第64回ヴェネチア国際映画祭コンペ部門22作品に注目! 第64回ヴェネチア国際映画祭 2007年8月25日 8月29日から9月8日(現地時間)まで、イタリアで開催される第64回ヴェネチア国際映画祭。今回、コンペティション部門には22作品が出品され、日本からは三池崇史監督の『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』が出品された。そのほか、台湾、中国の作品も出品され、去年に引き続き、アジア勢の活躍が見られそうだ。 オープニングを飾るのはジョー・ライト監督、キーラ・ナイトレイ主演の『アトーンメント(原題)』。本年度の審査委員長はヴェネチア映画祭で2度の金獅子賞に輝いたチャン・イーモウが務める。 『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』 監督:三池崇史 キャスト:伊藤英明、佐藤浩市、伊勢谷友介 製作国:日本 ストーリー 壇ノ浦の戦いから数百年後……。とある寒村では、源氏ギャングと平家ギャングがお宝をめぐって、再び争いを繰り広げていた。そこへ登場した心に傷を抱える孤高のガンマンを巻き込み、血で血を洗う抗争は壮絶さを極めていく。 見どころ マカロニ・ウエスタン回顧特集が開かれる今年のヴェネチア映画祭に、三池崇史監督が『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』を引っさげてコンペ部門に登場。ジャンルの枠にとらわれない三池監督らしく、エンターテインメント性も抜群。盟友クエンティン・タランティーノ監督が出演するということもあって、ヴェネチア映画祭を大いに沸かせてくれそうだ。 (C) 2007 Sukiyaki Western Django film partners All rights reserved. 『アトーンメント(原題)』 監督:ジョー・ライト キャスト:キーラ・ナイトレイ 、ジェームズ・マカヴォイ 、ヴァネッサ・レッドグレーヴ 製作国:イギリス、アメリカ ストーリー 1935年、イギリス。ブライオニー・タリスは、夏期休暇で帰郷する兄のためにロマンス劇を書き上げるほど想像力豊かな13歳の少女。しかし、あることを目撃したことで少女の運命が狂い始める……。 見どころ ダニエル・クレイグ主演映画『Jの悲劇』の原作者、イアン・マキューアン著「贖罪(しょくざい)」の映画化。『プライドと偏見』のジョー・ライト監督が、同作主演のキーラ・ナイトレイと再コラボした長編第2作目だけに期待は高まる。新鋭監督ながら、感情に訴え、かつ、優れたビジュアルであることから今回コンペ部門に選ばれた。ヴェネチア映画祭コンペ部門のオープニングを飾る。日本では、2008年公開予定。 (C) 2006 Universal Studios.All RIGHTS RESERVED 『ザ・ダージリン・リミテッド(原題)』 監督:ウェス・アンダーソン キャスト:オーウェン・ウィルソン、アンジェリカ・ヒューストン、エイドリアン・ブロディ、ジェイソン・シュワルツマン、ビル・マーレイ、ナタリー・ポートマン 製作国:アメリカ ストーリー 疎遠になっていた3兄弟は、父親の死を機にインドをめぐるスピリチュアルな旅に出る。父が輪廻(りんね)転生し、白い虎になったというお告げを信じ、ダージリン・ヒマラヤ鉄道に乗り込んだ。 見どころ タイトルは世界遺産であるインドの山岳鉄道名から。『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』の監督とロマン・コッポラ(父は言わずと知れたフランシス・フォード・コッポラ)の共同脚本による冒険コメディー。大学時代にルームメイートだった監督とオーウェン・ウィルソンのコラボ4作目にして、当時から切望していたインドでの撮影がかなった。 『スルース(原題)』 監督:ケネス・ブラナー キャスト:マイケル・ケイン、ジュード・ロウ 製作国:イギリス、アメリカ ストーリー ロンドン郊外。推理作家で上流階級のアンドリュー・ワイクは妻の愛人である美容師マイロに保険金目当ての宝石強盗を持ち掛ける。