週末はみんなでバトルしようじゃないか! ジョン・ウー監督が私財10億円をつぎ込み、三国志の物語を完全映像化した映画『レッドクリフ Part1』が11月1日に公開される。今週は男子、そして荒ぶる男が大好きな女子必見のバトル映画をクローズアップ! |
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CF界で慣らした映像センスを、ジョージ・A・ロメロ監督の名作映画『ゾンビ』をリメイクしたデビュー作映画『ドーン・オブ・ザ・デッド』で見せつけ、瞬く間に若手監督ホープとして映画界に躍り出たザック・スナイダー。そんな彼がグラフィックノベル界の重鎮フランク・ミラーによる「300」を完全実写化。
ペルシア軍VS.レオニダス王率いるたった300人のスパルタ兵による“テルモピュライの戦い”をベースに描かれた原作を、実写とCGをフル活用して完全映像化した骨太なバトルアクション。撮影のほとんどが、合成のためのブルースクリーンをバックに室内で行われ、マッチョな男たちの肉体以外ほぼCGといっても過言ではない作品となった。足チョンパ、首チョンパの残酷シーンも気合十分で、アメリカ公開時にはR指定を食らってしまったが、大方の予想を裏切って興行収入初登場1位をマーク。しかも2週連続キープという、スパルタならではの勇ましい記録を残した。
しかし本作のペルシア軍の描き方に、ペルシア人を先祖に持つイランが大反発。『300 /<スリーハンドレッド>』はアメリカの心理的戦争だと抗議し、イラン政府も本作に対して正式に抗議をしたという。一方、完全なる正義として描かれたギリシャでは、アメリカ同様に大ヒットを記録したそうだ。 |
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(左から)フランク・ミラー ジェラルド・バトラー ザック・スナイダー監督 |
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トビー・フーパー監督が1974年に世に問うた問題作であり、ホラー映画史に残る大傑作。ゴシックホラーやサスペンスホラーが主流だった当時のホラー映画界に衝撃と困惑をもって迎え入れられた作品でもある。そのため公開当時は批評家受けは悪く、現在のカルト的高評価はまさしく「ウソみたい!」だった。
1980年代に映画『13日の金曜日』をはじめとするスプラッター映画がホラーのトレンドとなった時代に、本作はやっとまっとうな評価を受け、現在に至る。観賞した人々はあまりの衝撃と恐怖で、スプラッター映画であると認識してしまう本作だが、意外なことにスプラッター映画特有の血しぶきや人体破壊の描写は皆無である。撮影当時、フーパー監督はじめスタッフのほとんどがアマチュアの若手。低予算という関係もあり、殺人的撮影スケジュールと殺人的気温の高さもあり、キャストとスタッフたちは映画同様に殺伐としていたそうだ。
またフーパー監督の気難しい性格も相まってか、主演のマリリン・バーンズとは衝突を繰り返し、マリリンは撮影中フーパー監督を「本気で殺してやろうか」と思ったとか。ラスト付近、マリリンが窓ガラスを破って外に脱出するシーンでは、予算の関係上本物の窓ガラスで対応させられ、本当に血まみれになったというエピソードもある。現在ではニューヨーク近代美術館にマスター・フィルムが保存されており、美術館に保管されている身の毛もよだつホラー映画として日本のテレビ番組で取り上げられたこともあり、日本での知名度も高い(?)。ちなみに2003年にはリメイク版(映画『テキサス・チェーンソー』)が製作され、オリジナルとは比べ物にならない凡作にもかかわらず、ネームバリューと話題性だけでヒットを記録し、続編も製作された。 |
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怪俳ロバート・イングランドとトビー・フーパー監督
Kevin Winter / Getty Images |
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映画『男たちの挽歌』シリーズで、メロドラマと美的センスあふれる二丁拳銃バトルアクションを見事なまでに融合させ、男泣き香港ノワールの礎を築いた白ハトフェチのジョン・ウー監督。ハリウッドに招かれ映画『フェイス/オフ』『M:I-2』で成功した彼が満を持して放つのが『レッドクリフ Part I』だ。
当初は香港時代から盟友でもあったチョウ・ユンファをキャスティングしていたものの、急きょ降板が決まるなど、さまざまな製作トラブルに見舞われながらも私財10億円をつぎ込んだ総製作費100億円の超大作となった。チョウ・ユンファの空白を埋めたのは映画『ラスト、コーション』でアクロバットなベッドシーンを見せつけたトニー・レオン。「ジョン・ウー監督のためならば!」と快く出演を引き受けてくれたそうだ。日本からは中村獅童が参加。また、三国志に詳しくない人でも一度は聞いたことがある孔明を金城武が中性的な雰囲気を漂わせながら好演。作品に質と上品さをもたらした。
女優陣も注目で、特に映画『初恋の想い出』で第8回上海国際映画祭主演女優賞に輝き、中国のトップ女優となったヴィッキー・チャオがひそかに敵軍に侵入する尚香を熱演。透き通るような白い肌と、日本の観客をドキドキさせること間違いなしのその美ぼうは一見の価値ありだ。ダイナミックかつ脈動感あふれるジョン・ウー監督の演出も負けてはおらず、男たちが魅せるバトルの数々は三国志ファンはもちろんのこと、老若男女の手に汗を握らせ、瞬きを忘れさせる、目の乾き注意な迫力に満ちている。登場人物たちの名前の漢字が難しく、字幕の読み仮名を忘れて焦ることもあるかもしれないが、それもバトルシーンの前ではちっぽけなことに思えてしまう。パート2の製作と公開が今から楽しみだ。
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映画『レッドクリフ Part I』より
(C) Bai Xiaoyan |
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文・構成:シネマトゥデイ編集部 |
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