『アルゼンチンババア』堀北真希 単独インタビュー
家族や友だちと話す時間が癒しでもあり、
幸福だと思っています
取材・文:小林陽子 写真:亀岡周一
『ALWAYS 三丁目の夕日』では日本アカデミー賞新人俳優賞獲得し、今最も注目されている若手女優の一人である堀北真希。よしもとばななの原作を映画化した『アルゼンチンババア』で、妻を亡くして自暴自棄になってしまった父親を支える、しっかり者の娘を演じた。役所広司、鈴木京香といったベテラン俳優陣と共演した感想や、体当たり演技の裏に隠された苦労などを語ってくれた。
よしもとばななさんの小説が好き
Q:『アルゼンチンババア』というタイトルにはビックリしませんでしたか?
そうですね……、アルゼンチンという場所も何となくしか分からないのに、『アルゼンチンババア』って一体どんな物語なんだろうと不思議に思いました。まさか日本の話だとは思わなくて、てっきりアルゼンチンの童話なんだと思っていました(笑)。
Q:原作は読んでいたのですか?
よしもとばななさんの小説は、すごく好きでよく読みます。今回の『アルゼンチンババア』は台本が先だったので、後から原作を読み返す感じでした。文字の世界と映像の世界は違うので、ここはどう表現するんだろうって考えながら読んでいました。
Q:今回は豪華キャストに囲まれていましたね。
そうですね。すばらしい先輩たちに囲まれて演技できるのは、とても貴重な体験で、とても勉強になりました。休憩中はお父さん役の役所広司さんと「あそこはこうしたほうがいいね」とか「ここはおかしかったね」とか、気になったシーンについて話していました。
Q:役所さんはどんな方なんですか?
わたしがすごく緊張して話していると、リラックスさせてくれるような方です。一言で言うと穏やかな、見たままの優しい方でした。
京香さんはわたしのあこがれ
Q:鈴木京香さんのメークについてはどう思われましたか?
最初はビックリしましたけど、お美しい方なので、あのメークが京香さんの美しさを逆に引き立てているような気がしました。メーク後もきれいだなって思いました。わたしもあんな風にきれいな女性になれたらいいなって思います。京香さんはあこがれの女性です。
Q:京香さんとのタンゴは、とてもきれいでした。
実は本番直前までバラバラに練習していたんです。一緒に踊ったのは、本番の前日だけだったので、本番はさすがに緊張しました。タンゴって男性役は難しいんですが、京香さんが、わたしをエスコートして下さったので、足を踏むこともなくできたのだと思います。休憩時間は、撮影前に京香さんが訪れたアルゼンチンの話を聞いて、アルゼンチンについていろいろと教えてもらいました。
家族と友だちがわたしの癒し
Q:踊り以外にもいろいろと挑戦されていましたね。
そうですね。バイクに乗ったり、水中に潜ったり(笑)。水中のシーンもかなり大変でした。プールを使って撮影したんですけど、ダンベルを持って逆さになりながら沈んでいくんです。呼吸も苦しかったですし、目もぱっちり開けていないといけなかったし……。そんな中で、演技しないといけなかったので大変でしたね。
Q:本作のテーマでもある、癒しや幸福の姿とは何だと思いますか?
う~ん……そうですね。わたしにとっては、家族や友だちと話す時間が癒しでもあり、幸福だと思っています。わたしの場合は毎日学校に行けるわけではないので、友だちと会ったり、一緒にご飯を食べたりする時間はすごく貴重なんです。笑い合ったり、励まし合ったり……そういうのっていいですよね。
Q:どんな方に『アルゼンチンババア』を観てもらいたいですか?
家族のことで悩んでいる方や、何かに疲れている方に観てもらって、心を癒してもらいたいです。あと、この原作は世界30数か国で翻訳されているので、世界中の子どもから大人まで幅広い人たちに楽しんでもらえればと思います。
よしもとばななの本は何冊も読んだという堀北真希。今後もよしもとばななの原作が映画化されるなら、ぜひ出演したいと思うほど大ファンのようだ。上品なたたずまいと静かな語り口ながら、熱心に作品について語る姿には情熱が感じられた。
『アルゼンチンババア』は3月24日より東劇ほかにて公開。