ところが、保険金目当てというのは偽装で、彼なりの復しゅうだった……。 見どころ 共犯と見せ掛けておき、一転するアンソニー・シェイファーの戯曲を映画化した1972年製作のミステリー映画『探偵<スルース>』のリメーク。オリジナル版では、マイケル・ケインが演じた美容師役をジュード・ロウが演じる。傑作オペラ「魔笛」を映画化したケネス・ブラナーが、緊迫した展開をいかに見せるか期待は高まる。日本では、2008年春公開予定。 (C) MRC II Distribution Company LP 『ル・カオス(仏題)』 監督:ユーセフ・シャヒーン キャスト:カレド・サレー、メナ・シャルビー、アラ・セドキー 製作国:エジプト ストーリー カイロの繁華地区を牛耳る警官ハテム。民衆は傍若な警察を恐れて暮らしているなか1人だけハテムに反抗的な態度をとるヌール。彼女に思いを寄せるハテムは独占欲が募り、恋人の存在を知ると……。 見どころ エジプトの巨匠ユーセフ・シャヒーンは最新作で警察の暴力行為と愛を描く念願のテーマを扱った。高齢のため健康状態が懸念されたが、ナレド・ユーセフ監督の助力を得ての出品。最近の作品と比べ、今までと異なる作風でありながらも最高傑作との声が聞かれる。カンヌ映画祭60周年を記念した「世界の監督35人」の1人に選ばれた。 『リダクティッド(原題)』 銀獅子賞(最優秀監督賞) 監督:ブライアン・デ・パルマ キャスト:ケル・オニール、ダニエル・スチュワート・シャーマン 製作国:アメリカ ストーリー 紛争で混沌(こんとん)としたイラク。平和活動のためにイラクに駐留中の米軍兵たちは、道徳心を失いイラク人に対して非道な暴力行為を行っていた。そうした“戦争”を報道する最近のメディアの姿勢や形態は……。 見どころ 昨年は『ブラック・ダリア』を出品。ヨルダンで撮影した本作は、2006年3月にイラク人の14歳の少女が4人の米兵によって性的暴行を受け、家族とともに殺害された実際の事件を基にしている。1989年の監督作『カジュアリティーズ』と同じモチーフだが、世間はいかに事件を受け止めるものか、戦争とその悲劇を問いかける。 『ジ・アサシネーション・オブ・ジェシー・ジェームズ・バイ・ザ・カワード・ロバート・フォード(原題)』 優秀男優賞(ブラッド・ピット) 監督:アンドリュー・ドミニク キャスト:ブラッド・ピット、ケイシー・アフレック、サム・シェパード 製作国:アメリカ ストーリー ミズーリ州の牧師の子として生まれたジェシー・ジェームズは南北戦争時にゲリラとして活動し殺人、強盗を覚える。次の強奪の標的は命、報酬、名誉を狙う者に定めたが、信頼を寄せる人々の中にこそ脅威はあった。 見どころ 『ビリー・ザ・キッド』と並ぶ、アメリカ西部開拓期史上最も有名で悪名の高いアウトローの英雄的な生きざまと人間性を深く描き出す西部劇。監督は『チョッパー・リード 史上最凶の殺人鬼』でカリスマを描き監督デビューを果たしたニュージーランド出身のアンドリュー・ドミニク。黒髪に染めたブラッド・ピッドは信じた者に裏切られ、暗殺される無法者を演じている。 (C) 2007 Warner Bros. Entertainment Inc. 『マイケル・クレイトン(原題)』 監督:トニー・ギルロイ キャスト:ジョージ・クルーニー、ティルダ・スウィントン、シドニー・ポラック 製作国:アメリカ ストーリー ニューヨーク最大の法人向け法律事務所に勤務するマイケル・クレイトン。彼の任務は弁護士ではなく、最も汚い仕事=“罪の隠ぺい”だった。ところが、それ以上の闇の部分があることに気付き……。 見どころ 『ボーン・アイデンティティ』など「ジェイソン・ボーン」シリーズ3作を手掛けた脚本家のトニー・ギルロイが脚本も兼ねて監督デビューするサスペンス・スリラー。『エドワード II』でヴェネチア映画祭女優賞を受賞したティルダ・スウィントンが共演。主演のジョージ・クルーニーと、スティーヴン・ソダーバーグとシドニー・ポラックが製作陣に名を連ねる。日本公開は2008年予定。 