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マイノリティーな愛を描く映画

今週のクローズアップ

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今週のクローズアップ マイノリティーな愛を描く映画

話題の映画の中から、今週は11月2日にDVDが発売される『あるスキャンダルの覚え書き』をクローズアップします。女性教師の友情を超えた屈折した愛情から、執拗(しつよう)に付け回される女性美術教師……。ジャンルは違えど、昨今『ブロークバック・マウンテン』や『トランスアメリカ』など、同性愛や性同一性障害を扱った作品も多く、映画祭などにも出品され注目を集めています。そんな、マイノリティーな“愛”の形を演じる俳優たちには、どんな苦労があるのでしょうか?

切ない、美しい、力強い……『ブロークバック・マウンテン』編

 記憶に新しい、2005年ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した『ブロークバック・マウンテン』。山で出会った2人の青年が20年間、人目を忍んで愛しあう、切なさを力強く描いた作品。


 アメリカでは、同性愛者のキャラクターを演じ、そのイメージが後に付いて回るのを恐れる俳優も多いのですが、主演のヒース・レジャーは、そういうことは気にしなかったようです。しかし、「ジェイク(・ギレンホール)とはキスしたくなかった(笑)」とポロっと本音(?)も出ていましたが、男同士の“愛”を表現する映画では、ほとんどの場合、体当たりのラブシーンが重要な意味を持つため、避けては通れないのも事実。その結果、保守的な地域での上映禁止騒動や授業で上映されたのを観た女子生徒がトラウマになった……など、映画賞以外でも、話題となることもしばしば。


 お仕事とはいえ、やらねばならぬこともある……ヒースとジェイクは信頼関係を築き、それを役柄へと反映させていったそうです。『マイ・プライベート・アイダホ』で当時、超人気俳優だった故リヴァー・フェニックスが男娼役をOKしたのも、親友キアヌ・リーヴスが出演するならという信頼関係があったからというエピソードはあまりにも有名ですよね。アメリカにおいては、今も昔も、同性愛者を演じることでの周囲の反応が、一種の壁なのかも。だからこそ、運命共同体となる相手役との信頼関係は必須なのかもしれませんね。

 

(C) Steve Granitz / WireImage.com
「離婚したんだって~? でも僕らの友情は永遠だよねー」

性同一性障害『トランスアメリカ』『ボーイズ・ドント・クライ』編

 性同一性障害(トランスセクシャル)に悩む父と、その息子の関係を描いた『トランスアメリカ』。女性になろうとしている男性を演じたのは、女優フェリシティ・ハフマン。目を疑ってしまうほどの、ハフマンの変ぼうぶりには、誰もが驚いたはず。ハフマンにとっても、男性を演じるのは初めて。約2か月半、役作りのために、まずは男性になるための研究をし、その後、多くのトランスジェンダーの人たちと会い、女性の心を持つ“男性ヒロイン”を演じたのでした。


 そして、『ボーイズ・ドント・クライ』で男性として生きたい女性を演じたヒラリー・スワンクもまた、役作りのために男装して日常生活を送るなどしていました。一部の人たちには受け入れてもらえず、無視されたりぞんざいに扱われたりしたそうです。現実にそういう体験をしたヒラリーにとって、クロエ・セヴィニーとのラブシーンは精神的にとても大変だったはず。しかし、ヒラリーとクロエはラブシーンについて、う話し合ったりするようなことはしなかったそうです。それは、劇中のブランドンとラナが「性別を超えて、愛する喜びを感じた瞬間」だと分かっていたからなのかもしれませんね。

 

(C) Steve Granitz / WireImage.com
父と息子を演じた2人

セクシュアリティーの解放! 『ショートバス』編

 さまざまなセクシュアリティーの人々が集うサロン“ショートバス”を舞台に、人とのつながりを大胆に表現して“愛”なのか“ポルノ”なのかと話題を振りまいた1作。夫婦、男同士、女同士、SM……、何でもござれ状態の環境で、“ショートバス”は「普通じゃない場所」と思う人が多いかもしれないですが、そのサロンで本来の自分でいられる人たちが集っているのです。


 劇中のセックスシーンが生々しく(というか一部本当で……)、俳優陣はどのようにしてその撮影に挑んだのでしょうか? ミッチェル監督は、約500人の中から9人を選び、ワークショップを開き、そこで意気投合した俳優をカップルとして配役。ちなみに、ゲイカップルを演じた2人は本当にカップルなのだとか。もちろん、セックスシーンを撮影するのは簡単なことではなく、環境や俳優のテンション、すべてに気を使わなければならなかったのは当然。ある女優の提案で、俳優が全裸でいるシーンでは、監督も撮影監督も全裸で撮影をしたり、男性俳優はバイアグラを飲んだりしたときもあったのだそう。やはりお仕事ですからね、恥ずかしいとか言っていられないのです!

(C) Jesse Grant / WireImage.com
僕たち戦友!

女と女の愛憎劇『あるスキャンダルの覚え書き』編

 11月2日にDVDが発売される『あるスキャンダルの覚え書き』。ジュディ・デンチがケイト・ブランシェットを心理的に追い詰めるという、“お気に入りは自分のモノにしたい”そんな女性の性(さが)が屈折して、どんどんエスカレート。オスカー女優2人が共演しただけあって、観ていて本当にビビっちゃいます。愛情というよりも、独占欲だけが突っ走った老女でしたが、このシチュエーションは男女間でも、男同士でも起こり得ることですよね。主演のケイトも、女同士の“愛”がこの映画の核ではなく、性別関係なく起こりうることとしてインタビューでも答えていました。ただ、ケイトが演じたシーバは夫も子どももいるのに15歳の男子生徒と“関係”を持ってしまうスキャンダラスな教師なんです(しかも、この設定は実話を基にされているのです)。


 実際、アメリカで起きた、女教師(当時35歳)と男子生徒(当時13歳)のメアリ・ケイ・ルトーノー事件。2人には何と子どもまでいるのです! 女性は児童強姦罪で7年6か月の懲役、そして刑期を終え、一緒になったのです。事実は小説より奇なり! ですね。


 ちなみに、本作のDVDにはアメリカの人気テレビドラマ「Lの世界」第1話が収録されることでも話題に。「Lの世界」の登場人物は、ほとんどがレズビアン。激しいラブシーンがあるなど、社会現象を巻き起こしているのです。気になる人は、『あるスキャンダルの覚え書き』とともに、観てはいかがでしょう?

(C) Jeff Vespa / WireImage.com
オスカー女優のオーラがまぶしい!

文・構成:シネマトゥデイ編集部

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