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不規則な生活を続けるちき&ありあ観察官。今回の試写にも、ともに不眠で強行参加することになってしまいました。
そんな二人とは対照的に、この映画のハロルド(ウィル・フェレル)は、過去12年間、超規則正しい生活を送っている国税庁会計検査官でした。
彼愛用のデジタル腕時計のごとく、ハロルドの行動にすべてデジタル数字が表示されるのが面白いです。毎日45.7分のランチタイムを過ごし、23時13分に寝る。こんな中途半端な時間も正確なのは、彼自身の体内時計もデジタル化してるってことですね。電卓機能もついていて、同僚にいきなり暗算の答えを求められ、瞬時に正確な答えを返すなんてホントすごいです。
そんな彼の説明をするナレーションに「なるほどなあ~」と聞き入ってたのですが、なんとそれは「映画」のナレーションじゃなくて、ハロルド自身にも聞こえてくる声だった、というのが、この映画の事件のはじまり。実は、彼は、女性小説家カレン・アイフル(エマ・トンプソン)が書く物語の主人公だったわけ。でも、劇中劇ってわけじゃないのですよ。
ノリは『トゥルーマン・ショー』みたいなんだけど、彼自身の行動をそのまま物語にしてく、ではなくて、ともに面識どころか存在も知らない同士のシンクロ。書かれたことが本当に起こるのか、起こったことが書かれるのか。どうも同時進行らしいです。そして「小説」なもんで、そのときの描写だけじゃなくて、「このささいな行動が死を招こうとは、彼は知るよしもなかったのです」なんて先行する文章が書かれてしまったことを、ハロルドは聞いてしまったのだから、パニックに。
まあ、よりによって、カレンは悲劇作家。主人公は全部死ぬ運命の小説ばかりを書く人。「今まで8人の主人公を殺してきた」って、それも実際に存在してた人物だったのかなあ。だったら、怖いよ~。これって、ある意味『DEATH NOTE』?
そのナレーションの表現が、とっても文学的ってことで、ハロルドが相談する文学の大学教授ヒルバート(ダスティン・ホフマン)のアドバイスもいちいち面白いです。「書いてる作家を特定するための23の質問」とか「何もしないで様子を見ろ」とか。そして、「悲劇を喜劇に転換する定番」は「敵対する相手との恋」、なるほど~。で、税金未払いで知り合った、まったく生き方違ってちょっとパンクな娘アナ(マギー・ギレンホール)と恋におち、小説でもそう書かれるんだけど、「小説に書かれていることを知ったハロルドは、自分の悲劇的な結末を喜劇に変えるために、大学教授のアドバイスによって…」とは、書かれなかったのかなあ?
いや~、ハロルドの運命はどうなっちゃうのか、続きが観たいというより、読みたい感覚になって、不眠も苦にならないで楽しめる映画でした。最初のほうで、スランプのカレンが自分のことを悲観空想してるのが現実っぽい描き方で出てきたり、ハロルド以外のシーンでもドキドキする部分もいっぱいでした。アナが税金の一部を払わない理由もなるほどなあだし、ハロルドの相談役になりながらも文学者のエゴ(?)で物を言うヒルバートもなるほどなあ、です。また、何度も唐突になんで登場するのかは最後のお楽しみ、の自転車少年、職探しの女性のエピソードも、なるほど~です。それに、小道具とはいえないほど重要な役割をになう腕時計やクッキー。すべてが見逃せなかったものね! |
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おおやちき。イラストレーター&パズル作家。2月に発売になった、漫画家「大矢ちき」時代の幻の名作漫画作品集『おじゃまさんリュリュ』(小学館文庫・660円・税込)『キャンディとチョコボンボン』(小学館文庫・600円・税込)が大絶賛発売中。共に表紙は最新描きおろし超美麗イラストです。「2冊とも買ってね~、読んでね~。読み終わっても古本屋さんには売らないでね~♪」 |
ARAI“ありあ”KEIKO。映画中毒者……のはずが、今月も頭のなかは07年F1GP一色です。ブルース・マクラーレン伝記映画は、トム・クルーズ主役って噂だけど、ホント? そういえば、セナの映画もクルーズって話が一度あったけど、納得できない思いがちらほら。バンデラスじゃもう老け過ぎ。セナ役は今のとこ、ガエル・ガルシア・ベルナルがいいなあ、と思うのですが……。 |
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