『アイム・ノット・ゼア(原題)』 優秀女優賞(ケイト・ブランシェット) 監督:トッド・ヘインズ キャスト:リチャード・ギア、ケイト・ブランシェット、ヒース・レジャー、クリスチャン・ベール 製作国:アメリカ ストーリー ミュージシャンのジュード/ボブ・ディランは車で移動中に、反体制派として知られるビートニク詩人アレン・ギンズバーグと思いがけない出会いに歓喜の声をあげる。そして、タッグを組もうと、2人は熱い握手を交わすのだった……。 見どころ 伝説的フォーク・ミュージシャンであるボブ・ディランの半生の転換点を基にして作られた6人のキャラクターを異なる男優・女優が演じる伝記映画。ボブ・ディランの仕事ぶりやプライベートなどをユニークな構成で再現し、豪華なキャスティングと、映画と同タイトルの曲が入ったサウンドトラックなど、大きな注目を集めている。 『ラスト,コーション/色・戒(仮題)』 金獅子賞&優秀撮影賞 監督:アン・リー キャスト:トニー・レオン、ワン・リーホン 、タン・ウェイ 、ジョアン・チェン 製作国:台湾 ストーリー 1940年前後、日本軍占領下の上海。ワンは女スパイとしてイーの元へ。しかし、大臣暗殺を企てる抗日青年との間で心が揺れ動く。ワナと正義の誓い、そして鍵となる指輪は……。 見どころ 『ブロークバック・マウンテン』の監督による最新作は総製作費40億円のサスペンス・ドラマ。女スパイを演じたタン・ウェイはオーディションで1万人の中から選ばれ、トニー・レオンにも完ぺきな中国語のセリフまわしを求めた入魂作。原作はチェン・アイリンの自伝的短編小説「色・戒」。日本は2008年公開予定。 『ローラ・ディ・プンタ(原題)』 監督:ヴィンチェンツォ・マーラ キャスト:ファニー・アルダン、ミケーレ・ラステラ、ジュリア・ベヴィラクア 製作国:イタリア ストーリー 舞台はイタリアのローマ。フィリップ・コスタは野心を抱き、裕福で美しい熟女のカテリーナと恋に落ちる。彼女の財力・知力で磨かれた彼は、人脈を広げ新たな人生を歩むのだった。 見どころ ヴェネチア映画祭には『ランド・ウインド(英題)』『VENTO DI TERRA(原題)』が上映されたマーラ監督の新作は、ローマで撮影された。熟年美女を演じるのはフランソワ・トリュフォー監督の元妻であるフランス女優のファニー・アルダン。8週間に及ぶ本撮影の後には、自身の監督デビュー作の製作に入った。 『イル・ドルチェ・エ・ラマーロ(原題)』 監督:アンドレア・ポルポラティ キャスト:ファブリツィオ・ギフーニ、ルイジ・ロ・カーショ、ドナテラ・フィノチアーノ 製作国:イタリア ストーリー 1970年のシチリア、パレルモのカルサ地区。マフィアとして生きる1人の青年の25年を追う。ある朝、目覚めると手には1枚の写真が、それは殺人の指令だった。初めての殺しを経験し彼の中の何かが変わった……。 見どころ ヴェネチア映画祭のプログラミングディレクターが「これまでのマフィア映画とは一線を画す」と公言し、前評判の高まった本作。日本では『新・対決/恐怖の追憶』の原案、『クルセイダーズ』の脚本が紹介されているポルポラティ監督。 2001年に『ぼくの瞳の光』でヴェネチア映画祭男優賞を受賞したルイジ・ロ・カーショの出演作でもあり、注目されている。 『ネッスーナ・カリタ・アリ・エロワ(原題)』 監督:パオロ・フランキ キャスト:エリオ・ジェルマーノ、ブリュノ・トデスキーニ、イレーヌ・ジャコブ 製作国:イタリア、スイス、フランス ストーリー 40歳のブリュノはもの静かで、特別な長所も秘密もない男だった。しかし、彼は医者に子どもを作るのは無理だろうと告げられる。ブリュノの人生の唯一の支えである妻のアンナには黙っていることにしたが、ブリュノのすべてを見透かすようなミステリアスな青年が現れる。 見どころ 監督第1作の『見つめる女』が、イタリア国内の映画祭で新人監督賞を受賞するなど、期待の新鋭パオロ・フランキ。『ソン・フレール -兄との約束-』のブリュノ・トデスキーニ、『トリコロール/赤の愛』のイレーヌ・ジャコブ、イタリアの子役出身でダリオ・アルジェントの映画などにも出演しているエリオ・ジェルマーノら、イタリア、フランスの実力派俳優の競演も見逃せない。 『ザ・サン・オルソー・ライズ(原題)』 監督:チアン・ウェン キャスト:チアン・ウェン、ジョアン・チェン、アンソニー・ウォン 製作国:中国、香港 ストーリー なだらかな斜面にある、霧の濃い砂利道の村。