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戯曲「グレンギャリー・グレン・ロス」でピューリッツアー賞を受賞し、脚本では映画『郵便配達は二度ベルを鳴らす』『摩天楼を夢みて』『アンタッチャブル』『ハンニバル』などで有名なデヴィット・マメットが新作映画『レッド・ベルト』(原題)について語ってくれた。監督としても良質の映画を製作する彼が新作でテーマにしたのはブラジリアン柔術だ。 |
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Q: どういった経緯でこの題材を選択したのでしょうか?
(デヴィット・マメット)わたしはもう6年くらいブラジリアン柔術を習っていて、よく生徒とランチを食べたりするんだが、そのときに彼らの話をいろいろ聞かされてきてね。わたし自身は、まずブラジリアン柔術のアート性と哲学的要素に惹(ひ)かれ、それが格闘界だけでなく、あらゆる分野の仕事にも共通することに興味を持ったんだ
Q:それがなぜブラジリアン柔術となったのでしょうか? 空手などのほかの格闘技もあると思うのですが、特定した理由は何ですか?
(デヴィット・マメット)もちろん、わたしは柔術以外にほかの格闘技もやっている。ただ、柔術に関してはまったくの無知だったんだよ。それがあるとき、ロサンゼルスに住んでいる友人のエド・オニールが、偶然にも柔術を習っていて紹介してくれたんだ。そこでブラジリアン柔術の素晴らしさにくぎ付けになったというわけさ。
Q:ブラジリアン柔術は、具体的にほかの格闘技とどう違うのでしょうか?
(デヴィット・マメット)どの格闘技にせよ、人が人に自分を委ねる段階で、何か哲学的なものを吸収していると思う。わたしが習った柔術は、ヨガみたいな部分があって、言葉では表現できないようなものを感じたことがあった。それが柔術における哲学の重要な構成要素ともいえるだろうね。 |
Q:映画『団塊ボーイズ』のティム・アレンが出演していますが、コメディアンの彼にシリアスなキャラクターを演じさせるということに不安はありませんでしたか?
(デヴィット・マメット)ある日、ティム・アレンのエージェントが「映画スターの役があるそうですね? ティムがその役を望んでいます」と電話をしてきた。わたしは「その役は、ストレートな役柄でコメディーではないしギャラも少ないうえ、主役ではないんだ」と伝えたんだ。するとエージェントは「ティムはもう脚本を読んでいて、君とミーティングをしたいと言っている」と教えてくれてね。わたしは個人的にティムを尊敬しているし、特に映画『ギャラクシー・クエスト』は気に入っている。だから、彼を配役したことに関してちゅうちょはなかったよ。映画の歴史を振り返っても、コメディアンは過去のスタンドアップ・コメディーの経験から、緊張感のある中で自然と役柄に入り込むことができるということが証明されているからね。
Q:日本でもおなじみのマジシャン・セロが出演しているのですが、彼をどうやって探し出したのですか?
(デヴィット・マメット)リッキー・ジェイというわたしの映画によく出演してくれる俳優がいるんだが、彼は俳優のほかにマジシャンとしての顔も持っているんだ。彼に「この題材からアジア系のマジシャンが必要だ」と相談したらセロを紹介してくれた。しかもリッキー自身が、当時日本にいたセロに出演の依頼をしてくれてね。セロはマジシャンだけではなく、俳優としても素質があるよ。 |
Q:柔術を通してあなたが学んだことはなんですか?
(デヴィット・マメット)不可能なことに直面しても、自分の恐怖心を抑え支配するということかな。昔、わたしとランディ・クートゥア(UFC総合格闘技大会の元チャンピオン)に「あなたはクートゥアと戦えますか?」と聞いてきたインタビュアーがいたんだ。わたしは「戦えるよ」と答えた。まあ、実際に戦ったら10秒もしないうちにたたきのめされるだろうね。もちろん戦わなくて済む状況にことを運ぶことがベストかもしれないけれど「戦えるよ」とわたしは答えたわけさ。それが教えだからね。 |
劇作家、脚本家、監督と多彩な才能を持つデヴィット。彼のアメリカにおける地位は、日本での彼の知名度とは比べものにならないくらい高い。もしあなたが『レッド・ベルト』(原題)を観たとしたら、彼のかかわったほかの作品も観たくなってしまうだろう。彼こそアメリカ映画最高の語り手といえる存在であるからだ。 |
細木プロフィール
海外での映画製作を決意する。渡米し、フィルム・スクールに通った後、テレビ東京ニューヨ-ク支社の番組モーニング・サテライトでアシスタントとして働く。しかし夢を追い続ける今は、ニューヨークに住み続け、批評家をしながら映画製作中である。 |
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