今回のストで脚本家組合の敵だったのは、劇場用映画・大手テレビ番組執筆の際に契約内容の鍵を握っているAMPTP(全米・映画&テレビプロデューサー協会)という、製作のお偉いさんたちからなる団体。AMPTPは397名の大手プロデューサーたちから成り立っていて、CBS、MGM、NBCユニバーサル、FOX、パラマウント・ピクチャーズ、ソニー、ディズニー、そしてワーナーの上層部が柱となっています。
ストの主役にあたる脚本家組合は、全米1万2千人以上の組合員を誇る脚本家たちの労働組合です。AMPTPとは、3年ごとに、最低賃金の取り決める契約を交わすことになっていています。以前、組合がギャラの値上げを要求してストライキを起こしたのは10年前の1988年。その後、市販DVD映画の値下げ、インターネットでの映画・テレビ番組のダウンロードなど、新しいメディアが目覚しい躍進を遂げてきました。そこで、去年の最低賃金交渉の場で、脚本家組合は「新メディアを念頭に置き、脚本家最低賃金の総見直しを!」ということでAMPTPに掛け合ったのです。。
ここで問題になるのは、お金を仕切る係であるプロデューサー側は、脚本家には働き続けてほしいけど、そう簡単に自分たちの儲けを削りたくない……という本音。往々にして、利益主義の製作者側と職人気質のライターたちのバトルが発生! となってしまったわけです。 今回のストは真っ向からバトル態勢で、聞く耳持たず的な態度をとったAMPTPに対して、脚本家組合側がプッツリとキレて、「われわれの貢献度を一体何だと思っているんだ!!」と怒りまくり、ストに大突入……というのが簡単な経緯です。去年の12月の両者会談においては、「会議室を灰皿が飛び交った!」という証言が出るほど交渉が悪化して話し合いが大決裂してしまいました。
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