ウィドウはまるで月の魔力につかれたような様子で、正気には見えない。ウィドウと息子の不思議な生活も歳月とともに過ぎていき、ある日ウィドウは、息子を夫との思い出の詰まった“ホワイトパレス”の残る島へ連れていく。 見どころ 前作『鬼が来た!』が2000年のカンヌ映画祭で審査員特別グランプリを受賞したものの、中国政府の検閲から数年間の製作活動を禁じられていたチアン・ウェン監督の待望の新作。「狂気」「愛」「銃」「夢」をテーマにした4部仕立てで、それぞれの登場人物が複雑に絡み合う。審査委員長がウェン監督の師匠チャン・イーモウなだけに、金獅子賞に最も近いとの声が聞かれる。 『レ・ザムール・ダストレ・エ・セラドン(原題)』 監督:エリック・ロメール キャスト:ステファニー・クレイヤンクール、アンディ・ジレ、セシル・カッセル 製作国:フランス、イタリア、スペイン ストーリー 神秘的な森の中、純粋な愛をはぐくんでいた羊飼いのセラドンとアストレ。しかし、求婚されていた男性にだまされたアストレは、セラドンを追い返してしまう。絶望したセラドンは川に入水するも、セラドンは妖精に助けられ、死を逃れていた……。 見どころ 87歳のエリック・ロメール監督が、約400年前に書かれたオノレ・デュルフェの恋愛小説「アストレ」を映画化した本作。映画デビューとなるステファニー・クレイヤンクールがヒロインを演じ、そのほかアンディ・ジレやヴァンサン・カッセルの妹セシル・カッセルなど、今後が楽しみな俳優陣が共演する。 (C) 1996-98 AccuSoft Inc., All right. 『ラ・グレイン・エ・ル・ミュレ(原題)』 優秀新人俳優賞(ハフシア・ヘルジ) 監督:アブデラティフ・ケシシュ キャスト:アビブ・ブフェル、ファリダ・ベンケタシュ、サブリナ・ウアザニ 製作国:フランス ストーリー 船の工事現場で長いこと働いてきたベイジ。60代を迎え、年々限界を感じるようになっていた彼は、レストランを経営するという賭けに出てみようと思い始めていた。そんな父の夢をきっかけに、バラバラだった家族が一致団結していく。 見どころ 俳優から監督へと転身したアブデラティフ・ケシシュは、2作目の『L'ESQUIVE(原題)』が2005年にフランスの映画賞・セザール賞の作品賞、監督賞、脚本賞をトリプル受賞したフランス新進気鋭の監督。前作でデビューし本作にも出演しているサブリナ・ウアザニは、セドリック・クラピッシュの映画への出演も決まっている若手マグレブ系の注目株だ。 『イッツ・ア・フリー・ワールド(原題)』 優秀脚本賞 監督:ケン・ローチ キャスト:キルストン・ウェアリング、ジュリエット・エリス 製作国:イギリス、イタリア、ドイツ、スペイン ストーリー 勤務中に人前で悪態をついたアンジーは、人材紹介所をクビになってしまった。再びチャンスをつかむため、アンジーはルームメートのローズとともに、仕事を必死で探している移民たちのために人材紹介ビジネスを始めることにした。 見どころ 社会派人間ドラマを描き巨匠に昇り詰めたケン・ローチ監督と脚本家のポール・ラヴァーティが、移民と雇用の問題を斬る新作。『カルラの歌』『ナビゲーター ある鉄道員の物語』に続き、3度目となるヴェネチア映画祭コンペ部門への参加。前作の『麦の穂をゆらす風』がカンヌ映画祭でパルムドールを受賞して成熟の極みを見せたローチ監督が、ついに金獅子賞受賞となるかが注目される。 『ナイトウォッチング(原題)』 監督:ピーター・グリーナウェイ キャスト:マーティン・フリーマン、エミリー・ホームズ、エヴァ・バーシッスル 製作国:イギリス、ポーランド、カナダ、オランダ ストーリー 1642年、アムステルダムに住む画家レンブラントは、近衛兵たちの肖像画を依頼された。何か虫の知らせのようなものを感じたレンブラントだったが、妻のサスキアと生まれてくる子どものためにこの肖像画の仕事を引き受けることにする。 見どころ 世界的異才ピーター・グリーナウェイの芸術的センスを刺激したのは、17世紀を代表する画家だった。