ウィッテカー、ジェームズ・マカヴォイ、ケリー・ワシントン
1971年、スコットランドの医学校を卒業したニコラス(ジェームズ・マカヴォイ)は、診療所で働くためにウガンダにやって来る。ウガンダでは、庶民出身で元軍人のイディ・アミン(フォレスト・ウィッテカー)が、国民からの圧倒的な支持のもと、リーダーとしてのカリスマ性で未来への期待を託されていた。ある日、ニコラスはクーデターによって最高権力を得たアミン新大統領の演説を聞きに行った帰り道で、偶然にも大統領の捻挫の治療をすることになる。大統領から気に入られたニコラスは、アミン一家の主治医になるが……。 |
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ウガンダの最高権力者であるイディ・アミンを、フォレスト・ウィッテカーが熱演。独裁者が、権力によって“鬼畜”と化していく様を、存在感たっぷりの恐ろしさで観客を圧倒した。その演技は、全米の批評家からも高評価を受け、数々の映画賞を受賞。オスカー前哨戦となるゴールデン・グローブ賞も受賞し、本年度のアカデミー主演男優賞の最有力候補と言われている。そんなオスカーの話題の効果もあってか、昨年9月に公開された本作が、2月に入って55位から、17位へ一気に急浮上。15日のゴールデン・グローブ賞の発表が行われた週末は、シアター数495という圧倒的な少なさに関わらず、前週までの興行成績からなんと10倍に跳ね上がる1,61,0000ドルを記録! 虐殺、拷問、セックスシーンと過激なシーンも多い社会派の問題作だった本作が、ウィッテカーの受賞によって、一気に注目を集める形となった。 |
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<ジェームズ・マカヴォイ>
ジェームズ・マカヴォイと言えば、『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』で、ヤギの姿をした妖精“タムナスさん”。とってもかわいかったタムナスさんですが、本作では人間の姿に戻って、アミンの奥様とあんなことや、こんなことをしちゃったり、アミンの逆鱗(げきりん)に触れて、イターイ拷問を受けたり、体を張った演技に挑戦しています。ヤギな感じのタムナスさんでは分かりませんでしたが、マカヴォイってとってもイケメンなんですよ、皆さん! 身長は170センチとちょっぴり低めではありますが、ボクシングの経験もあり、フェンシング、ラグビー、アクロバティック体操が得意なスポーツマン。さらには、ストリートで、ファイアー食いの大道芸もしていたという変わり者です。このお方の経歴は相当変わっておりまして、実は、俳優になる前は軍隊に入りたかった……なんて夢も持っていた不思議ちゃん男子のマカヴォイは、これから期待大のイケメンアクターなのです! |
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英題:PAN'S LABYRINTH
監督: ギレルモ・デル・トロ
キャスト:セルジ・ロペス、マリベル・ヴェルドゥ、ダグ・ジョーンズ
1944年内線末期のスペインで、病気の母と暮らしているオフェリア(イバナ・バケロ)に悲しい不幸が訪れた。冷酷な独裁主義者であるフランコ軍のヴィダル大尉(セルジ・ロペス)と、最愛の母が再婚してしまったのだ。暴力的な義父のもとで、現実から逃げ出そうとするオフェリアだったが、彼女の前に大きな迷路が現れる。迷路の守護神パン(ダグ・ジョーンズ)は、オフェリアが行方不明となっていた魔法の国のプリンセスだと話し、彼女が本物の姫であるかどうかのテストを用意する。それはオフェリアが今まで体験したこともない冒険の始まりだった……。 |
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昨年のカンヌ国際映画祭に出品されて、話題を呼んだ本作は、スペイン-メキシコ合作という外国作品にも関わらず、拡大公開後7位に浮上。スペインの巨匠アルフォンソ・キュアロンが製作。また、監督・脚本を『ミミック』でハリウッドデビュー後、『ブレイド2』や、『ヘルボーイ』を手掛けたギレルモ・デル・トロが担当。アメリカでは字幕入りで上映される外国映画は、えてして興行成績も伸び悩むが、本作は例外だったようだ。今ハリウッドで注目を集めているスペイン映画界の有名監督2人が製作と監督に名を連ねているのも、勝因の一つかも知れない。また、本作はアカデミー賞の外国語映画賞にもノミネートされており、完成度の高さから最有力候補と言われている。このようなアカデミー候補の外国語映画がトップ10入りしているのも、オスカーのお祭りが近づいている雰囲気が伝わってくる。 |
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<ダグ・ジョーンズ>
とにかくデカイ! これが、ダグをあらわす最適なお言葉でしょう。本作で、ラビリンスの守護神である“パン”を怪演しているダグは、顔の判別がまったくつかないので、イケメンなのか、イケメンじゃないのかもはっきりは分かりませんが、身長が192センチというスーパーモデルのような身長であることは、確かです! 1960年生まれのダグは、その高い身長を活かして、数々の映画に出演。『バットマン・リターンズ』でダニー・デビートの子分役で注目を浴びた後は、マリリン・マンソンなど個性的なミュージシャンのミュージック・クリップになんと90本以上出演しているスゴイ人なのです。特殊メイクで出演することも多々ありますが、素顔はけっこうきれいな顔してます。しかも怖い役のくせに、ひょうきんものです。特殊メイクになれているとは言え、『ヘルボーイ』に出演したときは、6時間以上もの時間をかけて特殊メイクを行ったという、辛抱強いイケメンでもあります! |
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英題:STOMP THE YARD
監督: シルヴァイン・ホワイト
声の出演:コロンバス・ショート、ブライアン・J・ホワイト、Ne-Yo
ロスのストリートで問題ばかり起こしているDJ(コロンバス・ショート)は、“挑戦”というものにまったく縁のない人生を過ごしていた。しかし、アトランタにある有名大学に転校して、彼の人生は大きく変わる。“ストンプ”ダンスというダンスにめぐりあったのだ。DJは、アトランタでの恋、友情、そしてダンスを通じて、人間的にも大きな成長を遂げていく……。 |
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全米公開後、1位を2週連続で独占したのは、青春ダンスムービー。『ステップアップ』や『ドリームガールズ』など、ミュージカルやダンス映画がヒットしまくっているアメリカで、ダンス映画は今や観たい映画ナンバーワン! オマリオン主演のダンス映画『ユー・ガット・サーブド』にダンサーとして出演していたコロンバス・ショートが主演している本作は、とにかくダンスがスゴイ! のひと言。ブレイクダンスに、ヒップホップ、そして『RIZE』のクランプダンスが融合された大迫力のダンスシーンは、劇場も大盛り上がりのアゲアゲ状態となっているようです! 問題児の黒人少年が、ダンスによって青春を、キラキラ輝かせていくストーリーは、若者たちにもパワーをあげているようで、『ナイト・ミュージアム』もがっちり抑えて大ブレイク中なのであります。日本での公開は未定ですが、話題のダンスシーンは待ちきれませんね! |
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