1991年の『プロスペローの本』以来のヴェネチア映画祭で発表されるグリーナウェイ監督の新作は、レンブラントの絵画「夜警」をめぐる彼の栄光と没落を描きだしたドラマ。主人公のレンブラントはを演じるのは『銀河ヒッチハイク・ガイド』のマーティン・フリーマン。 『ヘルプ・ミー・エロス(英題)』 監督:リー・カンション キャスト:リー・カンション、イン・シン 製作国:台湾 ストーリー 失業してからというもの、ドラッグの過剰摂取、マリファナの栽培にも失敗したニック。ある夜、自殺を思いとどまり、テレホンサービスに救いを求める。電話の相手マリアと胸中を打ち明け合ううちに、マリアとの距離が近付いていくように感じたニックは……。 見どころ ツァイ・ミンリャンの作品で不思議な存在感を放つ俳優リー・カンション。1994年のヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作の『愛情萬歳』をはじめ、カンヌ、ベルリン映画祭の常連俳優となっている。監督デビュー作『迷子』がロッテルダムや釜山(プサン)の映画祭で賞を受賞し見事な結果を残した。監督2作目となる本作でで初めて監督としてヴェネチア映画祭に初参戦する。 『12(原題)』 監督:ニキータ・ミハルコフ キャスト:ニキータ・ミハルコフ、セルゲイ・マコヴェスキ、ミハイル・イェフレモフ 製作国:ロシア ストーリー 義父殺しの容疑がかかっているチェチェン人少年の裁判は、当初は明らかに有罪だと思われていた。しかし、いくつか腑に落ちない点に気付いた1人の陪審員が、ほかの陪審員に疑問を投げ掛ける。無罪の可能性が浮かび上がってきたことから、審議の場は二転三転していく。 見どころ シドニー・ルメット監督の『十二人の怒れる男』のリメークに試みたニキータ・ミハルコフ監督。映画史に残る名作の舞台を現代のロシアの法廷に転換し、アレクサンドル・ソクーロフ監督の新作と同じくチェチェン問題にも触れ、単なるリメークに終わらない社会ドラマに仕上がっているようだ。8年振りの新作で、『ウルガ』以来の2度目の金獅子賞に挑む。 『イン・ザ・バレイ・オブ・エラ(原題)』 監督:ポール・ハギス キャスト:トミー・リー・ジョーンズ、シャーリーズ・セロン、スーザン・サランドン 製作国:アメリカ ストーリー イラク前線に派兵されているマイクは、初めての休暇をアメリカで過ごすことにしていた。ところが、マイクの両親は息子が軍隊から脱走したと聞かされる。目撃情報やアメリカ軍の不審な態度から、2人はマイクが闇に葬られたのではないかと疑い始める。 見どころ テレビドラマで実績を積み、『ミリオンダラー・ベイビー』(脚本)、『クラッシュ』(監督・脚本)と、アカデミー賞の常連となっているポール・ハギス。失そうした息子を探す父親を演じるのは、缶コーヒーのCMでもおなじみのトミー・リー・ジョーンズ。そのほか、スーザン・サランドン、シャーリーズ・セロンなどオスカー受賞経験のある実力派キャストが顔をそろえる。 (C) 2006 Elah Productions, LLC - All Rights Reserved. 『エン・ラ・シウダード・デ・シルヴィア(原題)』 監督:ホセ・ルイス・ゲラン キャスト:ザビエル・ラフィット、ピラール・ロペス・デ・アジャラ 製作国:スペイン ストーリー ブスカはストラスブールの街角を、行き交う人を観察したり、何かを書き留めたりしながら、あてどもなく感情の赴くままにさまよっていた。放浪者か、はたまたアーティストのようにも見える彼だったが、4年前に知り合った、とある女性を探すためにこの町へと舞い戻ってきたのだった。 見どころ 寡作(かさく)ながらドキュメンタリーと劇映画の両方で評価が高いホセ・ルイス・ゲラン監督は、前作の『En construccion(原題)』がスペイン国内のゴヤ賞最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。また、昨夏ストラスブールで撮影されたこの作品には、『女王フアナ』で数々の映画祭で主演女優賞を受賞したピラール・ロペス・デ・アジャラが出演している。 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